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【観測者の時空】番外編『中継セクター』 ―サボり屋カノジョの監査ログ―  作者: Taku
第2章:中継セクター深層ログ

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対戦トーナメント:第5話「青年 vs 学生:予知と未知の対話」

―――試合前―――


学生がノートを開いている。青年が隣の椅子に座る。学生が尋ねる。


「未来、見えるんでしょ」


「見える。見えすぎることもあるよ」


学生がペンを止める。


「見えない私の方が、今日は強いかも」



カノジョが廊下から聞こえてくる声に言う。


「やってみなきゃ分かんないよ!」


二人は各々のスタンスで、試合に挑もうとしていた。



―――御前会議室・第四試合―――



円卓の中央に、青年と学生が向かい合っている。青年は椅子にだらりと腰掛け、学生は背筋をピンと伸ばして座っている。


他のメンバーは観客席で見守る。


監査役が、対戦の開始を宣言する。


「第四試合。青年 vs 学生。テーマは『未来をどう見るか』。開始」


青年が、口を開く。


「未来は見える。予測できることが、未来を歩くための道具だ。この能力で多くのことを見てきた。それがなければ、今の自分はない」


学生が、静かに答える。


「見えないから面白いと思うんです。不安だからこそ、人は考える。何が起きるか分からないから、準備できる」


「見えないと不安でしょ」


「不安だからこそ、準備できるんです」


青年が、少しだけ眉をひそめる。


「準備しても、予測できないことは起きる。それでも、不安でいるのか?」


「不安は、悪いことじゃないと思います。不安があるから、人は動ける。未来が見えすぎると、逆に動けなくなることもあるんじゃないですか?」


青年の指が、わずかに止まった。彼は、自分の手のひらを見つめる。そして、呟く。


「……見えすぎると、動けなくなる。それも、確かにあるかもしんないな」


「青年さんは、未来が見えることで、何かを諦めたことはありますか?」


沈黙。


青年は、何も言わなかった。


その沈黙が、答えだった。学生は、続ける。



「私は、未来が見えないからこそ、今を大事にできるんだと思います。明日何が起きるか分からないから、今日をちゃんと生きようと思える」


「……それは、楽観主義だ」


「楽観主義かもしれないです。でも、それでいいと思うんです」


二人の会話は、深く、穏やかだった。誰も、割り込まなかった。ただ、その対話を見守っていた。


その時、カノジョが、ぽつりと言った。


「未来なんて、行ってみなきゃ分かんないよ!」


会議室が、静まる。青年と学生は、顔を見合わせた。そして、同時に言う。


「……それも、確かだ」


青年は答えた。


「うん。行ってみるまで、分からない」


カノジョは、それだけ言って、またラムネを口に放り込んだ。会議室に、小さな笑いが起きた。


監査役が、端末を閉じる。


「第四試合、引き分けとする」


拍手が、まばらに響く。青年が、学生に言った。


「君の言う通りだ。未来は、見えすぎると動けなくなる。少しだけ、見えない方がいいのかもしれないな」


学生が、微笑んだ。


「でも、見える力があることは、きっと強みです。使い方次第だと思います」


青年が、小さく笑った。



【観測記録:対戦Codeトーナメント戦】


第四試合:青年 vs 学生。

テーマ:「未来をどう見るか」

結果:引き分け。

評価:未来は予測するものではなく、歩くものだ。

特記事項:カノジョの一言により、両者が「歩く」という共通項を確認。



―――試合後―――


青年と学生が並んで出てくる。


「見えすぎると、動けなくなる。あるかもしんない」


青年は感慨深く呟いた。


「見える力は、使い方次第ですよ」


学生は真っ直ぐに答えた。



カノジョが後ろから追い付く。


「どっちも一理あったね!」


カレシが記録する。


「予測と未知。両方を残す結果」


──次回予告──


「正しい助言か、届く助言か。人の心に届くのは、どちらだ?」


カレシ「完璧な論理で臨む。データこそが、助言のすべてだ」


カノジョ「うん、そうだね! ……でも、それだけじゃ届かないよ?」


次回、第五試合「カレシ vs カノジョ」。

カレシのリベンジマッチ、開幕。

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