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チートな異世界旅行  作者: 荒神 朱雀
第1章:異世界転移偏
2/4

間話「エリス、王国兵side」

これは浅野(あさの) 玲二(れいじ)と出会う前の

エリスの話



エリス・シュワルツ・ジャンヌダルク

彼女はヴァルキリアス皇国国王の一人娘である。

そんな彼女は隣の王国、アルヘイオス帝国と和平

を結ぶために向かっていた。


「あと、どれくらいでアルヘイオスに着くのかしら?」


エリスはキラキラした目で近くにいた一人の兵士に問いかけた。


「姫様、その質問は何度目でしょうか?」

「アルヘイオスはどのようなところなのか、早く見てみたいのです」

「そう、仰られても困ります」


そう言って兵士はため息をついた。


国王(おとうさま)も来られればよろしかったのに、しかも、これから和平を結ぶのに私一人では失礼にあたいするのでは無いのでしょうか?」


そう、エリスは護衛数人を引き連れて王族である

エリス一人では来たのである。


「しかたありません、国王様も仕事が多忙でいらっしいます。ここは姫様の腕の見せどころであります。あ、姫様見えてきました!あれが、アルヘイオス帝国でございます」


丘の向こうには綺麗な街並みが見える。


「やっと着きましたか、それでは皆さん国の今後を決める場、気を引き締めて行きましょう?」


兵士たちが一斉に「おおー!」と声をあげた。


※※※※※


数時間にも及ぶ会議を交わしたのち和平はうまく結ばれ、エリス達は今帰路の途中まで来ていた。


「エリス様、無事和平が終わり良かったですね」


若い一人の兵士が肩の荷が降りたようにエリスに話しかけた。


「ええ、無事に終わりましたねこれで和平反対勢力が襲って来なければ一段落です」


若い兵士が怪訝な顔をし聞いてきた。


「それはどういうことでしょうか?」

「仮に私がここで襲われるとしましょう、ここはまだ亜人達の領土です、そんなとこで私が襲われ犯人の痕跡に襲ったのが亜人であるという証拠がでたらどうなりますか?」


兵士は顔が青くなり、生唾を飲み口を開いた。


「そ・・・そんなことになればヴァルキリアス皇国と亜人族の国、アルデール国との仲は険悪になり和平は無効になり、最悪の場合・・・戦争になるでしょう」


兵士の頭には最悪の未来図が浮かび上がる。


「ええ、そのとうりよ・・・一部の貴族と亜人は和平に反対してる者が居ります。もしかしたら、その一部の貴族が私達の通るルートを不満を持つ一部の亜人の手に渡ったら、その最悪の未来図が現実になるでしょう」


再度兵士は生唾を飲みこんだ。


「ですが、まさかそんなことには・・・」


兵士は、ならないでしょうと最後まで言えなかった。なぜならこちらへものすごい早さで近づいてくる複数の反応をとらえたからである。


(これは、盗賊?だが出没するとの報告は・・・まさか!姫様の言ったことが当たるなんて)


兵士は内心悪態をつきながら口を開いた。


「敵襲ーーーー!!姫様を守れーーーー!!」


瞬間草むらから盗賊達が現れ、兵士達は戦闘体制に入った。


※※※※※


数分間に渡り金属のぶつかり合う音がなり、兵士は盗賊を押さえてたかのように見えたが、徐々に兵士達は押されていく。盗賊はかなりの手練れのようで、護衛兵は一人、また一人と殺られていく様をエリスは腰が引けたように眺めてた。


「姫様!!森へ!森へ逃げて下さい!」

「で・・でも!まだ貴方が」


エリスは自分を守ってくれている兵士を見捨てて逃げることができないでいた。


「私も後から行きます!振り向かないでどうか逃げて下さい!そして、生き残って下さい!」


エリスは苦虫を噛み潰したように顔を歪めるが

兵士の必死な顔を見て、逃げるという選択肢しか残されていなかった。


「わ・・かりました、どうか生きて下さい!」


エリスはそう言い残し森へと走り出した。


※※※※※


王国兵side


「姫様は逃げたか?」

「ああ、姫はなんとか逃がした」

「そうか、よかった」


隊長と呼ばれた兵士はため息をついた


(どうか生きて下さい・・か)


