46話 心配
「……すまないな。疲れがたまっていたようだ」
あの後、ルヴァイス様の部屋にルヴァイス様を騎士の人が抱えて戻り、ルヴァイス様を医者に診てもらった。
医者の人が薬を処方して帰った後。ルヴァイス様がベッドの上で力なく笑った。
「あーあー」
大丈夫?って抱き着くと、頭をなでてくれる。
「ルヴァイス様はやはり薬を……」
「テオ」
私の後ろから意見したテオさんの言葉にルヴァイス様はテオさんを睨んだ。
そうするとテオさんが言葉を飲み込む。
『薬?』
そういえば大司教もそんなことを言っていた気がする。
「ソフィアは気にすることではない。またその件はあとで説明しよう。
テオ、ソフィアを部屋まで送ってやってくれ。
キュイからも目を離さぬように。
竜神官達がなぜキュイに目をつけたのかは知らないが何を企んでいるかわからない」
「はっ」
「ソフィア。今日は部屋に戻りなさい。ソフィアの部屋の警護は信頼のおけるものにさせるから安心していい。キュイから目を離さぬように頼む」
そう言ってルヴァイス様はベッドの上に寝たまま目を閉じてしまう。
本当は一緒にいたかったけれど、ルヴァイス様が手をあげて一人にしてほしいっていうから、我慢する。
私はテオさんに手をひかれて、キュイと一緒に部屋を出た。
『ルヴァイス様大丈夫かな?』
お部屋に戻ってから、私はベッドでキュイを抱っこしながらクレアさんに聞いてみた。
クレアさんは笑って「大丈夫ですよ」って笑ってくれたけれど、とても心配。
『クレアさん、ルヴァイス様のお薬ってなんのこと?』
そう書いて聞くと、
「おそらく魔獣にうけた呪いの痛みを和らげる薬だと思います」
『呪いの痛みを和らげる薬?
ルヴァイス様は呪われてたの?』
「はい、でも心配はなさらないでください。命を奪うものではありません。
呪われたものに死ぬまで苦痛を与えるという魔獣の呪いです」
『そんな、ルヴァイス様苦しいの?大丈夫?』
「大丈夫ですよ。そのための薬ですから。ソフィア様は心配しないでください。
ソフィア様が悲しそうな顔をしてしまえば、ルヴァイス様が悲しみます」
そう言ってクレアさんが私にお布団をかけてくれる。
『そっか。ごめんなさい』
私がそう書くと、クレアさんが微笑んで私とキュイにお布団をかけてくれる。
「今日から念のため護衛を増やすそうです。
ソフィア様の顔なじみの護衛騎士ばかりですから安心してください」
クレアさんの言葉に私は頷いた。
(キュイ、絶対私から離れたらだめだよ?)
っていうと、キュイが「キュイー」って泣いてくれる。
でもーー。
やっぱりルヴァイス様が心配で眠れない。
夜中にこっそりベッドからキュイを抱いておりると、部屋は月あかりだけでぼんやり見える程度。
ルヴァイス様のお部屋に行きたいけれど、ドアの前には護衛の人がいてくれるはず。
窓から見える外の範囲にも複数の見張りの人の姿が見える。抜け出すのは無理みたい。
ルヴァイス様の部屋に行くのは怒られちゃう。
そうだ。
ジャイルさんに相談しよう!
ジャイルさんならお薬のことを知っているかも。
私の【錬成】で作ってくれるかもしれないもの。
『キュイ、ジャイルさんのところのいってみよう』
私が心の中でいうとキュイが「キュイー!」って賛成してくれた。
私はジャイルさんの研究室に続くタンスの魔方陣を発動させると飛び込んだ。
契約した人だけが通れる秘密のルート。ジャイルさんのお部屋の隣のお部屋に移動するはず。研究所は24時間体制っていってたし、ジャイルさんは夜遅くまで研究しているはずだからまだ起きているかも。
どうか起きていますように。










