Special
とうとう肉が登場
「では改めて延川高校三年一組の同窓会をはじめたいと思います。
えぇ~乾杯の音頭をとらせていただきます、中村です。
高校を卒業して三年、初の同窓会ということでありまして
何処がよいとやら思案した結果、有名焼肉店の桃源郷さんで
行うことにしました。しかも本店で。
2階の座敷は貸切なので皆さん思う存分楽しんでいって下さい。
まぁ積もる話もあるだろうから長い挨拶は不要ということで
ではみなさん乾杯!!」
幹事の中村が挨拶を終え皆一様にグラスを構えながら
楽しい談笑へと移り変わっていた。
そしてなんといっても皆が期待していた
お待ちかねの肉が登場し網に乗せられ
ジュージューといい音をして焼かれる。
「肉だ、肉だ、肉だ~!!」
「肉ぐらいではしゃぐなよ。」
「分かってないな三宅。桃源郷の肉は特別なんだよ。
牛肉や豚肉、鶏肉はたまたここで使用されている野菜までもが
自社牧場・農場で生育、栽培されてるんだ。
そんだけ力入れているからには相当美味いってことなんだよ。」
苦学生である俺らには肉なんてそうそうお目にかかれる代物ではなく
ましてや高級焼肉店の焼肉が食べれるなんて夢にも思わなかった。
「じゃあ、まずは牛タン塩だな。」
「何言ってるんだよ、カルビだろ。カルビ。」
「俺は最初に牛タン塩にレモンかけて食うんだよ。
勝手にカルビ乗せんじゃねぇ。」
笹倉は俺の皿にいい具合に焼かれた味付きカルビを2枚無造作に置いた。
「女子みたいな食い方するなぁ、お前は。
じゃあタン食った後にそれ食えよ。」
「それじゃあ冷めちまうだろうが、
熱々のうちに食べなきゃ意味ないだろ。」
「三宅、肉ぐらいではしゃぐなって言っておきながら
すごいこだわり持ってるよな、よっ焼肉奉行!」
「奉行言うな。」
笹倉は焼肉を食す前にコップに注がれた一杯の水を一気に飲み干し
プハーッと言うと意気込んで割箸を持つ。
「なんで水なんて飲むんだ?」
「一回口の中をきれいに掃除するんだよ、
その方がより一層肉が美味く感じるんだ。」
「お前だって人のこと言えないじゃねぇかよ。」
肉への並々ならぬ敬愛心に俺は思わず笑ってしまった。
そうだ、今日はまたとない美味い焼肉を食べれる機会なんだ。
今は昔のことなど忘れて楽しい食事をしよう。
俺は笹倉の真似をして水を一気飲みし、
皿に乗せてあるまだ熱々のカルビに箸を伸ばした。。
自分は焼肉屋行ったら
とりあえずカルビ、牛タン塩、ホルモン、石焼ビビンバ頼みます。