プロローグ
「ここはどこだ?」
一面白銀の地面を見て言った。永遠に続くような。ただ、見飽きる程に美しかった。
「ここは審判を受ける場所です。」
誰かが言った。誰もいないのに。そして僕は悟った。死んだのだと。
「私が何者かあなたにはわからないでしょう。」
どうやら僕の思考を読んだらしい。
「どうしてわかった?」
「あなたには私が見えません。意思疎通だけはできるようにしていますが・・・。」
「そうなんだな。」
ただ納得するしかなかった。明らかに僕とは一線を画す存在なのだと。そして実感した。ああ本当に無力なのだと。
「さあ、審判の結果が出ましたよ。」
何者かが言った。
「どういうことだ?」
「私たちがあなたの生前の記録を元に、これからの所属を決めるのです。あなたが行くのは”天国”か”地獄”、または”やり直す”か。」
一つ僕の知らない選択肢があった。
「その”やり直す”とはなんだ?」
「今の記憶を持ったまま現世でやり直すことですが。」
「なるほど、それはいい。それで、結果は?」
何者かに催促するように問うた。
「おめでとうございます! 厳正な審査の結果、”やり直す”ですね。」
明るい声で何者かが言った。
「そうか、それは良い結果なのか?」
「はい。良いと思いますよ。しかもこの結果をもらえるのは生前に”良い”行動をしなければなりません。
私もこの結果をお伝えするのは初めてのことです。本当に”やり直す”ことが認められること自体大変珍しい。」
どうやら僕の結果は相当良いらしい。だが、少し引っかかった言い方だった。
「なら良かった。」
「それでは準備が整いましたので、いつでも出発できますがどうされますか?」
「ああ、ところで”やり直す”と言っても何をすればいいんだ?」
「簡単なことです。もっと人生を豊かに送ればいいんですよ。後悔して、やり直したいと思ったこと。あるでしょう? それをやり直すことができるのですよ。」
ひと思いにやってやろうじゃないか、まだ志半ばに挫折したあの頃を。そう決心した。
「わかった。じゃあ出発するよ。」
「わかりました。では良い人生を。」
ゆっくりと眠るように、意識が遠のいていくのを感じた。しかし、今までとは違う軽い気分で。
今回・二月十七日
次回連載・二月十八日〜十九日




