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千と八人の転生者  作者: 紗琉瑠
第一章 【終わりの始まり】
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プロローグ

      【地球は終わりを迎えました】










 蝉がミンミンと鳴き太陽が地面を照りつける夏の真っ只中に汗を滴らせながら徒歩で通学する男子学生の名前は新田正治(あらたせいじ)


「あぁ早く夏休みにならないかな〜」


 そう呟きながら都内ではそこそこ有名な進学校に通学する普通の高校2年生。

 クラスのみんなとは良好な関係を築けてるとは思う。

 たぶん。


 家は学校から約10km程離れたそこそこデカいスーパーの近くにある。食べ物はもっぱらそこで買っている。

 よく親の遣いで買い物を頼まれるからね。



 通学路にはコンビニもあって家で食べている時間がない時はそこでおにぎりを買って朝ごはんにしている。

 朝に弱い母は朝ごはんだけは作ってくれないからね。

 今日の朝は余裕があったから目玉焼きとインスタントの味噌汁をおかずに白米を食べた。



 コンビニを過ぎた辺りから学生の姿がちらほらと見えてくる。

 皆友達と談笑しながら仲良く歩いてる。

 それをじっとみながら歩いてたら後ろから肩をぽんっと叩かれた。

 後ろを振り返ると。


「よっ なに寂しそうな顔して歩いてんだよ」


 ニヤニヤしながら悪戯な顔をして話しかけてきたのは唯一の親友で武田信〇の末裔(自称)こと武田幸樹(たけだこうき)。いつもはコウって呼んでる。

 ちなみに俺の事はそのままセイジと呼ばれてる。


「別に寂しそうな顔してないわ」


「またまたー 俺が居なくて寂しいって顔してたぜ?」


「キモっ」


「ひでぇ!」


 そんな冗談を交わしながら通学路を2人で歩いていく。

 家が近いからいつも一緒に登下校するんだけど今日に限って大便が止まらないから先に行っててくれって言われて先に行ってただけだし。


 1人で登校するのは新鮮だったというか話相手居ないからつまらないって思ってただけだし。寂しいとか全くもって思ってはない。

 てか大便止まらないってなんだよ。

 初めて聞いたわそんな言葉。


「そういやもうすぐ夏休みだしどっか旅でもしようべー」


 コウが変な方言で喋ってくるがいつもの事なのでスルー。


「旅ってなにさ旅って」


「せっかくの夏休みだしよ、やっぱ冒険してーじゃん!」


 コイツは小学生並の思考回路だな!

 てか旅と冒険って違うから。

 よくそれでこの学校来れたもんだよ。まあ俺が勉強手伝ったんだけどね。


「そんなウキウキしてるけどテスト大丈夫なの?コウ」


「テスト…?」


「夏休み前に期末あるじゃん」


「ぁ」


「2年生になっても夏休み前は期末あるからね。」


「そ、そんなもん知ってるわ! よゆーよゆー」


「ちなみにテストの点悪かったら夏休みも学校に行って勉強だからな」


 進学校だし。テストで赤点なんて取った日には夏休みはコウとは遊べないだろう。去年は俺が手伝ったからなんとかなったものの。

 旅とか冒険とか言ってる場合じゃないぞ親友。


「セ、セイジ…」


「手伝わないからね」


「そんな…いいのか!?冒険できなくなるんだぞ!?」


「むっ」


 冒険は…してみたいような…いかん。俺までコウに感化されてるな。いやまあ確かに夏休みでぼっちは嫌だし?青春したいし?