兵士達はわかっていた。自分達が盗賊に敵わないと

それでも兵士達は希望を捨てない。


「姫様が無事逃げれるように俺達は全力を尽くすぞ!」

「「「「おう!!」」」」

「手足をもがれようがしがみつき、敵の足を止めるぞ!!」

「「「「イエッサー!」」」」


兵士のリーダーは盗賊に向け手をかざし


「呪文詠唱開始!」


兵士も一斉に盗賊に向け手をかざした。


『『『敵を撃て!炎の弓矢!ファイアアロー』』』


兵士の詠唱とともに炎の矢が一斉に盗賊に襲いかかる。


「キヒヒヒ!トロイ!野郎共奪え!殺せ!一匹たりとも逃すな!」


兵士達の攻撃は虚しく盗賊に弾かれる。


(すまねぇ、姫様あなた様との約束守れそうにないです)


この日、姫を命をかけて守り、最後まで姫を思った兵士達はこの世を去った。後に兵士とは何か

後の世の兵士達の見本となるのは、後の話である。


エリスside


※※※※※


どのくらい走っただろうか、もう金属のぶつかり合う音も聞こえない。


「兵士達は皆無事でしょうか」


エリスは少しばかり悔やんでいた。あのときどうすることも、逃げることしかできなかった自分に対して苛立ちを覚えていた。


「私は無力だ!」


私は座悩んだ。悩みの末エリスは立ち上がり来た道を戻ろうとしていたら声が聞こえてきた。


「よかった生きてい・・・」


エリスは最後まで言えなかった。なぜなら目の前に居るのは兵士ではなくあの盗賊だったからだ。


「お嬢ちゃんみーっけ♪」

「探したんだぜ?」

「まったくザコ虫のくせにてこずらせやがって」

「ああ、あの兵士か?たしかにザコだったな(笑)」


エリスは驚きを隠せなかった。


「なんであなたちが?って顔をしてんな?」

「あんなザコが俺達を倒せると思ったか?」

「おいおい、お嬢ちゃん?あいつらを過剰評価しすぎじゃねーか?」

「ギャハハハハ!ちげーねー」


盗賊達は一斉に笑いだした。


「嘘よ!あの人達があなた達なんかに負けるもんですか!」


エリスは憤慨し怒鳴り付けた。


「信じたくは無いよな~?キヒヒヒ、なら何故俺達はここに居る?その答えはこれだ!」


そう言って盗賊の一人が何かを投げてきた。

ドサッ!ゴロゴロ

投げられたものは足元まで転がってきた。

投げられた物をよく見ると、それはさっきまで親しげに話したあの兵士の生首であった。


「ひぅ!」


エリスは動揺してた。今までずっと一緒にいた護衛兵の生首が目の前にあるのだ。動揺するなというほうがおかしい。


「キヒヒヒ!その首の持ち主は両足もがれた状態でも姫様は死んでも守ると言ってしがみついてきたんだぜ?キヒヒヒ!笑えるよな~?なぁ!野郎共!」

「ああ!見てて滑稽だったぜ?」

「王国の兵士はみんなこんなものか?笑えるな!」


盗賊達はニヤニヤと一人ずつ生首を投げてきた。


「いや!いやーー!」


エリスは必死に盗賊達から逃げ出した。


(ごてんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい)


エリスは謝ることしかできなかった。

そして兵士の言葉が浮かび上がってきた。

【生き残って下さい!】

その瞬間エリスは絶対生き残ってみせると、兵士に誓った。そしてエリスは走った。


※※※※※


盗賊が後ろから走ってきた。エリスは追い付かれてしまった。


「いや!来ないで!」

「まってよーお嬢ちゃん」

「逃げないで俺達と気持ちいいことしよーぜ?」


盗賊はエリスを茶化すようにゆらゆらと追ってくる。


「お頭あの嬢ちゃん捕まえたら好きにしていいんすよね?」


お頭と呼ばれた大男が俺達との前に出た。


「キヒヒヒヒ、あぁ良いぜ、だが最初に味見すんのは俺だかんな?」

(いや!いや!捕まりたくない!死にたくない!)


