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68話 反撃開始


「さて、今日は竜の聖女の誕生と、竜の聖女ラーファ様とのご婚約についても発表したいと思います」


 大司教の言葉に広場がざわざわとざまめきだした。

 そして【金色の聖女】の誕生の興奮の中にあった国民たちから歓喜の声があがる。


 長い間。


 なぜ竜人より下等な生物である人間に【聖女】が生まれ、誇り高き竜人たちは神の聖杯に頼らねばいけないのか。

 ずっとその劣等感に苛まれてれていただけに、竜人たちの喜びもひとしおだろう。


 ルヴァイスは目の前で繰り広げられる茶番を傍観しながら、ため息をついた。

 おそらくルヴァイス亡きあと、あの二人を国王と王妃にし、聖獣キュイを奪い取るつもりであろうが……。


 勝ち誇った表情でソフィアをにらむ自称【金色の聖女】の視線にソフィアが気づかないようにわざと視線が向かぬよう抱きしめる。

 ルヴァイス達に連絡もなくこのような大勢の観衆の前で婚約を発表したのはあきらかにルヴァイス達に対する挑発だ。


「あー」


 ソフィアがおびえたようにルヴァイスにしがみついて見上げてきたので、安心させるようににっこりと微笑んだ。


 今頃あの竜人の体を乗っ取ったデイジアと、大司教、そして従兄にあたる王族ガリアスはルヴァイス達を負かしたと内心ほくそ笑んでいるはずだろう。


 ルヴァイス達がすでにあの【金色の聖女】の魂がデイジアであることを知っているとも思わずに。

 

 ソフィアがエルフの子だという情報はすでに国中に広めてある。

 だが、まだエルフの王族の血をひき【錬金術】が使えるという情報は極秘のままだ。

 そのため【金色の聖女】を後ろ盾にさえすれば、ルヴァイスの弟ラディスを押しのけ従兄のガリアスを王位にできると踏んだのだろうが……。


(ずいぶんと浅はかな)


 歓声にわく、広場と勝ち誇った表情の竜神官達を広場の王族席から見下ろしてルヴァイスは、ソフィアの頭を撫でた。


「さて、では愛しのソフィア。そろそろこちらも反撃しようか」


 ルヴァイスが言うと、ソフィアが力強くうなずいた。




「さて、それでは皆様、ルヴァイス様からのお言葉を賜りたく」


 やや熱気のさめかけた会場で竜神官の一人が、ルヴァイスのほうに話を振った。

 毎年の行事であり、竜王が最後に祝辞を述べるのは例年通りなのだが。

 このような状況で言葉を述べろというのは、ルヴァイス達に対しての嫌がらせ以外のなにものでもない。


 ――-そう。ルヴァイス達が相手の動きを全く知らずに何も用意していなかったらの話だが。


 竜神官の言葉にルヴァイスはソフィアを抱いたまま、広場の祭壇の中心に進みでる。


 その両隣にはテオとジャイルが続き、祭壇の前に来ると、ジャイルが頭をたれた。


「それでは、【金色の聖女】様と竜神の再来と歌われるガリアス様の婚約のめでたい知らせを祝し、我々からも発表させていただきます!」


 そういってジャイルが手を広げるのだった。



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