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もと神さまの、魔物手帖。  作者: 可燃物


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episode.ペンマウルス

 とんでもなくデカいクマ、という印象の魔物。

 ソレが大魔熊(ペンマウルス)だ。


 地球の最大種はホッキョクグマで、体長は二五〇センチメートル程だったが、大魔熊(ペンマウルス)は更にその上をいく。


 俺が見た最大サイズは五〇〇センチメートル程かな。

 体重は三トン。



 大猫(カトル)種に分類されているだけあり、その体躯は柔軟性に富んでいる。

 視覚や聴覚は特出して鋭くはないのだが、とにかく嗅覚がハンパない。


 獲物を横取りしてしまったら、現場に残されたそのコソ泥の臭いを頼りに、何キロメートル離れていても、執拗に後を追い、報復するとされている。



 そんな大魔熊(ペンマウルス)の習性を逆手に取ったのが、冒険者ギルドで公表してあった狩りの方法だ。


 大魔熊(ペンマウルス)はその大きい身体から想像に易いが、大型の魔物を主食とする。

 雑食性のため、果物や木の実を食べる姿も散見されるが、それだけでは身体を維持するエネルギーは全く足りない。


 時折石を食べていた、なんて報告も上がるが、それは恐らく魔物の体内にある魔石だろう。

 もしくは、精霊が死んだ時に生じる結晶・精霊石か。


 どちらもエネルギーの塊だ。


 狩りが上手くいかずに空腹状態の大魔熊(ペンマウルス)が、美味しくは無いが致し方なし、と食べていたのではないかと予想される。



 ヤツらの主食は魔鹿(ケルヌス)鱗猪(スクァース)


 ハレンチ・スタイルの某黄色いクマから連想されるように、妖蜂(メリアピ)の蜜も大好物だ。

 巣ごと、妖蜂(メリアピ)ごとオヤツ感覚で食い尽くす。


 当然妖蜂(メリアピ)は抵抗するし毒針で刺されるのだが……

 身体が大きいせいか、即効性はないようだ。


 フラフラしている大魔熊(ペンマウルス)を討伐してみたら、口の周りがベタベタだったとか、解体してみたら妖蜂(メリアピ)が丸ごと出てきたとか言う話は聞くので、効果が全くないワケではないらしい。


 その効果が得られるのが、巣が全滅した後というのが、なんとも悲しいものだね。


 イヤ、妖蜂(メリアピ)が更に強力な毒を生成できるように進化したら、ソレはソレで人間が大変になる。

 是非今のままの毒性でいて欲しい。



 公開した大魔熊(ペンマウルス)の狩猟方法は、単純だ。


 速度強化のバフをかけた靴を履くか、精霊術をかけるかして、食事中の大魔熊(ペンマウルス)から獲物を奪う。

 そして全力で逃げる。

 ひたすら逃げる。


 そして逃げた先に、森の中に生えている 蚊連草(ゲラニウム)の花を潰して服に擦り付けたり、藺草(ジュンカス)を編んだものを揉んで香りを立たせたりして体臭を消した仲間を配置する。


 逆上した大魔熊(ペンマウルス)は、頭に血が上って周囲への警戒を怠るため、潜んでいる者には気付けない。

 タイミングを見計らい、木の上から仲間が仕留める。


 それだけだ。

 それだけなのだが、コレがなかなかに効果的で、無傷で生還する冒険者が多くなった。

 一時は大魔熊(ペンマウルス)から獲れる素材の値段が、ガクンと落ちてしまった、と言えば規模が分かると思う。



 体臭を消す方法は他にもある。

 そこら辺に落ちている魔物のフンを使えば、より確実だ。


 汚いしクサイから、街に入る前には絶対に川で全身丸洗いをして欲しい。

 そうじゃなきゃ入れてやらん。


 「冒険者はクサイ」なんて、冒険者の全体を貶める風評被害を立てられたら嫌だからね。



 落とし穴のような仕掛け罠は、気取られてしまうので向かない。

 不発に終わったら、体力差でいつか追いつかれて殺されるだろう。



 そのリスクも踏まえ、注意事項もやり方と一緒に張り出した。



 一、必ず最低三人一組で行うこと。


 オトリになる者・獲物を含めた周囲の動向を観察する者・仕留める者。

 仕留める者は、多い方が成功率が上がる。

 見張りを怠れば、仕留めた大魔熊(ペンマウルス)を横取りしようと他の魔物に襲われる危険性が増す。

 三人は最低人数!



