それはとってもおかしいなって
重いんだよぉおおおおおおおおおおお!!(PCが
サブタイどおり今回はおかしいです。いつもおかしい気はしますがね。
――シキが目を覚ますと見たことのある天井、スプーの家だった。外は薄暗い暁。シキは起き上がり部屋を出る。そこにスプーはいない。シキはまだ起きてきていないのだろうと思い、特にすることも思いつかなかったのでトイレに行った後二度寝することにした。
――スプーは朝早くに家を出た。向かった先はシキと出会った森。シキについて何か手がかりが残っていないか探すためだ。しかし、シキに関連しそうなものは見当たらなかった。
(『異世界から来た』……信じられない話だけど、あんな力を見せ付けられたらこの世界の住人とは思えない……シキ君が呼ばれた理由が本当に『コセイ帝国を消すため』なら……僕は全力で彼をサポートしなければ……こう考えるとなんだか利用しているみたいでヤだなぁ……やっぱり僕もそういう生まれなのかな)
スプーは森を抜けて街へ戻った。森を探索しているときついでに狩った魔物の一部をギルドで換金し、そのお金で食材を買って家に戻った。
――シキはもう一度目を覚ます。外はさっきより明るくなっている。部屋からでると、今度はちゃんとスプーがいた。朝食を作っている。
「おはよう」
「おはよう、体は大丈夫なの?」
シキは言われて気づいた。自分の体に傷が無いことに。だが、シキはそのことがそこまで気にならなかった。
「大丈夫、なんともないよ」
「そう、良かった」
スプーは安堵のため息を漏らした。
「はい、できたよ」
朝食は昨日とほとんど変わらない。シキとスプーは席について食事を始めた。
「「いただきます」」
――朝食の後、スプーはシキに「『魔法について』と『この世界について』、どっちが気になる?」と聞いた。シキは魔法については昨日やったので世界について聞くことにした。
「急にどうしたの?」
「君が異世界から来たって言うから、この世界のことを説明しておかないと駄目かなって思ったんだ。魔法についても、昨日は実技的なことだけで知識的なことは全く教えてなかったし。実際は潜在属性探るためにも、知識的なことから入らないと駄目だったんだよ」
シキは納得した様子で話を聞いている。
「それじゃあこの世界についての説明からするよ。ちょっとまってて」
スプーはそう言って自分の部屋に入っていった。そしてなにやら丸めた大きな紙を持ってきた。それを机の上に広げてから説明を始める。
「まずこれがこの世界の全体図、今僕たちがいるグルトン王国がこの右上のほうにある小さい国」
スプーは地図の右上を指差して言った。地図には真ん中に小さな大陸が一つ、そしてその周りに円状に繋がった大陸がある。
「えっ!?ここがグルトン王国だったの!?」
シキは今までここが何処なのか知らなかったようだ。
「そうだよ、そして時計回りにヤタカ王国、ボーン王国、ウキコウ王国、リュシア帝国、ルマキ王国、ドヒマ帝国、スアリ帝国となっていて、そして……君が消さないといけないと言われているコセイ帝国が、このど真ん中にある大陸全土だよ。国としては一番の大きさだね」
「うわぁ……ずっと思ってたけどこれで確信した。国潰し無理でしょ……」
話を聞いて、シキはなんというか嫌そうな顔をして言った。
「君なら……できるかもしれないんだ。普通は出来ないことを簡単にやってのけるし、掛け合わせの威力、種類ともに未知数……戦力を整えれば出来ないことはないはずだ。僕も手伝うし」
スプーはシキを説得しようとした。だが、ここで初めてシキがスプーに疑惑の念を抱く。
「どうしてそこまで?気になってたんだけど……なんていうか……都合が良すぎて怖いみたいな?」
シキがそう言うとスプーは顔を伏せた。
「そうだよね……わかった、ちゃんと話す。何も知らない君を利用したくは無いから」
スプーはそう呟いた後、話を始めた。
――僕はコセイ帝国出身なんだ。中でも都会のほうで生まれ育った。小さな頃から魔法が得意で、好きだった。家族にも才能を褒められてた。そんなふうに過ごしていたら、四十歳ぐらいのとき軍隊に誘われたんだ。僕はまだ幼かったけど、国のために頑張ることはいいことだと思ってすぐに返事を出した。
すぐに軍に迎え入れられて、軍の中で僕は魔法の研究も戦闘もこなした。そうしたらどんどん階級が上がっていった。うまくいってた、軍に入ってよかったとも思った。
でも、初めて争いに負けたとき現実を知った。コセイ帝国は失敗した奴の家族を見せ付けるように殺すんだ。「お前のせいで死ぬんだ」って言って……初めは母さんが殺された。次は父さん、耐えられなかった。自分のせいで人が殺されることに。僕は妹を連れて国から逃げ出した。もちろん追われたけど、僕だって軍の魔法使い。追ってくるものは蹴散らした。小さな船を奪って海に出たところで狙撃され、妹は頭を撃ち抜かれて即死、僕は海に落ちた。僕も死んだと思った。
だけど気がついたらこの家のベッドの上。この家の本当の持ち主が流れ着いた僕を助けたんだ。その人は僕に何を聞くわけでも無く世話を焼いてくれた。その数年後にその人は病気で亡くなって、今に至る。――
「ここまでが僕の過去だよ。これで納得できたかい?」
スプーは少し笑おうとしていたが、目は悲しそうだった。
「じゃあ……」
シキは質問をしようとしてやめた。だが、スプーは答えた。
「復讐がしたいだけなのかって聞こうとした?違うよ、恨むことは無い。僕がやってきたことなんだから。ただ……コセイ帝国の人たちを助けたいって思ってたんだ。だから……」
「わかった!全力で手伝う!」
シキはスプーが言い終わる前に答える。
「え?いや手伝うのは僕で……」
「コセイ帝国を消すなんてのはどうせできないから!だったらスプーの手伝いをして、コセイ帝国を変えてやんよ!」
「シキ君……」
今度は、しっかり笑うことができた。
慈乃「…………」
藤宮「…………」
慈乃「……ねぇギルドテンプレは?」
藤宮「待ってくれ、あと服着てくれ」
慈乃「あぁうん……」