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千と八人の転生者  作者: 紗琉瑠
第一章 【終わりの始まり】
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食糧と化け物

 巨鳥が襲撃して殆ど壊滅状態になっている自衛隊を見てコウとセイジは。



「や、やばい…化け物達が…」


「急いで家に戻るぞ!」


 二人は焦り、急いで学校を出る。


「走るぞ!」


「おう!」


 二人は走った。

 そしてコンビニを過ぎた辺りで。


「あ、食料はどうするの?」


「家の近くのスーパーに寄るぞ。持ってけるだけ持っていく。急ぐぞ」


「わかった」


 そう言って二人はスーパーの方まで走って行く。

 スーパーもシャッターが閉まっていて正面から入れそうにない。

 後ろにまわってみたが案の定、鍵が閉まっている。


「どこも空いてないね」


「こうなったら窓壊すぞ」


 そう言ってコウは裏口の近くにある窓ガラスに向かって神剣(笑)を振り抜いた。

 勢い良く振り抜いたせいかパリンと大きな音が響き渡る。


「よし、綺麗に割れたな」


「破片には気をつけて」


 そう言って窓ガラスの破片に気をつけながらコウとセイジは中に入っていく。

 二人は暗い通路を少し足早に歩いていく。


「懐中電灯持ってくれば良かったな」


「忘れてたよ。電気付ける場所もわかんないし」


 暗い中スーパーの中を捜索していく。

 すると調理場らしき場所についた。

 冷蔵庫も冷凍庫も稼働はしているものの、今は保存食が欲しいので売り物コーナーの方を探す事にした。


 売り物コーナーにやってきた二人は嵩張らない保存食のクッキーや、缶詰などを優先してリュックに詰めていく。

 リュックはセイジが二つ、コウが一つ持っているのでそこそこ入る。


「水も忘れるなよー」


「はーい」


 パンパンに膨らませたリュックを持ってスーパーを出る。

 大分重いが家が近いのでなんとか持って帰れた。


「後は化け物達に備えて、家の窓ガラスにタンスやらを移動させるか」


「そうだね。玄関のドアはそこそこデカいから破られる事はないだろうし」


 窓の近くにタンスなどを置いて、化け物が入って来られないようにした。

 そんなこんなでもう日が落ちてきた。


「そろそろご飯にしよう」


「そうだな、もうそんな時間か」


 夜になり、缶詰やらカップ麺を食べながら二人は話し合う。


「化け物達ここまでくるかな?」


「あの数だ、絶対に来る」


「避難所やばいよね…」


 避難所はセイジ達が通っている学校のすぐ近くなので自衛隊が落ちた今、避難所も襲われている可能性が高い。


「やばいだろうな…」


 避難所には警察官などが防備しているが、自衛隊ですら殺られたんだ。

 人が密集している避難所も落ちる可能性の方が高い。


「そういえばセイジは武器持ってんのか?」


「あるよ?ほら」


 暗い話になってしまったからか、コウが話題を変えてくれた。

 武器は家庭用だけど出刃包丁を持っている。

 そこそこデカい出刃包丁なので武器としては十分だ。


「使えそうなの持ってるな。ま、俺の神剣ほどではないがな!」


「長さが違うからね。俺も神剣(笑)買っておけばよかったよ」


 そんな話をしていると。

 玄関のドアをゴンゴンと強く叩く音が聞こえてきた。


 まさか……電気も消してるし、音もならないようにして小声で話していたのに。

 ここにいるのがバレた?いや、お隣さんとか…?


「見に行くぞ。鍵は閉まってるから入ってこれやしない」


「あぁ」


 俺達は武器を片手に足音をたてないように、リビングを出てこっそりとドアの近くまで行く。

 俺たちが近づくにつれてドアを叩く音が激しくなっているように思える。


「俺たちがいるってバレてるのか?」


「そんなはずはないと思うけど…」


「グラァッッ」


 ドアを叩く音に混じって人間が発するにはおぞましい声をあげていた。


「こ、こえええ」


「ど、ど、どうする?」


「ドアの覗き穴から見てみろよセイジ」


「やだよ!絶対後悔するじゃん!神剣(笑)もってるコウが見てよ」


「仕方ねえな、見てきてやるよ」


 そう言いながらも子鹿のように脚をプルプルとさせながら神剣(笑)をもったコウは覗き穴までこっそりと歩いて行く。


 だが、ドアのすぐ側まで来た所で化け物は激しくドアを叩き初めた。

 グラッッ!グラッッ!とドアと言いながらドアを叩いている。

 やはり俺達が居るのがバレてる…まずいな。


 コウは脚をプルプルさせながらこちらに振り向く。


(か、わ、ら、ね?)


 そう口パクで俺に言ってきた。


(は、や、く、み、ろ)


 そう言ったら諦めたのか、渋々覗き穴を見た。


 そして見終わったのか無言でこちらに戻ってきた。


 股間を抑えながら。


 は?


 何で股間抑えてんだ?やられたのか!?ドア越しに攻撃でもされたのか!?


「ふっ。大人の階段を登っちまったぜ」


 そう言いながらコウはリビングに戻って行った。

 内股歩きで。


 いや化け物どうすんの…?


 俺も気になったので少し覗いてみた。

 そこには…白目を向いた女の人?っぽい化け物が裸姿で牙をたてながらドアを叩いていた。

 肌の色は紫。


 え?あいつ…これで勃ったの?まじ……?








「で?俺たちの場所がバレてるけど。どうする?変態ウンコウ野郎」


「おい、色々混ざってんぞ」


 コウはもうアホだからいいとして、問題はあの化け物の事だ。

 明かりも付けず、物音もたてていないのに場所がバレるなんておかしい。


「何で俺たちの場所がバレたんだろ?匂いとか?」


「うーん匂い…ではないだろうな」


「なんで?」


「匂いでバレてるんだとしたらもっと化け物達が寄ってくる筈だ。だが現にあいつ一体しか寄って来ていない」


「目は常時白目だったし見えてないと思うんだけどなー」


「だな。なんかこう一定の距離になると場所がわかるみたいな…便利能力でもあるんじゃね?」


「ファンタジーじゃん」


「ファンタジーだよ」


 そうだった。

 ファンタジーみたいな世界に変わってしまったんだ。

 そういう能力もあるのかもしれない。

 でもそれって大分チートじゃね?

 てか俺たちにも能力あっていいと思うんだけど。ずるくない?敵だけ能力持ってるとか。


「ステータス!」


 コウがなんかいきなり言い出した。


「ステータスオープン!」

「アビリティ!」

「能力解除!」

「開けゴマ!!!……だめか」


「コウ……薄々気づいていたけど遂に頭が……」


 後、開けゴマは違うやつだから。やっぱアホだな。


「薄々ってなんだよ薄々って。それにファンタジーな世界にはつきものだろ?こういうの」


「まあね」


 まあ確かにゲームとかはあんまりやらない方だけど、全くしてなかった訳ではない。

 だからコウの言うステータスなるものを可視化する機能が俺達に備わってないとも限らないからね。

 それでも口に出して言わなくても…

 とりあえず化け物は入って来れないだろから今日は寝る事にした。

 めちゃくちゃ怖かった。







「ステータスオープン!」


「なにやってんだセイジ」


 てへっ。

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