 一、油断せず回復薬を持ち歩くこと。

 買う金がないなら、ギルドで貸し出している。

 使用した場合にのみ料金請求をする仕様のため、お守り代わりに持ち歩くべき。

 少額の借金を背負うのと死ぬの、どちらがマシか考えろ!



 一、緑個体ならば春、白個体ならば秋の繁殖期に狩猟はしないこと。

 繁殖期の魔物は気が立っていて獰猛だ。

 大魔熊(ペンマウルス)に限らず、繁殖期の魔物を敵に回すのは、命知らずな行動と言える。

 少しでも違和感を覚えたら、即撤退!



 このみっつを、わざわざ赤文字で強調して記載しておいたのだが……

 まぁ、注意書きなんて見ないわな。


 見たとしても、俺は大丈夫だと慢心してしまうのが、冒険者という生き物だよな。

 賢かったら、もっと別の仕事に就いている。



 特に三番目は、冒険者の数を減らしたくないので厳守して欲しいんだけどな。



 どの魔物にも言えることだが、繁殖期を迎えるとオスは、お相手を見つけるために行動範囲をかなり広域に拡げる。

 そして繁殖という行為は、生物の本能に基づいた、最も優先させるべき事項である。


 時には自分の身を削ってでも、死ぬ可能性があったとしても、繁殖をするためならば危険をかえりみずに長距離を移動し、同族と争うことも厭わなくなる。


 そして繁殖を優先している魔物は、セオリー通りに行動しないものなのだ。


 なのでよほど自分の力に自信がある者でも、戦いを挑むべきではない。



 俺が拠点としている(オルトゥス)付近に生息している大魔熊(ペンマウルス)は緑個体。


 春は森の実りが多いため、そりゃあもう、秋にはわんさか大魔熊(ペンマウルス)が溢れ出てくる。


 だから春のうちに個体数を減らしたい。

 できれば仕留めやすい子供のうちに仕留めたい。


 その気持ちは痛いほどによく分かる。


 分かる。

 が。


 子を守るために母熊は凶暴になるし、その母熊と交尾しようとオス熊は獰猛になる。


 この時期の大魔熊(ペンマウルス)は、森から出てきたはぐれ者でもない限り、相手にしないのが吉だ。



 そんな事情を考慮してくれないのが依頼主で、そうも言っていられないのが冒険者なのである。


 そして春の森に少人数で入った冒険者が、被害に遭った。


 性能の低い靴を履き、回復薬を持たず、見張り役を立てない。

 スリーアウトな状況で挑んだのだ。


 よく死ななかったものである。

 ギルド長に散々怒られていたので、それを目撃した面々含め、同じ轍は踏まないと思う。



 大魔熊(ペンマウルス)は他の地域では「遭遇すれば死あるのみ」と言われる程、恐れられている魔物だ。


 猫は液体とよく言う。

 大魔熊(ペンマウルス)も大猫種なので、猫レベルでその身体は柔軟性に富んでいる。

