表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「乙女ゲームのヒロインだー!」と喜んではみたものの…

作者: ロゼ

異世界転生恋愛部門の日間ランキングにランクインしてました。

ありがとうございます。


週間ランキングにも入っていました。

見てくださった皆さん、ありがとうございますm(_ _)m

入学式の日、学校の門をくぐり抜けた瞬間、私『リリス・サンドーラ』は前世の記憶を取り戻した。


この世界は所謂乙女ゲームの世界で、私はこの世界の絶対的ヒロイン。


しがない子爵家の次女なんて身分だけど、光魔法を内包した後の聖女になる、しかも外見めっちゃ可愛い、可憐系ヒロイン。


後に国王になる王子も後の英雄になる騎士団長の息子も、魔法庁のトップに君臨する予定の魔法エリートも隣国の秘匿された王太子も、仄暗い過去を抱えた悲しき教師も選択次第で選び放題。


もちろんみんなを侍らせる逆ハーレムすら望める立ち位置にいるのがこの私。


凄くない?


ヤバくない?


マジ有り得なくない?


だって前世の私、恋愛は2次元でOK!的な完璧非モテ女子だったんだよ?


見た目微妙、頭の良さ微妙、2次元に対する愛情だけ異常な完全なるヲタ女だった私がヒロインって、どんだけ徳積めばこんな転生出来るのよ?!って思っちゃうじゃん。


まぁ、全く徳なんて積んでないからきっと宝くじ一等当選しちゃう位の運の良さだったんだろうけど。


って事でヒロインなんだからいっちょ頑張って欲張って逆ハー狙ってみましょうかね?


なんて思っちゃってましたよね、最初は。


でも考えてみたら何か違うんだよ、これが。


画面上で萌えてた私が実際に甘いシチュエーションで甘すぎる言葉を囁かれた時の心の凪度が半端なかった。


あれだね、我が身に振り掛からず手放しでキャーキャー騒げてるからこういうのは萌えるのであって、実際キザで甘々な、しかもリアルでは絶対有り得ないくっさい台詞吐かれると萎えるってやつだ。


あー、無理だ、無理!


ゲームの1/3にも満たないうちに白旗上げましたよ。


攻略対象達はイベント起きなくても勝手にムクムクと好感度上げてくるけど、一度萎えると気持ち悪いだけ。


近寄って欲しくないし、私以外の人とよろしくやって欲しい。


そしてその様を私にそっと覗かせて欲しい。


そう思ってしまった。


そんな私の前に現れたのが所謂『悪役令嬢』と言われるポジションの伯爵令嬢。


その名を『アリアナ・ヴァン・ポラプルア』様。


悪役令嬢っぽい、美人だけどキツい見た目、ツンとした態度、それでいて貴族然とした優雅な立ち居振る舞い。


どストライクでした!!


もう正にどストライク!!


ツンデレ(ツン過多)で、話し掛けるとちょっと照れたようにしつつ


「あ、貴方なんかが気軽に話し掛けられる身分ではありませんのよ!」


とか言っちゃって、言った後に自分で言った言葉をめっちゃ反省してシュンとしちゃう、よく見るとめっちゃ分かりやすくて可愛い女の子。


グイグイ来るイケメンにうんざりして来ていた私の心の癒しとして降臨してきたとしか思えない可愛さに、それまで凪いでいた心が一気に萌え滾ってきましたよね。


それからの私の学園生活はアリアナ一色になりましたとも!


うるさくたかってくるハエ(攻略対象者達)なんかガン無視でアリアナ様を陰日向から見つめる日々。


所謂ストーカー的な。


美人だけどキツい印象のある、しかもそこそこ位の高いアリアナ様には取り巻き的な立ち位置のご令嬢もおらず大体が1人。


本当は輪の中に入って一緒に楽しみたいのにツンデレ(ツンめっちゃ過多)な性格から「入れてください」なんて言えず、いつも羨ましそうに、寂しそうに見つめて人知れずため息を吐いているお姿なんて尊いの一言!


