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平和の鐘  作者: 雌蛸
第1章:キングの冒険
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魔術師の誘惑

刑務所に訪れていたキング。彼の前に現れたのは、魔術師と名乗る死神だった。彼から罪悪感について問われるキング。一方、刑務所では無差別殺傷事件の死刑執行が執り行われる事に。魔術師の挑戦を受け、死刑囚の前に姿を現したキングは――

 キングはこの国最大の刑務所へ来ていた。折り紙のような立体美を漂わせる高層ビル。そのアーティスティックな造形とは裏腹に、高い機能性と威圧感を与える建屋は、さながら武器そのものであった。


 キングはその屋上に佇んでいた。見上げる夜空にはヘリコプターがバラバラと舞っている。航空障害灯のランプが夜空を赤く照らしていた。


 「来ると思った」


 キングは、プロペラが巻き起こす風に白いマントをはためかせながら振り返った。

 

 「それは光栄。君の話はあちこちから聞こえてきていますよ」


 男は黒いシルクハットとステッキ、燕尾服(えんびふく)姿でなんら人間とは変わらないように見えた。ただ顔がピエロそのものとしか形容出来ない造形をしている。如何(いか)にもな白塗りをしていないにも関わらずだ。そういう表情、いや仮面が顔に張り付いていると言ったほうが正しいか。一種独特の不気味さが、やはり人間ではない事を如実に物語っていた。


 「初めましてキング。私の名は魔術師。同じ死神です。友好の証に、君が考えている事を教えてさしあげましょう。他にも死神はいるか。そして、過去を改ざんできる能力はあるか、ですかな」


 「初めまして魔術師。説明が省けて助かるよ。その通りだ、僕はまだ死神になりたてなんでね」


 アルビノを思わせるプラチナブロンドと白い肌。サファイアのような青い瞳、猫のようにしなやかで小柄な身体。特徴的で美しい右目の外斜視。キングの容姿を興味深そうに見つめていた魔術師は、シルクハットを掴むと口元を(ほころば)ばせた。


 「他の死神については、私の存在がそれを証明しましたね。過去を改ざんできる能力については、分からないというのが正直な所です。そういう能力をもつ死神がいるとは聞いた事があります。面白いものです、死神の世界にも都市伝説が存在しているんですよ」


 「都市伝説……」


 不確実性しかない情報にキングは落胆していた。魔術師はやれやれという表情を浮かべていたがその時、ヘリコプターが一斉に動き出してプロペラ音の大合唱になった。二人は刑務所に入ってくる黒塗りのバンと、それを取り囲む警備車両の群れを眺めていた。

 




 「只今、死刑執行の確定したダニエル・スコット死刑囚が戻って参りました!ラザンシティ無差別殺傷事件の悪魔。御覧ください、刑務所の前はすごい数の人です。ここで、事件の概要について振り返ってみましょう。スタジオにお返しします」

 

 「死刑反対!ダニエルは虐待を受けていた!彼にも人権がある。減刑を望む!」


 「殺せ!何が無差別殺傷事件だ。極悪犯に使う税金などない。死を持って償え!」





 「ふん。人間とは実に興味深い生き物ですねえ。見ていて飽きない。時にキング、貴方はどう思いますか?元人間としての意見を是非聞いてみたい」


 魔術師はステッキをくるりと回すとシルクハットを脱いで、頭から腹にかけて手をクルクルとさせながらお辞儀した。


 「僕がした事を知っていて聞いているんだろう?魔術師。僕は両親を殺して、集落の人間も全員殺した。ダニエルと同じで虐待も受けてきた。だからと言って、彼に同情はしないよ」


 魔術師は演技がかった態度でキングの目の前まで歩み寄ると、顔を近づけ人差し指をチッチッチッと振ってみせた。


 「違いますよ、キング。私が聞きたいのは()()()の話です」

 

 「()()()?」

 

 「我々死神には、そういった感情が初めから存在していないんです。貴方はどうでした?両親と集落の人間を殺して罪悪感を感じました?」


 キングは美しい斜視を魔術師に向けて鋭い視線を送ると、宙を浮きだした。これ以上会話をする必要はないと無言のメッセージを送るために。


 罪悪感を感じるくらいなら最初から死を選んでいた。自分の身体が成長するのを指折り数えた日々。()()()()()()()()()()()()()()集落の子供たちへの想い。


 魔術師、君にそれを理解することは出来ない。

 取引材料として見ることはあっても。


 「おや、帰るんですか?キング」

 

 「ダニエルと取引をしに来たのは君だろう、魔術師。僕は他の死神を待っていただけだ。聞きたい事があったから」


 張り付いた仮面のようなピエロの表情が嬉しそうに歪む。魔術師はそうするのがクセなのだろうステッキをくるりと回すと垂直に浮いてきて、キングの斜視を覗き込んだ。


 「新人教育という事にしましょう。今回はキング。貴方が取引してくると良い」

 