 日向ぼっこをしている大魔熊(ペンマウルス)はとても可愛いぞ。


 遠目に見る分には。



 体重を支えるために、関節の柔らかさは猫に劣る。

 そのため、急速な方向転換やジャンプはできない。


 視力もさほど良くないので、森の中なら人間の方が小回りが利く分、逃げるのならどうにかなりそうに思える。

 木々の密集している所に逃げ込み、木に登ればやり過ごせそうだ。


 思い込みでしかないが。



 そんなことをすれば、即追いつかれて胃袋直行である。

 くれぐれもマネしないように。



 身体が大きくて、体重もあるんだぞ。


 大抵の木は大魔熊(ペンマウルス)が体当たりすれば折れる。

 時速八〇キロメートル出せるブルドーザーにでも追いかけられていると思えば良いかな。


 全てをなぎ倒し、自分の行く手を阻むものは全て破壊し尽くす。


 突進して来なくても、ベアーハッグを受けて折れずにいられる根性のある木は、なかなかココら辺には無いだろうなぁ。


 折れないような太い木に登れたとしよう。

 だが、その巨躯に相応しい太く鋭い爪で、幹を抉りながら登ってくるぞ。


 俺の手のひらの大きさが十八センチメートルあるかないか位なのだが、大魔熊(ペンマウルス)の親指の爪がちょうど、それ位の大きさだ。

 手甲鉤なんて目じゃない大きさである。


 こんなので引っ掻かれてみろ。

 人間の身体なんて、一瞬でミンチになるぞ。


 だから安全圏から、遠距離攻撃で仕留めるべきなのだ。



 大魔熊(ペンマウルス)は余裕で死肉も腐肉も食らう。

 悪食と言うよりは、見境がない感じかな。


 もし魔物の素材収集を依頼された場合は、しっかりと魔物の死体は処理をして頂きたい。


 適当に、穴も掘らずに土をかけただけだと、大魔熊(ペンマウルス)に限らず、色んな魔物が寄ってくる。


 穴を掘るなら、地の精霊に頼んで、最低五メートルは掘って欲しいかな。

 更に聖水をかけて浄化し、土の隙間から瘴気が登ってこないようにすれば、大丈夫だろう。



 そうしないとどうなるか。

 現場に残った冒険者の匂いを覚えた魔物は、狩りなんて苦労をせずとも都合良くエサを用意してくれる、その人物を追い求めるだろう。


 大魔熊(ペンマウルス)の移動範囲は、何度も言うが広い。

 ナワバリを基本的に持たないからね。


 自分が食べるのに困らない住処が得られるなら、余裕で丸三日は追い掛けて来る。


 旅の道中背後から。

 野営中の夜闇から。

 はたまた長旅に一段落つけて、深く眠入った宿の部屋で。


 襲われたらたまったもんじゃないでしょ。

 マナーは守ろうね。



 さて、そんな前置きを経て目の前に居るのは、一匹の可哀想な大魔熊(ペンマウルス)

