魔法!それは聖なるゲフンゲフン
魔法!それは未知へのゲフンゲフン
魔法!そしてそれは勇気のゲフンゲフン
――朝、シキは目を覚ます。そこは見慣れぬ部屋、暖かいベッドの中。シキは昨日のことを思い出した。
(やっぱり夢じゃなかったのか……)
シキは起き上がり、部屋を出た。そこではスプーが一生懸命机に向かってあのレポートを解読していた。
「おはよう」
「あ、おはよう。朝ごはんはそこに作ってあるから食べてね」
スプーはそう言って部屋の真ん中にある机を指差した。そこにはパンのようなものとサラダのようなものが置いてある。
「あぁ、ありがとう」
シキはお礼を言っておいたが、スプーはレポートの解読に戻っていたため聞いていたかどうかはわからない。シキは朝食を食べ始めた。
スプーは結局一人では読むことはできず、シキに読んでもらった。「一言一句間違えずに読んで」とスプーに言われたシキはゆっくり読み、スプーは綺麗な字でそれを他の紙にメモしていく。それはただの資源の無駄遣いだった。必要の無い部分が半分以上を占めているレポートの複製品が出来上がった。それは小さい字で綺麗にまとめただけだが、本物より二十枚ほど少ない枚数である。そこから必要だと思われる情報を抜き出すと、やはりシキが一度まとめたとおりのものが出来た。つまりただの時間の無駄遣いだった。
そうこうしているうちに日は高くなっている。スプーの家の時計は真上を指している。シキの世界と同じだとすれば十二時だろう。朝食べたものがそろそろ消化されて、おなかが減るころだ。
「……昼ごはん作るよ。魔法は昼食べたら教えてあげる」
スプーは疲れた表情でそう言って台所へ向かった。
――昼食を終えたあと、シキはスプーに連れられて近くの広い岩場に来た。スプーは荷物を置いて話を始めた。
「さて、ここで魔法を教えるけど……さっきのレポートの内容で気になったことがある。『魔法を全属性使える』『無属性』『掛け合わせることが出来る』この三つなんだけど」
「普通は掛け合わせが出来ないことは書かれていたけど他の二つもおかしいのか?」
シキは良く知らないので聞いた。
「この世界での常識ではね、魔法は潜在属性と後学属性の二種類しか使えないんだ。僕は風と火、風が潜在属性で火が後学属性だよ」
シキはなんとなく言葉の意味を理解した。そして疑問も生んだ。
「うーん、潜在っていうのはなんとなくその人が最初からもっている属性だから一種類だけなのはわかるけど、後学が後から自由に学んで使えるようになるなら一種類はおかしいんじゃないか?」
「そうなんだけど、でも実際に一つマスターしてしまうとどんなに頑張っても他の魔法は使えないんだ。昔、魔法の研究をしていた人がある人に潜在属性の土に加えて風と水の二つを学ばせる実験をしたんだ。だけど同時に学ぶと何十年たってもどちらも使えるようにはならなかったんだ」
シキは完璧に理解するのを諦めてなんとなくで理解した。その様子を見てスプーは話を変える。
「次に無属性。僕は魔法使いとして結構生きてるけど、こんな属性は聞いたことが無い」
このスプーの台詞を聞いたシキは関係の無いところに突っ込んだ。
「『結構生きてる』って……え?何歳?」
「ん?九十五歳だけど……あぁ、エルフの寿命は人間より長いからね。そんなことより無属性魔法だけど君は……心当たりないよね」
シキは申し訳無さそうに「ないです」とだけ答えた。
「わからないことは放っておいて、次は掛け合わせについてかな。これは……まず君に魔法を教えてやってみてもらうしかない」
シキは「やっと魔法が使えるようになる!」と少し嬉しそうだ。
「魔法と言うのは意外と簡単なんだよ。使う魔法のイメージをして魔力を出すだけでいいんだから。君は全属性使えると言うのが本当なら潜在属性を探る必要もないし。じゃあまずは……一番安全なウォーターを使ってみよう。体の中を流れる力と水をイメージして手に水の玉を出してみて」
シキは言われたとおりにしてみる。体を流れる力、魔力、そして水をイメージして手に集中する。すると手のひらの上に巨大な水の玉が出来ていた。
「おぉ!出来た!」
シキは魔法が使えたことに喜ぶが、スプーは驚いていた。なぜなら、シキが作った巨大な水の玉は、もはや低級魔法のウォーターと呼んでいいものかわからないほどに多くの魔力を含んでいるのだ。ここまでなら初心者が無駄な力を込めすぎているだけに過ぎないが、シキはまったく疲れた様子を見せていない。普通なら体の中のエネルギーを放出して水を球状に保つだけでもしんどいはずだ。
「よっし!他のも試すぞ!」
スプーが呆けているうちに、シキはそう言って水の玉を捨てて他の魔法を試し始めた。火を試すと巨大な炎、土を試すといきなり岩、風を試すと嵐を起こしてしまった。
「シ、シキ君!もっと抑えて!!」
「うおっ!ごめん!!」
その後もシキは光、闇を試し、威力を抑えることも試す。そしてそれをどれも一発で成功させてしまった。たった数時間の練習で指先に小さく魔法を出すことも、二つの魔法を同時に使うこともできるようになってしまった。
「すごい……とんでもない魔力量と成長速度だ。これなら本当に……」
スプーは呟いた。魔法に集中していたシキには聞こえていないようだ。
「駄目だー!無をイメージできない!」
ほとんど吹き飛ばされ、平地になってしまった岩場で、シキは無属性を使おうとしていたがどうやっても光属性になってしまっていた。
「シキ君、一度無属性は諦めて掛け合わせをやってみたらどうだい?」
スプーは期待のまなざしでシキに掛け合わせをするように促す。シキはそれを聞いて右手に火属性、左手に風属性を出した。
「確かこれで爆発魔法になるんだっけ?」
「ちょ……そんなに魔力込めてたら危ないんじゃない?」
スプーはシキに実験なんだからもう少し小さくするよう言う。シキも力の無駄遣いを避けるために親指に火、人差し指に風を作り出す。
「よし!行くぞ!」
シキは親指と人差し指を合わせる。
――地面に巨大なクレーターが出来上がった。
慈乃「チート表現ktkr!」
藤宮「そうだな、服着てくれ」
慈乃「主人公にしかできない魔法、莫大な魔力、光の速さで成長、完璧だなはるにゃん!」
藤宮「あぁ満足しただろ?服着ようか」
慈乃「次はギルドテンプレだな!」
藤宮「おい、服着ろよ」