 「……それで僕に得られるものはあるの?」

 

 「ありますとも。約束しましょう、私は貴方と同じ死神ですよ。仲間じゃないですか」


 キングは魔術師を一瞥(いちべつ)して顔を背けると大鎌を担ぎ直し、マントを(ひるがえ)して複雑な構造をした刑務所内へ向かって直滑降していった。





 ◆





 ダニエルは最後の晩餐を終えて、看守たちから終末の部屋という名で呼ばれている部屋にいた。このフロアでは一切の通信は不可能。幾重にも連なる厳重な警備センサー付きの扉の奥にその部屋はあった。全ての死刑囚は、執行までの時間をそこで過ごす。ダニエルが希望した最後の晩餐は、マカロニチーズとココアだった。


 「初めまして、ダニエル。僕の名前はキング。随分、質素な晩餐だったんだね」


 キングが聖書の前でまんじりともしないダニエルに語りかけると、彼は特に驚いた様子もなく振り返った。


 どこにでもいるような地味でみすぼらしい男。それがダニエルだった。母親からの虐待が遠因となり、人とのコミュニケーション不全に陥った。学歴がなく、仕事も続かない。社会へ不満を募らせていった果ての事件が、ラザンシティ無差別殺傷事件。幼い頃のキングは、一日中センセーショナルに騒ぎ立てる様をTVで見ていた。


 「マカロニチーズはお袋が唯一作ってくれた料理だったからな。お前は死神か?」

 

 「そうだよ。新人研修って事でここには来たんだけど」

 

 「へえ……面白いね。随分、キレイな顔してんだな。俺、男もいけるぜ。特にお前みたいなのは好物だ」


 聖書がパタリと机から落ちたのと同じスピードでキングは移動すると、大鎌をダニエルの首へかけた。氷のような瞳で見つめる様には、早くも死神としての風格が漂い始めている。

 

 「聞いてた話とは随分違う人物なんだね。僕、そういう冗談が一番嫌いなんだ。今ここで終わりにしてやることもできるけど」 


 「そうかい?俺がお袋から虐待されてたのは事実だぜ。それとガキの尻が好みってのは関係ないはずだがな」

 

 「確かにそうだね。君は贖罪の気持ちから控訴もしなかった」


 「ほうTVでも見てんのか、今時の死神は。その通りだ。死を持って償いは完成される。だから、死神はお役御免と言うわけだ。キング、お前が最後にヤらせてくれるってなら、取引してもいいぜ」


 「そう……」


 汚らしいトレーラーハウスで、幼かったキングはこの事件をずっと追いかけていた。両親が戻るまで束の間。父親が満足するまでキングを痛めつけ、眠っている間。ずっとこの事件をTVで見ていた。同じ境遇の男が起こした事件。キングは情報を収集して、積み木のように組み立てる遊びを好んでいた。TV以外、何もなかったからなのだが。


 事件の情報を積み上げては壊すを繰り返す中で、どうにも納得できない疑問が自分の中で(くすぶ)り出すようになっていた。他に目的があったキングは、それっきり事件をTVで追うのは止めてしまった。


 ヘラヘラとした顔でキングをからかうダニエルの眼前に聖書が浮かぶ。聖書は男の周りを凄まじい勢いで回りながら、開いたり閉じたりを繰り返し始めていた。1ページまた1ページと剥がれ落ちては竜巻のようにダニエルを巻き込んでゆく。ついにはその姿をすっかり覆ってしまった。


 「死を持って償いを完成させる。素晴らしいね、ダニエル。そこに無関係な人を巻き込む必要性はあったの?」


 「必然悪だ。申し訳ない事をしたと思ってるよ。それでもな、環境が俺を凶行に走らせた。社会は見て見ぬふりをした。それは裁判でも認められた事だぞ」


 「君は本音を言ってない。本当は自身の死をもって英雄になりたいんだ」


 「フッ。だったら?どうせ死んだ後の事なんて、俺には分からねえ」


 「いいや、君は既に満足している。自分が英雄視されている事を知っている。その後、君を神格化する人物が現れる事も理解している」


 「ふうん……まあいいや。最後だからな、特別だ。言ってやるよ。その通りだ」


 ダニエルの言葉を聞いたキングは、バラバラと舞っていた聖書のページへと(てのひら)を向けた。回転がピタリと止まった聖書の束は一気に床へと落ちていった。


 キングは右手を掲げると胸の下にそっと降ろした。右目の斜視が動き出してボトリと落ちてゆく。眼球を右手で受け止めたキングは、その手をダニエルに差し出した。雑然と散らばっていた聖書のページ達が再び舞い上がり、キングの後ろで大きな十字架を形作っていた。


 「ダニエル。君の欲望に弟さんの死は必要だったの?」

 

