スキルゲット!
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名前: 十八番(仮) (奴隷)
種族:人族
年齢:五歳
スキル: 治癒魔法の才(帝)
魔法:
固有スキル : 【召喚魔法】(1) 【?】
加護:
称号:
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お、スキルが増えてる!
なになに…?
治癒魔法の才?
中々いいんじゃない?
(帝)ってのがよくわからないけど。
そうやって嬉しがっていたら十二番も見たいのか傍までやって来る。
「ッ いけません!」
「?」
セトが必死の形相で止めてきた。
いや、俺も十二番には見られたくないとは思っていたけどさ。
でも俺が十二番の見た手前、なんか申し訳ない。
「少し特殊なスキルですので。十二番君は少し部屋から出てもらえますか」
そう言ってセトは十二番を部屋の外にやった。
少し不服そうな顔してたな、十二番。
いやまあごめん。
「君、魔法には階級があるのを知っていますか?」
階級?知らないな。
「魔法の階級は下から下級、中級、上級と上がって行きます」
なるほど。ん?じゃあ帝は?その上?
「上級の上には帝級、聖級と並びます。帝級魔法が使える人なんて僕は一回しか見た事がないですけどね」
「そしてスキルは成長します。使い続ければもちろん強力になりますし、稀にスキル自体が変化する事すらあります。ですが、才能系統は成長も変化もしません。才能系統はあくまで才能の一環ですからね。ですが帝級の才能なんて僕が知る限り見た事がない」
スキルって成長するのね。いやまあ当たり前か。
変化するのは驚きだけど。
「ですが。治癒魔法の才能も問題ですが、一番問題なのは固有スキルの方です」
で、ですよねー。帝級の才能ですら珍しいのに固有スキルまで持ってるときたもんだ。
「いいですか?固有スキルというのは通常のスキルでは使えない魔法まで使えると聞きます。ですので固有スキルが発現したら直ぐに国に報告しなければならない義務があるのですが…」
えー。セトさんだまっててよー。ぼく奴隷より酷い目にあっちゃうよー。
なんて心の中で思っていた。
「奴隷の立場でしかも市民権のない君には酷い目に合わせたくない。しかし、報告はしなければなりません。そういう契約を国としてしまっているので」
ケチだな!それで俺が死んでもいいのか!
はぁ。やっぱり逃げるか。
「ですが、国の兵士が来る前に逃げられたら私にはどうする事もできませんね」
セトさん!
やっぱりあんたはええ人や!
「問題なのは奴隷という立場ですね」
そうでした。俺、奴隷だから逃げ出せないじゃん。
「では、こうしましょう」
本当はしてはいけない行為なのですが。
と言ってセトは説明してくれた。
まず、ステータスは治癒の才能(小)という事にする。
カス野郎には偽造したステータスを見せる。
そしてセトが俺こと十八番を治癒の魔法を教える名目で俺を買う。
その際、奴隷契約は結ばない方向でいくらしい。なんでも奴隷を神殿では働かせないらしいから。
そして奴隷契約が切れて、国の兵士が来る前に俺が逃げる。
という作戦らしい。なんでセトはここまでしてくれるのだろうか疑問がいっぱいだけど、とても有難い。
「では偽造したステータスと十二番君のステータスをカースさんに持っていきましょうか」
ここでも疑問なんだけど、どうやって偽造するんだろ?
「実は私のスキルはですね、『執筆』といったものでして」
執筆?また特殊なスキルだね。
そしてステータスを写す紙、鑑定紙という物に本来は鑑定石の結果を写すらしいんだけど、セトさんはその紙に自分で書くみたいなんだ。何でも鑑定紙に書かれる文字を複製出来るほど達筆らしい。
すげー。そんなやり方あるんだ。
「これは法に反する行為なので言ってはいけませんよ?」
そう言ってニコリと微笑んでくれた。
えっと神様ですか?
そしてカス野郎の元まで十二番とセトさんと共に戻ってきた。
「では、こちらが鑑定結果です」
「大分長かったな?」
「いえいえ。どちらも素晴らしい才能でしたので」
そう言ってステータスの書かれた鑑定紙をカス野郎に渡す。
「お、いいやつでたじゃねえか」
カス野郎はそう言って嬉しそうにしている。
「えぇ。それでご相談があるのですが」
「なんだ?」
「そこの『治癒魔法の才』持ちの子をこちらで買いたいと思いまして」
「ほぉ?確かに神殿にとっちゃ必要かもしれんが。高いぞ?」
「おいくらで?」
「そうだなぁ。金貨五枚だな」
うわ。絶対こいつぼったくってるだろ。
「ではそれでいいでしょう」
そう言ってセトは金貨五枚をすんなりとカス野郎に渡した。
もうちょっと値切ってもいいと思うんだけど。
「契約は?」
「要りません」
「逃げられても俺の責任じゃねぇからな」
「わかっていますよ」
そしてカス野郎は俺に向かって手招きをしてきた。
なんだ?招き猫のまね?
いやまあこっち来いって事だろうけど。
そしてカス野郎は近くに来た俺に向かって手を翳す。
「十八番との契約を解除する。『契約解除』」
『契約解除』と言葉を発した直後、俺は黄金色の光に身を包まれた。
(これで俺も自由の身だ…アトラとみんなには悪いけど)
アトラはまあ。もうすぐで契約は切れるだろうし。
他のみんなは良いスキルに恵まれる様に祈っとく。
光が収まった。
「じゃあ、俺は行く。十二番来い」
そう言ってカス野郎は十二番と共に去って行った。