Scream
「どうしたんだ、お前ら。酔っておかしくなっちまったのか。」
気付くと周りの連中は獣のような咆哮を上げながら熱さなどお構いなく
素手で鉄板にこびりついた肉片を削り取っている。
同級生たちは懐かしい旧友と肉を奪い合い男女関係なく殴る、蹴るの横暴に出ている。
皆一様によだれを垂らし目を爛々とさせ髪を振り乱し二足歩行もままならない状態でも
なお肉を求めて歩き回っている。
わずか数分でさっきまでの楽しい同窓会が見るも無残な修羅場へと化していた。
「おい三宅、こりゃあ何かのドッキリ・・・なんてことはないよな。」
「馬鹿か、何で同窓会でドッキリしかけるんだよ。」
笹倉の冗談なのかよく分からない戯言を信じたい自分がいたが
この状況から見るとどうやらそれは無いらしい。
仮にそうだとしてもいくらなんでもやりすぎだ。
「きゃぁああ!!」
部屋の隅から女の悲鳴が聞こえた。
いきなり俺の頭の中に割り込んできた女の声を聞き間違えるはずがなかった。
奪い取っている衝撃で落ちたのだろう焼肉が遠藤綾乃の足元にあるのに
気付いた数人が彼女を肉を奪う敵と認識したのか一斉に襲いかかろうとしていた。
「遠藤!!」
俺は彼女を野獣から守るため自分の身のことなど考えず遠藤と奴らの間に飛び込んだ。