 「――……それだけは後悔している。まさか自殺するとは思ってなかった」


 「それも……死をもって償う、だろ。ダニエル。君は死へ救いも求めている。でも弟さんに会える確証なんてないよ。死んだ後の事なんて、誰にも分からないからね」


 「なるほど。最後に夢を見せてくれるって訳か。いいぜ、取引してやる。見返りは?12時間後には刑が執行されるけど」


 掌の上でゆっくりと回るサファイアブルーの眼球を物珍しそうに見ていたダニエルへ向かって、キングは宣告者のような口調で告げた。


 「僕は罪悪感を知りたい。何が正解だったのかを」


 ダニエルにはキングの言葉が酷く抽象的で理解出来なかった。しかし、死刑執行という確定事項は動かない。12時間も待たされる余興がてら引き受ける事にした。


 「好きにしたら良い」


 


 キングは眼球を舌の上に乗せると、この刑務所に訪れてから初めてニヤリと笑ってみせた。


 「ダニエル。取引は、成立だ」





 ダニエルが自身の痙攣に気づいたのは、失禁して囚人服が生暖かく濡れ出してからだった。口の脇からはぶくぶくと蟹のような泡を吹き始めている。


 「殺スな……死神……」


 「殺したりなんてしないさ。絶対に」


 看守たちがダニエルの異変に気づいて、厳重な警備をかいくぐり部屋へと急ぐ音が聞こえる。そのまま倒れてしまったダニエルは看守たちが叫ぶ「医療班を呼んでこい!」という声を聞きながら夢を見始めていた。


 狭い市営アパートの一室にダニエルはいた。お袋が散々俺を殴っていた部屋。俺の全てを壊し、俺の全てを否定していった部屋。台所には洗い物が山のように積み重なり、腐敗臭を放っている。大好きだったマカロニチーズがテーブルの上でひっくり返っていた。


 お袋が電子レンジで温めてくれたマカロニチーズ。


 ふと、足元に濡れたようなネバつきを感じて床を見た。オンボロ過ぎて(かしい)いでるアパートの床。足元にどんどん血溜まりが出来ていく様を見ていたダニエルは、血の源流を探そうと電気をとっくに止められた暗がりの中を歩いていった。


 血は寝室のドアから漏れ出していて、中からは小さな泣き声が聞こえる。

 

 「――……トーマス?」


 ダニエルが弟の名を呼びながら寝室の扉を開けた時、まだ幼い弟のトーマスが血まみれの包丁を握りしめながら泣いていた。目の前には滅多刺しにされた母親の死体が転がっている。


 「どうしよう、お兄ちゃん。僕、僕……!」


 死神め、俺に何を見せようとしている。夢だと分かっていても、匂いや感触があまりにもリアル過ぎる。ダニエルは、母親を殺してしまったトーマスをどうせ夢だと振り払う事が出来ないでいた。


 そう、母親から激しい暴力を受けていたのはダニエルだけではなく、弟のトーマスもまた同じだったのだ。


 「大丈夫だ、大丈夫」


 何が大丈夫なのか。ダニエルは、生まれて初めての激しい動揺を隠しきれずにいた。俺が事件を起こした時、トーマスも同じだったと言いたいのか。死神の野郎。


 「こっちへ来い、トーマス。俺と逃げよう」


 泣きじゃくっていたトーマスは、包丁を握ったままダニエルの方を向くと悲しそうに首を横へ振った。


 「ダメだよ。僕は行けない。こんな……こんな事をしてしまって!」


 「落ち着けトーマス。これは現実じゃない。死神が見せている悪夢だ」


 「……お兄ちゃん、ごめんなさい」


 血まみれの包丁がトーマスの首元へ移動する。ダニエルは夢だと分かっていても、手を差し伸べずには居られなかった。やめろ!そんな事をするんじゃない!


 「大好きだった、ありがとう……さようなら」


 トーマスの首から吹き出す生暖かい血を浴びながら、ダニエルは絶叫していた。




 

 ◆




 

 「おい、意識を取り戻したぞ」

 「こういう場合、死刑ってどうなるんだ」

 「今、司法省へ確認している」


 バタバタと走り回る看守たちの音を聞きながら、ダニエルは意識を取り戻していた。刑務所に所属する医師がバイタルチェックをしている。身体が全く動かないダニエルは、視線を動かして状況を把握しようとしていた。


 「脳梗塞の可能性が高いな。手術が必要になるかもしれん。医療刑務所へ搬送しよう。至急手配を」

 

 やめろ、やめろやめろ!俺は、後もう少しで神になる所だったんだ。死が俺に救いを与えてくれるはずだったんだ!


 ――……トーマスは、死んで救われたの?