少女は森の中を男達から逃げるために必死に走っていたが木の枝に(つまず)いて、足を挫いてしまった。


(うっ!痛ッつ)


「キヒヒヒ!追い詰めたぜ~?」


そう言って盗賊近づいてくる。


「グヒヒヒヒ、たっぷりねっとりと可愛がってあげるからね~、大人しくしないと~~可愛いお顔に傷が付いちゃうよ~~キヒヒヒヒ」

「ひっ!」


私はなすすべもなくただ震えていた。


「ひぃ!いや!来ないで!!」


盗賊の一人が私に触ろうとした瞬間。


「ちょーっと待ったーーーーー!」


突然現れた男性は盗賊にドロップキックをお見舞いした。


「グハっ!!」


盗賊の一人は数十メートルぶっ飛んで木に衝突して止まった。


「お頭!」

「大丈夫ですか?お頭!」


盗賊達がお頭と言われる人物に駆け寄っていった。


(なんて強い人)


そんなことを思っていたら、盗賊にドロップキックをした男性はこちらに気づき近寄ってきた。


「大丈夫かい?怪我は無い?ん?足を挫いているじゃないかちょっと触るよ」


そう言って男性は怪我をした足に触れてきた。


「ツッ!!」

「これはひどい今治してあげるからね」


そう言って男性は捻挫した足に手をかざし呪文を唱えた。


『彼の者の怪我を癒せ、ヒール』


するとの足の腫れは瞬時に治った。


「え?あ・・あり・・・がとう」


私は恋をしてしまった。危ないとこを助けていただいて、傷まで治してくれた、まだ名も知らない親切な男性に。


「ん?いいってことよ」


私がポーっとしてたら、男性はお礼に対して軽くかえしてきた。それから男性は何か考えているような表情をしていると


「ぐぅ、痛てーだろーが!やんのか?テメェ!」


盗賊が復帰し、私を助けてくれた男性に手をかざし、盗賊は呪文詠唱をした。


『貫け大地の槍!アースランス!!』


地面から土の槍が一直線に男性へ飛んでいく。


(あっ!危ない!)


私は内心叫んだ。


「ぬおっ!!」


男性はスッと右によたが土の槍が頬をかすめようだ。左頬から一筋の血が滴る。


「チッ!避けんじゃねーよ!」


盗賊は避けられたのが悔しいのか悪態をついた。


「野郎共!!やっちまえ!」


盗賊の掛け声により、盗賊達が一斉に男性に襲いかかる。


男性は何やら思案するように眉を寄せてから男性は地面に向けて手をかざし呪文詠唱した。


『敵を捕らえよ!鉄の拘束、スティールバインド』


鉄の拘束具が盗賊達に巻き付いた。


「ぐっなんだこれ動けねぇ!」

「うわ!」

「ぐぅ!離せ!」

「ほれ!更に追加!」

『押し潰せ!大地の金槌

かなづち

、アースハンマー』


大きな土でできたハンマーを一人を残し他全員の頭に降り下ろした。


「「「やっ!やめ!」」」


グシャ!!!

一人を除いて盗賊達の頭はトマトのように潰れ、血が吹き出す。

頭を潰された盗賊達は糸の切れた人形のごとく全員倒れた。


男性は、また何かを考えているような表情で死んで動かなくなった仲間を見て絶句している男を見ている。私はおもいきって近づいて改めてお礼をした。


「あっ、あの!ありがとうございます!危ないところを助けていただいて、何とお礼をしたら」


私は頬が赤くなるのを感じながら頭を下げた。


「あー、ならこの森から出る道を教えてくんないかな?俺さ迷子になっちゃってさ」


笑いながら男性は言った。私はそれに笑顔で返事をした。


「はい!あ、私の名前はエリス、エリス・シュワルツ・ジャンヌダルクと言います」


男性は何かを考えている。


「君は王女様だったんだね」

「はい、ヴァルキリアス皇国国王オルガ・S・ジャンヌダルクの一人娘です。ん?私が王族と知っても余り驚かないようですね?不思議なお方」


私は不思議であった。今まで会った人は私が一国の姫とわかると膝まずくのに目の前の男性はへーとしか思っていない男性をみて私は首を傾けた。


「ん、まぁ、そうか・・エリスこれからよろしく」


私は頬を赤らめながら意を決して口を開いた。


「どうか、エリと呼んでください」

「ん、良いのか?一国の姫を呼び捨てにして」

「私が良いと言ったら良いのです」

「わかったエリ、俺の名前は玲二(れいじ)

