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第二幕〜霊感少女〜

 霊感。



 よく聞く単語ではあった。夏になれば、この怪談話と一緒に「自分には霊感がありまして」なんて前置きを喋りながら、いかにも嘘くさい映像を流す番組が人気を増す。そういう番組によれば、霊感がある一定値をこえると、全ての幽霊を見ることができるのだとか。

「こ、これは夢だ…。だって、あたしは普通の女子中学生だもん。霊感なんてあるわけないもん。幽霊だって今日初めて見たんだもん」

「そうそう、霊感が強すぎると幼い頃は力の制御が効かないから見えない期間もあるそうだよ。最後に霊感を持った人が来たのはいつだったかな。でも、その人も幼い頃この村に両親に連れられて墓参りにきた時はわし達の姿は見えなかったって言ってた」

「そ、それ本当?」

「もちろん本当だよ」

「じゃあ、あたし早死にするのかなぁ…」

「どうして?」

「あんたは知らないの?幽霊が見える人って、その人達に枕元で呪われたり恨みごとを言われたりするんだよ?」

「へぇ〜、現代の人間ってのは面白い作り話を広めているんだねぇ。そんなことないのに〜」

「作り話じゃない!本当なんだよ!だから、あたしもきっとあんた達に呪い殺されるんだ…」

 いたたまれなくなった唯は目に涙を溜めて叫んだ。

 その場にいた幽霊達も、いつしか哀れみの表情へと変わってきている。

「おい影丸。ますます童が混乱しているではないか!」

 幽霊たちの中には影丸にブーイングを飛ばす者、泣き崩れた唯を見て右往左往する者様々だった。


(なぁ〜んてね)

 唯は心の中でぺロリと舌を出していた。まさか幽霊に泣き脅しが効くとは思ってもいなかったが、ここまで効果があるのだったら何はともあれ大チャンスである。

(この隙に……それ!)

 唯は最後にカラオケで鍛えた肺活量を活かした叫び声を上げると、軽やかに地面を蹴ってその場から逃げ出した。

 幽霊達はさっきまで泣いていたのが演技だったということに、まったく気づかず混乱していた。誰も唯を捕まえられなかったし、捕まえようとしなかった。

「へへ、意外とやってみるものねぇ」

 唯は墓地の階段付近まで走りながら一人で笑っていた。

(よし、そこの階段を降りればあいつらは追ってこれないはず)

 唯は自分の勝利を確信していた。

「ふっふっふぅ〜。最近の童は嘘をつくのも上手だねぇ」

 ギクッ。

 影丸の笑いを含んだ声に唯の足が一瞬速度を緩めた。

「それでこそ驚かしがいがあるってもんだ」

「ひぃ!」

 いつからそこにいたのだろうか。唯が駆け下りようとしていた階段の下には先ほどと同じように、短刀で首を刺した影丸がいた。そして猛烈な勢いで階段を上り、唯に向かって走り寄っていた。

「ぴぎゃああ、勘弁してよぉ!」

「ニハハハハ、よくも逃げようとしたなぁ〜!」

「ご〜め〜ん〜な〜さ〜い!」

 再び唯と影丸の追いかけっこが始まるかと思いきや、影丸は階段を上りきる前に唯の背後に着き、後ろから彼女に抱きついた。

 何ともいえない冷たい感触が全身に走り、唯はついに気を失ってしまった。

「捕ま〜えた!……あれ?お〜い」

 影丸は純粋に唯と駆けっこができると信じていたみたいだった。

「しょうがないなぁ…」

 後ろ頭を掻きながら影丸はそのまま唯を抱き上げると、皆のいるところまで戻ることにした。

「おっととと、この子結構重いなぁ。死んでから今まで童の体で生きてきたけど、初めて不便さを感じるよ」

 それもそのはず。唯と影丸の身長差はほんのわずかで、体の細さからいっても今の影丸のほうが唯より少々華奢だったのだ。

「まったく、元忍びのオイラが女の童を運ぶなどと、あの頃では考えられないな」


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