 キングの声が頭へ直に響く。うるせえ!死神に何が分かるっていうんだ。トーマスが抱えていたのは、途方もない罪悪感だったって言いたいんだろ!母親が悪いんだ。社会が悪かったんだ。悪いのは俺じゃねえ!


 キングの声は、もうどこからも聞こえなかった。ダニエルは否応無しに再び、同じ夢の中へ引きずり戻されていった。


 マカロニチーズの匂い。

 ねばつく血液。

 お袋の死体。

 泣きじゃくるトーマス。


 自らの首を切るトーマス。


 舌を噛むことすら出来ない身体で生きている限り、永遠に見続ける弟との夢。





 キングがビルの屋上へ戻ってきた時、既に異変を感じ取ったマスコミのヘリコプター音が忙しなさを増し始めていた。交差するナビゲーションライトをスポットライトのように浴びていた魔術師が、演技がかった拍手を若き死神へ送っていた。


 「流石、我らが死神界に現れた美しき貴公子。見事な手腕でした」

 

 キングは白マントのフードを外すと、湿ったプラチナブロンドを風に泳がせながら無表情のまま魔術師へ視線を送った。

 

 「とてつもなく不愉快な思いをさせてくれてありがとう、魔術師」

 

 「いいえ、とんでもない。それでどうです?()()()についての見解を聞かせて頂きたいのですが」


 キングは暫く目を閉じたまま無言でいたが、ゆっくりとまぶたを上げると魔術師を見据えながら力強い口調で言い放った。


 「ああ。僕は()()()()()()()を背負う覚悟で、両親を殺した。集落の人達も」


 「ほう……両親は殺されて然るべきだったと?別の方法で一生罪を償わせる事が出来たのでは?」


 「何が言いたい、魔術師」


 魔術師はこの辺りが潮時だと思ったのか、歪んだピエロのような笑顔を張り付かせたまま、ステッキを振ると足元から徐々にその姿を消し始めた。


 「また会いましょう、キング。貴方の事が好きになりました」


 お互いが次に邂逅(かいこう)を果たす時は、命の取り合いとなるだろう。死神に生命という概念があるかは謎だが。少なくとも、キングが骸骨男の生命を終わらせて存在を乗っ取っていった事は事実だ。


 「ああ、また会おう。魔術師」


 キングも浮かび上がると、ヘリコプター達の間を縫って夜の闇へと消えていった。

 

 外界では12時間後に死刑執行予定だった男が突然倒れた事で、大騒ぎになっていた。翌日、死刑執行が中止になったというニュースがセンセーショナルに報道され、あらゆる議論を醸し出すきっかけとなった。


 数ヶ月もすると、ダニエル・スコットは忘れ去られていった。死刑にはならなかったからだ。彼はつかの間の現実と悪夢の中を、死ぬまで彷徨った。





 「坊っちゃん、たまには果物を食べてください」

 「いいじゃないか、エマ。こんなの食べなくても死なないよ」


 「そう言って、シャワーも浴びないんだから。まったくもう……」


 ぶつくさ言いながらグレープフルーツゼリーを下げるメイドのエマを見送ったキングは、TVのニュースチャンネルを消した。すっかりダニエルの話題を流さなくなったニュースチャンネル。世界はいつだってセンセーショナルで(あふ)れかえっている。


 キングは立ち上がるとその目を見開き、ラザンシティ無差別殺傷事件の後で自殺してしまった弟のトーマスへ小さな祈りを捧げた。

 

 ――……天国にいるトーマス。僕は乗り越えてみせるよ、何があろうとも。罪悪感を背負ってでも。




 

 ◆



 


 州都市部の高層ビルの一角。彼のためだけにしつらえたエグゼクティブスーツを着た男が、窓からの夜景を眺めていた。 その隣では魔術師が宙を浮きながら、後ろ手を組んで同じく夜景を眺めている。


 大きな壁掛け時計が時を告げ、大理石の床にその音が響き渡った。

 

 「何があったんだい?魔術師。最近、とても楽しそうじゃないか」


 「いえ、特には。死神は秘密の多い生き物ですから」


 男は手を叩くと嬉しそうに魔術師を見やった。


 「私も最近、楽しい事が多いんだ。そう言えば魔術師、また取引をしてもらいたい」

 

 「ほぅ、どのような取引で」


 「東欧の革命をより過激化させて欲しいんだ。沢山の犠牲が必要だ。ソビエトからの依頼でね」


 「自由を餌に破壊行為を(あお)り、巻き込まれた多くの民が死ぬ、ですかな。かしこまりました」


 「取引には、()()()()()()()()を使ってくれたまえ」

 

 「……最近、補給地点が1つ消滅したと聞いておりますが」

 

 「例の集落か。あんなもの、いくらだって替えが利くだろう。魔術師らしくもない。よほど楽しい事があったんだね」


 男はそう告げると、心底嬉しそうな笑顔を浮かべてみせた。

  


 

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