そんなアリアナ様のそばにいたくて私、めっちゃ頑張りました!


好感度爆上がりイベントは全てアリアナ様に捧げまくり、うるさいハエには舌打ちをかましまくり、やっとの事でアリアナ様の取り巻き一号の座を射止める事に成功。


頑張った、私ほんとに頑張った。


人生でこんなに頑張った事はない程に頑張り通した。


初めて「リリス」と呼んでもらえた時は全身が震えましたとも。


このまま死ぬんじゃないかって位ヤバかった。


「い、一緒に、お昼、食べてあげてもよろしくてよ」


って真っ赤な顔で目を潤ませて言われた時には鼻血吹き出すかと思いましたよ!


確かに私、この世界のヒロインな立ち位置だから顔は半端なく可愛いけど、アリアナ様と比較したら霞む。


もう私の顔なんて100m先にいる人位ぼんやりとしちゃってるんじゃなかろうか?って位霞みまくりな筈。


なのにうるさいハエ共はそんなアリアナ様の可愛さ、可憐さ、素晴らしさには気付きもしない見る目無しボンクラで、私がアリアナ様と一緒にいるのが気に入らなくて何かと妨害してくる始末。


あれ?立ち位置変わってません?


って思ったけど、そんなの知らない。


アリアナ様が可愛ければ私は満足!


本望!!




因みにアリアナ様はうるさいハエの一匹であるこの国の第一王子の婚約者です。


私に数々の嫌がらせをするはずのアリアナ様が私と懇意にし、逆に王子達の方が悪役令嬢的な事を他のハエ共と共に行い始める始末。


目も当てられません。


「アリアナ様は王子殿下の事、どう思ってらっしゃるのですか?」


学園生活も残す所半年を切った頃それとなく尋ねてみました。


「殿下の事、ですか?………ただの決められた婚約者ですわね。それ以上でもそれ以下でもございませんわ」


と真顔で言われました。


そこには一切のデレもなく、本当に心の底からそう思ってるのが分かる程に。


「だって…ねぇ…あれですもの」


と視線をチラッと奥の方に送ったのでそちらを見ると、植え込みの隙間からこちらを睨み付けながらも「え?あれで隠れてるつもり?」と疑いたくなる様な姿で隠れている王子達の姿が。


私と目が合うと蕩ける様な笑顔を見せる王子達に嫌悪感と共に鳥肌が総立ちしました。


「リリスこそあの中のどなたかにお心を寄せていたりしませんの?」


「私はアリアナ様一筋です!」


「ま、まぁ、何て事を!」


そう言いつつも恥ずかしそうに嬉しそうにそっと俯いて微笑むアリアナ様。


マジ天使!!


照れるアリアナ様はいつ見ても萌える!


はぁ、このお方は一体どれだけ私を萌え死にさせれば気が済むのだろうか?


勝手に萌え死にしてるだけなんだけど。テヘ。


「あんな様子ではこのまま婚約者として私がいてもいいものなのかすら疑問に感じておりますわ」


「そうですよね、アリアナ様にはあんなハエ勿体ないですよ!」


「ハ、ハエって貴方…」


「だって、こんなに可憐なアリアナ様には目もくれず、どういう訳か私にたかってくる人達ですよ?ハエですよ、ハエ」


「私の前以外でその様な事口にしてはいけませんわよ?不敬罪に取られてしまいますからね?私だから許されるのですよ」


「お優しいアリアナ様が大好きです!」


「わ、私も、その、嫌いでは、ございませんことよ」


神様ありがとう!!


その言葉だけで私の人生光り輝けます!


その言葉を糧に一生幸せに生きて行けます!



