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65話 瘴気の発生源

 


「次は聖気の消費量だけ違って味も味覚もほぼそのままの作物の作成が課題だ」


 領地に戻ったあと研究所に帰ると、ジャイルさんがみんなの前でそう告げた。


「あー、確かになんとなく甘ければ旨いみたいな感じで作っていました」


 茶髪の研究員さんが視線をさまよわせた。


「ここにいる人達って研究一筋で数値しか見てないところありますからねぇ。

 食べるより研究って感じで」


 今度は眼鏡をかけた研究員さん。


「郷土の味は盲点でしたね」


「味や味覚はそのまま、聖気の消費量だけ違う作物の作成がんばりましょう」


 そういって、研究所の人達が各々の計算をはじめる。


「というわけだ、ソフィアちゃん、またちょい錬成頑張ってもらうけど、よろしく頼むな」


 そう言ってジャイルさんにウインクをされて、私はうんって頷いた。


 みんなの研究結果がでるまで私はたくさんエリクサーを作っておかないと。


 私は今日もキュイとテオさんと一緒にエリクサー作り。

 ルヴァイス様に何かあるといけないからたくさん作っておかなくちゃ。

 こちらに戻ってからルヴァイス様のエリクサーを呑む頻度があがってきてる。


 前は一週間に一本でよかったのに最近は三日一本飲まないと黒いもやもやがでてくるようになった。

 だから毎日飲むようにしてるんだ。

 瘴気が集まるせいでルヴァイス様はまだ体力が回復しない。

 ジャイルさんの話では国の瘴気濃度はあがってないのにルヴァイス様にだけ集まるのがはやくなっている。

 逆に言うと、もしかしたらルヴァイス様が集めているから国の瘴気濃度があがらないのかもって言っていた。

【瘴気】を聖気にかえる【ファテナの花】もあるはずなのに、ルヴァイス様だけにこんなに瘴気が集まるのはなんでだろう。


 ◆◆◆



「やはり、鍵は大神殿の最奥部か」


 教団に放った密偵の報告を読み終え、ルヴァイスはため息をついた。

 密偵の報告では大神殿の最奥部に大司教や司教など重要人物が行く回数が増え、【金色の聖女】も神殿の最奥部で暮らしていると報告書に記載してる。

 だが神殿の最奥部は神官しか行けない結界が張ってあり、ルヴァイスの放った密偵では調べることができないのだ。

 教団がキュイを欲するようになった時期とルヴァイスの体調が急に悪くなった時期を考えると、この異様な瘴気の増加は教団が関係してるとみるほうが自然だろう。


 だが状況証拠だけで確たる証拠がなにもない。


「テオ、もし教団に踏み込んだとして、結界を破ることは可能か?」


 ルヴァイスの問いにテオは眉をひそめた。


「まさか、神殿に押し入るおつもりで?」


「最悪の場合それもありえる。このデータを見ろ」


 そういって、ルヴァイスがテオに見せたデータは、ルヴァイスが他領土に視察いた期間の王都の瘴気のデータだった。


「……数値があがってますね」


「ああ、誤差の範囲ともいえなくもないが、特に問題はこれだ」


 そういって出された書類の数値は見るからに瘴気の数値が上がっている。


「これは?」


「大神殿周辺の瘴気だ。密偵に調べさせたところ、私が不在の間神殿で体調不良者が多かったらしい」


「……つまり瘴気の発生源は……」


「間違いない、神殿だ。私の具合が悪くなった時期と作物の実りが悪くなった時期、そして神殿がキュイを必要とした時期がちょうどそのころだ。大神殿の奥で何かあったに違いない」


「……確かに放っておいていい問題ではありませんね」


「ああ、だが踏み込んでも結界が破れないのでは意味がない。

 やつらは信仰心だけは高いからな。

 われらが脅しても開けぬだろう。秘密を守るためと集団で自害されてしまえばそれこそ面倒だ。

 瘴気が増えた原因がわからぬままでは困る」


「……実際に見て見ない事には何とも言えません。

 わかりました。私が行って調べてきます」


 そう言ってテオは書類を受け取った。


「……それは大神殿に忍び込むということか?大丈夫か?」


「私も一応宮殿魔術師の端くれですから」


「……そうか。だがくれぐれも無理だけはするな。危険だと判断したら撤退しろ」


「はっ」


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