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36話 大好きなルヴァイス様


「ソフィアちゃーん!!待ってた!!」


 研究所にくるようになって一か月。

 今日はルヴァイス様のお仕事がお休みなのでルヴァイス様も一緒に研究所に行くことになった。

 研究所につくなり、ずらぁっと、植物の鉢が用意された状態でジャイルさんが出迎えてくれた。


「ごめん、悪いけどこちらで【錬成】する植物を選ばせてもらった、今日も頼めるかな」


 その言葉に私はうんうん頷く。


「って、ルヴァイス様もきてたんですか」


「なんだその邪魔とでもいいたげな目は」


「邪魔だなんてとんでもない!力仕事は山ほど残っていますので!

 是非活躍してください!」


「まさか手伝わせる気か?」


「ここでは身分など関係ないと決めたのはルヴァイス様じゃありませんか!

 必要なのは地位ではなく結果だと!」


 ジャイルさんがにこやかに言う。

 そういえばここは所長のジャイルさんにもみんな敬語じゃない。


「またお前はへりくつを」


「そういうわけだから、少し借りてくよソフィアちゃん」


『いってらっしゃい!!』


 大きく手をふってバイバイしたらルヴァイス様もバイバイしてくれる。

 なんだかバイバイできるのって嬉しいな。



◆◆◆


「やっぱりいつみてもソフィア様の魔法はすごいですねぇ」


 私がジャイルさんに頼まれた植物を【錬成】していたら研究所の女の人に話しかけられた。

【錬成】でできる植物の特性がどの特性を引き継ぐかはランダムだからいっぱい作るしかないんだ。だからいっぱい作ってる。

 そしてそれを研究所の人が難しい実験器具をつかって、遺伝子情報をもとにどの特性が引き継がれたか調べてくれるの。

 研究は本格的。

 ちゃんと隔離した温室をつくって、何と何を組み合わせたかと記録をとっていくもの。

 同じ植物でも、育ちがいいもの、育ちがわるいもの、実をたくさんつけるもの、たくさんつけないもの。とそれぞれデータを分析して区分でわける。あとは畑で区分して研究所の人が育ててる。


 その中で、より聖気をあまり消費せずに、良質で豊富な実をつけるものを分類していく。

 ここはちゃんとどれくらい聖気を消費したか計測する魔道具があって、すぐわかる。


 設備と人手があるからこそできる研究。違った環境にするだけで大変なのに、施設の人がそれぞれの環境を温室で整えて作物を栽培してくれるんだ。

 私は嬉しくなって毎日、【錬成】の魔法を唱えていっぱい新種の作物をつくる。


 それを研究員の人たち栽培してくれて研究はすごく順調だった。


 私がもくもくと魔法をかけていると


「頑張るのはいいことだがあまり無理はしないことだ」


 ジャイルさんの用事が終わったのか、いつのまにか背後にいたルヴァイス様が言ってくれた。

 女の研究員さんがルヴァイス様に挨拶をして去っていく。


「きゅいー♪」


 私の肩にとまっていたキュイがルヴァイス様の肩にとまった。


 私はルヴァイス様と、手をつないで研究所の栽培室を見に行くの。

 ガラスで区切られた区域にたくさんの植物が実ってる。

 廊下ですれ違う人がルヴァイス様に挨拶をして私には手をふってくれて、私もキュイと一緒にバイバイって手をふった。

 ここの人たちは本当に優しいから好き。みんな気軽に話しかけてくれる。

 神殿に居た時はひそひそ悪口言われるだけで、宮殿ではみな頭をさげて私が通るのを黙って待っているだけだから、本当にうれしい。


「どうだ。ソフィアここでの生活も慣れたか?」


 ルヴァイス様に聞かれて私はルヴァイス様を見上げて頷いた。

 最近はほとんどこっちにいて、王宮はお風呂と朝と夜のお食事と寝るときくらいしかいない。

 私にとっては王宮にいる時間よりも研究所での生活のほうが長くなったんだ。


『優しくしてくれる人もいっぱいいるし、みんなわからないことは親切に教えてくれる。

 レイゼルさんとできなかった事もいっぱいできる。

 ここはとっても楽しいよ』


「そうか、ならよかった」

 

 そう言って頭を撫でてくれる。

 最近ルヴァイス様やジャイルさんたちの話を聞いていて気付いたの。

 ルヴァイス様は竜王国の事だけじゃなくて、世界全体の事をよく考えている。

 考え方がレイゼルさんに似ていて好き。


 聖女が必要な今の世界への疑問。

 聖女が生まれなくなった時の事を考えて、今の聖気が必要な世界を根本から変えようとしている。

 ルヴァイス様の目指す世界は、私や私のレイゼルさんと一緒。


 だから私もルヴァイス様の期待に応えられるように頑張らなきゃ。


 ぎゅって手を握ったら、顔をみて微笑んでくれて、うれしくなる。

 

 大好きルヴァイス様。どうかこのまま一緒にいられますように。


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