 オスの個体で体長三メートル、体重一トン程の、まだ比較的若い子だね。


 実験のため、当然生きています。



 経験値が浅いため、見ただけでは本能的に相手にして良い相手か否かの判断が出来なかったのだろう。

 俺を目の当たりにして向かってくるとは。


 勇猛果敢、蛮勇無謀。


 それとも、俺の霊力操作がとても上手になっていて、ザコに見えたということなのかな。

 ……ないな。


 そうだとしたなら、この大魔熊(ペンマウルス)を捕獲した時点で、他のもっと大きな個体なり魔爪鷹(アシピトゥ)なりが、横から空から襲って来るだろう。

 単にコイツが愚かだっただけだな。



 本来自分の身の回りに張る障壁を、大魔熊(ペンマウルス)を包むように展開した。

 コレで何をしても障壁外へ影響が出ない。


 危険をようやく察知したものだろう。

 逃げ出すことも出来ずに、宙に浮いてもがいている。


 暴れて爪を立て、腕を振り回し、障壁をゴリゴリ削っていく。

 とても活きがいいね。



 削られた分の障壁を補填するために消費された体内の霊力量を、数値化して置かないと。

 魔物ごとの強さや、(オルトゥス)で販売する防具の性能を数値化する時の、参考値が欲しい。


 モチロン、あくまで参考にしかならないが。



 布の服で防御力がプラス五されたとしても、その布に覆われていない部分に防御力は加算されないからね。


 どんなに性能の高い鎧を身に付けたとしても、頭が砕かれたら一発であの世行きだし。


 その鎧だって、体全体を覆っていても、関節の繋ぎ目を狙われたら、なかなか手痛い一撃を喰らうことになる。



 それでも胴体を守る防具が、妖兎(レプス)の角をなんとか防げる程度のものなのか、この大魔熊(ペンマウルス)の強靭な爪が相手でも持ち堪えてくれるのか。

 その性能を実地以外で把握できれば、冒険者の生存率はグッと上がる。


 冒険者ギルドを創設した者の使命として、手間だし面倒だけれどらコレくらいはしなきゃだよね。



 冒険者の経験則から、精霊術が効きにくいという話だったが……

 実の所、どうなのだろう。


 俺の場合はオーバーキルになんでもなってしまうから、落ち着いた状況で手加減をして実験をしないとだ。


 大事な被検体である。

 いたぶるのは趣味ではないが、人類繁栄のために尊い犠牲になって貰おう。



 まず大抵の生物の弱点となる火を試そう。


 拳大の火の玉を障壁の中に出してみる。

 するとすぐに腕を振りかぶり、消し飛ばしてしまった。


 このスピードであんなゴツイ爪に殴られれば、頭蓋骨の形すら残されずにグチャっといくだろう。

 きゃ〜、こわ〜い。


 他にも幾つか同等のサイズで火の玉を出してみたが、暴れ回ったり威嚇したりした時の風圧で、全て消してしまった。

 火を微塵も恐れないね。


 もう少し威力を高めてみよう。


 サイズは同じ火の玉だが、今度は大魔熊(ペンマウルス)が殴り付けると同時に爆発をする。

 一瞬怯むが、たいしたダメージにはなっていないようだ。


 観察してみると、硬そうな肉球の表面が一部割れて血が滲んでいる程度で、爪は僅かな欠けすら生じていない。

 この爪は加工され、工芸品や(やじり)によく使われるのだが、これだけ頑丈なら防具にも使えそうだね。


 アレだけ近距離で爆発したのに、二撃、三撃と追撃をしても、結果は変わらない。

 頭は良くないようだ。


 毛皮に着火することもないんだよね。

 表面が少し炙られ焦げた程度だ。


 窒素が多く含まれているのかな。

 イヤ、ムートンみたいに自己消火作用が高くても、科学で説明出来ないのがこの世界の理だ。


 体内の魔石が水の属性に偏ってるとか、そんな理由だろう。



 それじゃあ次は水責めだね。


 指をパチリと鳴らして、口と鼻の周りを水球で覆う。

 手足をバタつかせて、暴れてもがくが、暫く――ほんの五秒程度で大人しくなった。


 この巨大で肺活量がそんな少ないはずがない。


 実際解体した時、内臓の割合ではかなり肺が大きかった。

 心臓と魔石の分、やや左の肺が想像よりも小さいが、十分潜水も可能なサイズをしていた。


 三〇キロメートルくらいの距離なら、泳いでしまうと言われている。

 海や湖にも魔物がいるため、滅多に見られない光景だが、溺れることなく器用に手足を使って泳ぐそうだよ。

 熊なのに、泳ぎ方は犬かきかぁ……



 大人しくなった大魔熊(ペンマウルス)は死んだのではなく、コチラの様子を伺っていたようだ。