「仕方ないなぁ」


 いつものごとくコウの勉強を手伝うとしようか。

 それにしてもほんとよくこの学校にこれたよ。


「さっすが親友!ありがたやーありがたや」


 ほんと調子いいやつだよねコウは。


「セイジも冒険したいもんな、わかるぜ!男だからな!」


「やっぱ手伝うのやめようかなー」


「うそうそ!ごめんって!」


「ったく」


 幼稚園からの付き合いだけどコウは昔から変わらないね。行き当たりばったりのアホでこんな、なんの取り柄もない俺と親友で居てくれるんだから。




「そういえば昨日のニュースみた?」


 コウの口からニュースという言葉が出てくるなんて珍しいな。

 昨日は帰ってすぐ勉強してたからニュースなんて見てなかった。


「昨日はニュース見てないんだよね。なんかあったの?」


 態々話題にするって事は結構やばい事件でも起きたのかな。


「地震だよ地震。結構おおきめのやつ」


 地震か。

 日本は地震が多い国だから珍しい話じゃない。もうすぐ南海トラフ地震が起きるかもって言ってるぐらいだから話題にするのも当然だ。

 でもそんな大きな地震だったらここも揺れてると思うけど昨日は揺れを感じなかった。離れた所で地震でもあったのかな?


「隣の県で震度6だってよ」


 震度6!?結構大きいな。被害とか大丈夫だろうか。


「隣の県って、こっち揺れてた?気づかなかったな」


 おかしいな。昨日は勉強してたとはいえ少しの揺れぐらいは感じると思うけど。


「それがその県だけしか揺れなかったんだってよ」


「そんな事あるの?」


「さあ?でも実際こっちは揺れてないしな、ようわからん」


 一般の学生である俺たちじゃ理解の及ばない出来事ってことか。

 南海トラフの前触れじゃなければいいけど。


「しかもよ、地震が起きたと同時に結構デカい地割れもできたっていうもんだから怖いよな」


「うわぁ、地割れか。怖いね」


 そんな話をしながら歩いていたら学校に到着。

 真新しい3階建ての一昨年できた学校が俺たちが通う明豊高校。

 全校生徒は約600人。結構大きな学校だ。

 1年生は1階、2年生は2階、3年生は3階と階層ごとに学年別で別けられてる。


 今年はコウとクラスが同じだから一緒に2階のクラスに向かう。


「今日の1限目なんだっけ?」


「体育だよ」


「おー体育か!やったぜ」


 コウは体を動かすのが好きでスポーツも結構才能がある。

 よく体育祭だとかスポーツ大会とかで主役とまではいかないまでもいい成績を残してる。スポーツだけはね?


「1限目から体育って汗かくし嫌だよ」


 そう。この夏真っ只中に1限目から体育は地獄だろう。

 汗かいた後にそのまま次の授業をうけるのはぶっちゃけ服とか髪とかベタつくから嫌なのだ。

 女子なんて1限目の体育は汗をかかないように気を使って殆どなんもしてないし。


「そんなもん風にあたっときゃ乾くわい」


「だからコウ臭いんだよ?」


「え?俺って臭いの?まじで?」


 自分の匂いを必死に嗅いでるけど自分じゃ自分の匂いってわかんないよね。まあ冗談なんだけど。いやまあ、たまにね?





 1限目の授業も終わり、最後の授業になっても未だに匂いを気にしている親友を内心、クスクスと笑いながら見守っていた。

 授業中に何度も脇を嗅いでてアホ丸出しだったよ。


 放課後、どっちも部活が休みな俺たちはそのまま帰宅の準備をしていると、コウの事が好きな(たぶん)同じクラスのクラス委員こと如月澪(きらさぎみお)がコウに話しかけてきた。


「ねえ武田くん、今度の夏休みにさクラスのみんなで海行こうって話してるんだけど来ない?新田くんも一緒にさ」


 コウはこう見えて昔から結構モテるのだ。

 俺とは違って。

 容姿は悪くもなく普通だけどよく、アホなことを言ってみんなを笑かしているからクラスの中では結構人気者だ。

 因みに俺の容姿は普通だと思う。でもコウみたいにみんなを笑かす事は出来ないからあんまりモテない。


「お、海か!いいな!俺はいいと思うけどコウはどう?」


「いいんじゃない?俺はいいと思うよ」


「ほんと!?じゃあ日程決まったらまた連絡するね!」


 そう言って如月澪は友人と帰宅していった。みんな部活休みだからね。

 にしても俺、如月さんの連絡先知らないんだけど。


「コウって如月さんの連絡先持ってるの?」


「ん?持ってるぞ?この前もらったしな」


 こやついつの間に…


「まあ頑張ってね」


「何言ってるんだ?」


 くそう…鈍感野郎め。


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