Eye contact
三年振りの生で見た遠藤綾乃は一層華やかになっていた。
「おっ、おぉ遠藤来れたのか。」
「うん、思ったより仕事が早く終わって。」
幹事の中村が彼女の美しさに一時停止状態で
ようやく喋ったかと思えば第一声がひっくり返っていた。
「じゃあどっこか空いているところ・・・。」
「綾乃ー!!こっちこっち。」
中村が空いている席を探して辺りをキョロキョロしていると
よく通る女の声が遠藤を下の名前で呼び手招きしている。
「笹倉、遠藤の隣の奴誰だっけ。」
俺はその声の持ち主の女性が誰か分からず
笹倉薫平に問いかけた。
「あ~、高橋だよ。高橋美佳。」
「高橋?あぁ、あのけたたましい奴か。」
「お前けたたましいはひどくね。
確か遠藤と一番仲良かったんじゃないか。」
「そう言われても・・・。
俺あいつがゲラゲラ笑っていたことぐらいしか覚えてないし。」
「高橋も三年間同じクラスだっただろう。
ったく三宅は遠藤以外の女は見てなかったのか。」
「ばっバカか、ただ忘れっぽいだけだよ。」
「そうかぁ~。」
痛い所を突かれ俺はニヤリと笑う笹倉に対して弁明する。
俺が言い逃れしているうちに遠藤は高橋とその他三人がいる
女子グループへ混ざり俺達と少し離れた席に座った。
笹倉にああは言ったものの実際遠藤以外の女子は
ほとんど名前も顔も覚えていない。
俺の高校生活三年間の青春は遠藤に捧げたようなものであった。
だがフラれてからも彼女のことを想い続け
そのおかげで大学に入り新生活をスタートさせた後も
彼女の一人も出来やしなかった。
そんな俺の高校時代の青春の象徴である彼女を
盗み見しようとチラリと視線を走らせた瞬間
遠藤とバッチリ目が合ってしまった。
視線がぶつかり俺はすぐさま外そうとしたが
それよりも早く遠藤がバッと顔を勢いよく背けた。
あからさまな行動で遠藤が俺のことを嫌いなんだと認識した、
いきなり卒業式に告白したんだ当然のことか。
致し方ないことだがそのことは俺の心に強いダメージを与えた。
今のところ焼肉が出てこない・・・・・