って言う」

「レイジ様いい名前ですね♪」


私は小さくフフっと笑った。


「様なんてやめてくれよなんか背中がムズムズする」

「ですが、命を助けて頂いたお方に呼び捨てなど、

ジャンヌ家の恥です!」


私は胸を張り言い放った。


「わかった。だが、もっと他の呼び方は無いのか?」

「ええ~と、じゃあ、レイジさん?」


私は少し困って首を傾けながら呼び方を変え、

疑問系で名前を呼んだ。


「うっ、まぁそれならまだいい方だな」


私は嬉しくなり、目一杯の笑顔になった。


(改めて見ると綺麗な黒髪、しかも黒目どこの生まれなんだろう?)


私は興味がわきレイジさんに尋ねてみた。


「レイジさん!レイジさんはどこの生まれなんでしょうか?こんなに綺麗な黒髪、黒目の人は今まで一度も見たことがありません」


レイジさんは少しの間を開けてから口を開いた。


「えぇっと、ずっと南にある小さな孤島で暮らしてたんだよ。俺は孤児で、その孤島でじいちゃんと二人暮らしをしていたんだ。もしかすると俺の一族は滅びたのかもしんねぇし。黒髪、黒目はもう俺だけかもしれない、そこは余りわからないね」


レイジさんは軽く言うが欠航重い話だったので、

要らないことを聞いてしまったと思って俯いた。


「ごめん・・・なさい、変なことを聞いてしまって」


私はたまらず謝った。


「いや、いいんだよ、過ぎたことだし、そんときはまだ俺は赤ちゃんだったしわかんないんだよ感覚が」


明るく私を気遣うように断ってきた。レイジさんの言葉に私は少しだけ楽になった。


「アイツ忘れてた。なぁ、エリ、あの盗賊どうする?いちようリーダーだけ残したけど、殺すか?」

「いえ、王国まで連れていきましょ?私的にもこの男に聞きたいことがあるので王国で拷問に掛けます」


レイジさんは少し考えてから問いかけてきた。


「何で王族であるエリがこんな森の中に居るんだ?」


私は今までのことを思い出し、どうしても表情が曇ってしまう。


「ええ、私はある国と和平を築くためにその国へ向かって会談が終わり帰ってくるとこでした。その時に私が乗る馬車が盗賊襲われたのです。私は必死に逃げて森の中に入りました。そこで私は追い詰められたのですが、レイジさんに助けて頂いたのです」

「そうか、エリは盗賊に何を聞くんだ?」

「普段はこの森には盗賊が出ると言う報告はありません。しかもタイミングが良すぎるのです」

「それがどうしたと言うんだ?」

「ちょっと私の国の話をしましょうか、私の国は和平をある国と結んだのは話しましたよね?和平を結んだ国は亜人国なのです。亜人は一部の貴族からすごく嫌われています。それで国の一部の貴族は和平に反発していました。ですが和平を推進するのは平民の方が断然多かったのです。ですがある日和平運動をしていた平民が謎の死をとげました。それからというもの、和平口にした平民は次々と謎の死をとげました。それから和平を口にする者は居なくなってきました。お父様はこの状況を重く見て悩みの末、貴族を押しきり和平を結びました」

「貴族の中に盗賊をけしかけた奴がいるとエリは思っているんだね?」


確定はしてない、けど私は断定しているので静かに頷いた。

馬車が通る場所を知っているのは王族と一部の貴族だけだ。となると一番怪しいのは私がよく知る人物となる。


(信じたくない!でも、私の通る道を知ってるのはごく一部の親戚、私を売るなんて信じたくないけど事実なのね)


「そうか、まぁ、なんだ、その・・・まずは王国まで俺を連れていってくれエリ!」


とびっきりの笑顔でレイジさんは私を気遣うように言ってくれた、私は目を擦り顔をあげた。


「ハイ!行きましょう、レイジさん」

エリは少し潤んだ目を擦り元気に言った。


そして私達は森を抜け王国へと足を進めるのであった。








誤字、脱字等ありましたら

教えて下さい

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