 反応が欲しくて手を伸ばしたら、ガァッ! とひと鳴きして障壁に激突してきた。


 ちょっとビックリ。


 まとわりついていた水はというと、すすって飲み干してしまった。

 動物の頬や舌の構造上、すすると言う行動は出来ないと思っていたのだが。



 いやはや、魔物を大きな動物扱いしてはいけないと、何度も思ったはずなのに。

 先入観ってなかなか抜けないね。


 鼻を覆っていた分の水も全て鼻から飲んでしまった。

 地味に痛かったようで、むせている。


 ごめんよ。



 どの程度の硬さ、速度の石礫ならば肉体を貫通できるか。

 風の刃は通るのかの実験をした時、全方向から攻撃をして、身体のどこを守ろうとするのかを観察した。


 威嚇する際の起立姿勢から四足体勢になったので、どんな生物でも腹は急所なのだと結論付けた。

 首の筋肉が発達しているからか、他の理由があるのか、首から上は特に庇わなかったんだよね。


 思い返してみれば、大魔熊(ペンマウルス)は長生きしている個体ほど、目が潰れているものが多い。

 視力が弱いから、不要な器官だと判断しているのかな。


 そして長寿の大魔熊(ペンマウルス)が軒並みそういう風貌をしているのだ。

 首から上を庇わないなんて、人間の感覚では不思議に思うが、理にかなった防御法なのだろう。



 他にもどんな薬草の匂いを嫌うのか、障壁の空間を広げて調べる。


 同じ薬草でも、乾燥させたものを燃やすか生の状態かで忌避効果が違うのは、他の魔物で証明されている。

 出来れば街道沿いに植えたいので、生の薬草で効果が絶大なものが見つかると良いのだけれど。


 どの魔物にも共通している唐辛子(カプシカム)に加えて、 桑椹(マルム)の葉が良い感じだね。

 ただ、葉をそのまま与えても特に意味がなかった。

 切ったり裂いたり、傷を付けると出る葉液の臭いが嫌いみたい。


 檜桧(クプレッソス)は樹液が似たような効果があるな。

 防虫剤にも使えるし、集落周辺への植樹を推し進めよう。



 必要情報はあらかたメモした。

 協力してくれた大魔熊(ペンマウルス)は、治癒術をかけて解放する。


 協力してくれたお礼をしたいけど、ヘタに餌付けをしてしまうと、人間イコール美味しいものをくれると認識されちゃうからね。

 人里を襲われたらかなわん。



 むしろワケの分からないことをしてくる怖い存在だと、周囲の魔物に吹聴して回ってくれれば、棲み分けが出来て有難いんだけどね。



 立ち去った大魔熊(ペンマウルス)の背中を見守り、それじゃあ街に戻ろうか。


 そう思った時、背後から遠吠えが聞こえた。

 その直後に、大魔熊(ペンマウルス)が走って行った方角から、森のわななきがドンドン近付いてくる。



 ……ふむ。

 拾った命よりも、辱められ地に落とされたプライドを取り戻すべく、報復を選んだのか。


 魔物は単独行動、もしくはごく小規模なグループ行動しかしないというのが定説なんだけどな。

 コレはなかなか、興味深い。



 先程マーキングを付けた大魔熊(ペンマウルス)の他にも、同種が共に屈辱を雪ぐべく襲ってくるのなら、まだ分かる。

 しかし森の中で生息している、様々な種類の――大魔熊(ペンマウルス)の捕食対象でもある魔物たちなら、コレも理解できる。

 命令されれば逆らえないだろうからな。


 だがその他にも、上位種の魔狼(コルプス)米獅魔(コンコール)まで現れた。


 あの大魔熊(ペンマウルス)の咆哮は、助けを呼ぶものではなく、自分たち魔物全体の脅威となり得る存在を認知したと、警告を促す声だったのかな。

 それなら、上位種が出てくるのも納得できる。



 ……ざっと五〇匹か。

 スタンピートの規模としては小さいが、地響きが起きている。


 街からは観測されているだろうな。



 ならば手紙(シルフィード)をわざわざ出さなくても、素材回収の人手は足りる。

 問題は、なるべく傷付けず、損なうことなく、良質な状態で短期戦を済ませられるかということだ。



 瞬殺するだけなら得意なのだが。

 めったにお目にかかれない米獅魔(コンコール)なんかは、キレイな状態で持ち帰ったら喜ばれそうだ。



 さて、夕飯前の軽い運動でもしますか。


 背後に無数の礫と風の弓矢を出現させ、襲いかかって来る魔物の群れと対峙した。

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