3年間の学園生活はアリアナ様という最高で最強で愛してやまない最推しと言う存在を獲て素晴らしい物でした。


ハエ共を除けば。


そして本日は卒業パーティ。


アリアナ様のパートナーをあろう事か拒否したあのバカハエなんてほっといて、私はアリアナ様と共にパーティに出席しました。


卒業パーティなので特にパートナー無しでも大丈夫だし、アリアナ様にはあんなアホ勿体ないし。


「アリアナ様、ダンス私と踊っちゃいましょうか?」


「何をおっしゃるのかしら?」


「私、今日のために男性パートの練習してきたんですよ!」


「貴方のその行動力はどこから来るんですの?」


「アリアナ様への愛からです!」


なんていつも通りの会話をしていたら、ホール中央が何やら騒がしくなり、次いで大声が聞こえてきました。


「アリアナ・ヴァン・ポラプルア!」


この声は間違いなく王子。


人がサーッと波が引くように居なくなり、私とアリアナ様は取り残されてしまいました。


「アリアナ・ヴァン・ポラプルア!私は貴様との婚約を解消する事をここに宣言する!」


マジすか?!


これ断罪イベント?!


何故??


アリアナ様は突然の事に呆然とされています。


呆然とする顔もまた良き。


なんて思ってたら次の言葉が私を貫きました。


「そしてリリス・サンドーラ嬢!私は君を愛している!どうか私と共に歩んではくれないか?」


「はぁぁぁ??」


全身鳥肌立てつつ思いっきり睨み付けましたよね、ハエを。


そりゃ、最初だけは出会いイベント少しだけ頑張ったけど、それ以降はノータッチ、何ならガン無視してアリアナ様への愛を、推しを貫き通したこの3年間。


その集大成でもある卒業パーティで何勝手に盛大なイベント起こしちゃってるの?!


怒りで体がプルプル震えてきた!!


それを勝手に感動してるとか勘違いしたらしいハエが声高にまたもや戯言を吐き出しました。


「アリアナ・ヴァン・ポラプルア!貴様にはガッカリだ!あろう事かリリス嬢に嫉妬した上での彼女に対する非道な行いを私が知らないとでも思ったか?彼女が貴様に奴隷の様に付き従う姿はもう見てはいられない!貴様の様に心根の曲がった物は将来の国母になる資格もない!」


プッチーーーン!!


なーんか切れちゃう音がしましたよね、頭の中で。


アリアナ様がいつ私に非道な行いをしたと?


アリアナ様にあんた達がしてたんだろうが!


目の前真っ赤になりました。


ササッとポケットから手帳を取り出して、ハエ共がアリアナ様に行った姑息で狡い嫌がらせの数々をぶちまけてやりましたよ。


日付も時間も状況もバッチリ記録していたので、まさかの反撃にハエ共はタジタジ。


「私は私の意思でアリアナ様と共におります!私の推しはアリアナ様ただ一筋!ハエの入る隙間無し!!」


最後にこう言ったらハエ達は呆然としてました。


ショックを受けたであろうアリアナ様でしたが、最後は今まで見た事がない程に楽しそうに笑っていてホッとしました。



その後、断罪イベントがきっかけとなりハエ共は再教育の必要ありと判断され、アリアナ様と王子の婚約は解消され、王子は教育が厳しいと有名な隣国の学園に強制留学。


他のハエ共もそれぞれに厳しい環境に送り込まれ、精神から鍛え直す事になりました。


アリアナ様はその後「あなたどこに隠れてました?」と聞きたくなる程にアリアナ様にピッタリな見目麗しい公爵令息様に望まれてご婚約。


2年後にとても幸せそうな花嫁姿を見せていただきました。


私はと言うと卒業と共に聖女認定されましたよ。


でも、聖女って正直そんなにやる事がないので、世界初の侍女兼聖女としてアリアナ様に仕えることになりました。


「アリアナ様の侍女になれないなら聖女になんてなりません!」


と駄々を捏ねてみたらあっさり許可されちゃったんですけどね。


「今日からよろしくお願いいたします」


ってアリアナ様にご挨拶申し上げたら、アリアナ様ったら口を開けてポカーンとされていました。


その顔もまた可愛すぎて、心のシャッター押しまくりました。


そうして今日も私は、公爵令息様に甘やかされ、溺愛されて困惑しつつもとってもとっても幸せそうなアリアナ様を推して推して推しまくりながら萌える生活を送るのでした。














誤字報告ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