青天の霹靂!持つべきものはスタッフの友達…
夜中、呼吸困難で起きる。痰が喉にへばりつき、息が出来なくなるのだ。お医者さんに、
「それで窒息はしません。」
と言われたから、パニックにならなければ多少鼻から息が吸えるようなのだが、かなり苦しい。咳が出て、痰が張り付くからもう口では息が出来ず、そうだな、音を書くのは難しいが、よくミステリーや刑事もののドラマで毒を盛られた人が、首を掻きむしりながら出す音?ああいう怖い音がするもので、同じ部屋で寝ている厚夫もびっくりして飛び起きてしまう。お互いに寝不足だ。私はその後寝るのが怖くなって、心臓バクバクで、しばらく寝付けない。寝付くとまた1時間くらいでぐがっとなって飛び起きて……本当にこれで旅行するのかよ……。因みに、その呼吸困難状態になったら、水を少しずつ飲めば何とか喉が通るのだった。初めてそうなった時はマジで死ぬかと思ったが、水を飲んでみようと思った自分を褒めたい。それ以来、枕元にペットボトルの水を常備している。
朝、もう起きようと思ってスマホを見たら、Xにお知らせがあった。私が前にシャトルバスについて悩みを呟いていた所に、返信があったのだ。
「9時台のバス、今見たら空いてたよ。」
ボランティア仲間のサナちゃんだった。サナちゃんは、実は一郎と同じくらいの年、つまり娘みたいな年齢なのだが、ボランティアリーダーをよくやるしっかり者なのだ。そのサナちゃんは、昨日から大阪に来ていて、昨日と今日、万博にインするらしい。
万博は東ゲートと西ゲートがあって、それぞれの入場予約を取って行かなければならない。私は9時の西ゲートを予約していた。4人分をまとめて予約した。4月には、桜島駅から夢洲までのシャトルバスは予約不要だったので、何度か直前にチケットを買って乗ったものだ。今は桜島駅からも予約制だと知ったのは、割と最近だった。いざ予約してみようと思ってアプリを見たら、8時台のバスはもう空いていなかった。9時台のバスは空いていたのだが、9時台のバスを目指したところ、夢洲に着くのが10時を過ぎてしまうという事はないかと心配になった。今は地下鉄で夢洲駅まで行き、万博会場の外側を歩いて西ゲートまで行かれるようで、そっちの方がいいか、でも30分くらい歩く事になるから朝から疲れるか、などと迷っていた。それをXで呟いていたのだが、迷っているうちに9時台のバスもいっぱいになってしまい、地下鉄で行こうと決めていたのだ。
そこへ、サナちゃんからの「今なら9時台のバスが空いている」という情報だ。私は早速アプリから9時台のバスのチケットを4枚買おうと試みた。そうしたら買えた。まだ起きていない家族に相談などしなかったが、そもそも全部私が決めていたのだからいいだろう。サナちゃんからは更に、
「夏子さん、独り万博?見たいものあるなら一緒に回ろうか?」
という優しい声掛けも。おばちゃん泣いちゃう。本当はサナちゃんに会いたいところだが、今回は家族連れという事を伝えた。
すると、今度は別のボランティア仲間のカリンちゃんからLINEが来た。
「今日は何人でいらっしゃいますか?英国館とクウェート館なら、私スタッフやっているのですぐに入っていただけますよ」
と。更に、
「人数にもよりますが、10時までに待ち合わせできればフランス館も大丈夫です!」
と。え、どういう事?ちょっとパニック。いや、なんか、わかんないけど嬉しい。
私たちボランティア仲間は、今回の万博でボランティアをする人やスタッフとして働く人同士でグループチャットを作っていた。いついつ行きまーすなどと書き込み、万博内で会えた人同士で写真を撮って上げたり。私も4月のボランティアの時に仲間数人と会って、写真を載せた。しかし、このカリンちゃんはその当時英国館にいて、会いに行ったのだが行き違いがあって会えなかったのだ。そのカリンちゃん、スタッフとしてずっと万博にいる。開幕する前から大阪入りして、半年間大阪で暮らすというのだ。すごいなぁ。カリンちゃんは私よりも二回りくらい若い子だが、一緒に謎解きに行ったりして仲良くしてもらっている。そうそう、さっきのサナちゃんとも、一緒に謎解きをした仲だった。
厚夫にカリンちゃんからの申し出の事を伝えると、
「え、いいの?」
という、喜ぶ前に困惑という状況。まあこれ、チートだよなあ。他の大多数の、長時間並んでいる人達に知られたら、袋叩きに遭う感じのやつだよなあ。でも、これがカリンちゃんの迷惑にならないのなら、せっかくだしお言葉に甘えない手はない。ただ、あれもこれもお願いするのはやっぱり気が引ける。
ということで、10時には間に合いそうもないのでフランス館はお断りする事にした。クウェート館には行ってみたいので、とにかくそれだけはお願いしようという事になった。そうカリンちゃんにも伝えた。カリンちゃんは、フランス館は夕方にもチャンスがあると言ってくれたが、私が唯一事前予約を取れている三菱未来館の時間と被っていたのでそれもお断りした。だが、
「10時15分までなら待てます。ギリギリまで待機してますね!」
と言ってくれた。なんて親切な。忙しいだろうに。こうなると、是非色々とお世話になりたいという気持ちになって来るから不思議だ。




