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第二幕〜涙のお約束〜

「いい加減にせんかい!」

「ふぎゅ!」

スパーンと乾いた良い音を立てて、ハリセンが影丸の後頭部に命中する。

「いったぁ……何すんだよ伝兵衛〜」

 痛そうに頭をさすりながら影丸がぼやく。

「その言葉をそっくりそのままお主に返してやるわ。お主の馬鹿遊びのせいでまたわしらの家が滅茶苦茶ではないか!」

 伝兵衛が指し示す先には、唯が蹴り飛ばしたお供えや花束、水桶などが転がっていた。

「いやさ、どうせ怪談物ならお約束の脅かしくらいしとかないと面目が立たないと思って」

「何がお約束だ。ほれ、さっさと片付けるのを手伝え」

 伝兵衛にきつく睨まれ、影丸は「うぇ〜」と言いながら、渋々墓の後片付けに向かう。

「そこの童もだ。影丸がしでかしたこととはいえ基本的に荒らしたのはお主なのだからな」

「う…」

 この隙に逃げようかと思っていた矢先の伝兵衛のきつい一言に、唯はまるで石のように体が硬くなった。

「よもや逃げられるとは思うておるまい?子供の時に親から言われなかったか?出したものはきちんと片付けよとな」

「はぃ…」

 唯は今にも消えいりそうな声で返事をした。その顔にはまだ恐怖という二文字が浮かんでいる。それを察したのか伝兵衛は付け加えるようにこう言った。

「わしらは姿こそお主と変わらんが、幽霊じゃ。事が全て終わった後にお主をとって食うようなことはせぬ。ただ、どうしてあの場でわしらの話を盗み聞きしていたのかということくらいは話してもらうがな」

 伝兵衛なりに自分達が唯に危害を加えるつもりがないことを示した言葉だった。だが、やはり唯の表情からはまだ恐怖が消えることはなかった。


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