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22話 ルヴァイス視点(1)


「ソフィアの様子はどうだ?」


 竜王国の宮殿のルヴァイスの自室で、夜の報告にきたテオにルヴァイスが尋ねる。


「はい。入浴後のマッサージで疲れて寝てしまったようです」


「そうか。長旅で疲れたのであろう寝かせてやれ」


 ルヴァイスは水に手を伸ばし言うと、その手をとめて


「何か言いたそうだな?」


 いかにも笑いをこらえているテオをルヴァイスがにらむ。


「いえ、ルヴァイス様の、女性に愛をささやく行為が不似合いすぎて」


「なんとでも言え。周りにソフィアこそが私の番だと思わせる必要があるのだ。

 あれでもまだ足りぬだろう」


 そういいながらルヴァイスはコップの水を飲みため息をついた。

 ルヴァイス自身も慣れぬことをしている自覚はあるが、これは必要な演技だ。


 竜神官達が嫌悪しているリザイア家の人間を妻にするにはかなりの反発があるだろう。

 それを防ぐためには、ソフィアがルヴァイスの番だと思わせる必要がある。


 竜王の血筋は竜人の中でも竜の血が色濃く、ごくまれに竜同様「番」を選ぶことがある。


 番であれば、いくら周囲が反対しようとも、竜の血が決めた運命の相手として、竜王の妻に認めるしかない。

 ソフィアが国中に「番」だと認識させれば、ソフィアに危害を加えようとするものもいなくなるだろう。

 番に危害を加えるという事は、竜王に逆らうにも等しいのだ。


 ソフィアを妻に迎え入れ、彼女の安全を確保するには竜王ルヴァイスが我を失うほど溺愛していると見せつける必要がある。


「世界の根本を変える事のできる力がソフィアにはある。

 私は彼女と彼女の力に賭けたのだ。

 これくらいどうという事ではないだろう」


 ルヴァイスのつぶやきに、テオは笑うのをやめルヴァイスを見つめた。

 

【聖気】に縛られない世界。

 それはルヴァイスの父が夢見た世界であり、ルヴァイスもまた父の夢を引き継いだ。

 その夢をかなえるためならば、人間を愛する竜王を演じ、評価が下がることくらいルヴァイスにとっては些細なことにすぎない。


「……そうですね。きっと先代も喜んでくださいます」


「ああ、そうだな。それで、テオ悪いが、資料をもってきてくれるか」


「資料ですか?」


「歴代竜王の中で番がいた竜王の行動の記録だ。正直どういう行動をとらねばいけないのかわらかない」


 ルヴァイスがテオを見つめ真面目に言うと、テオは一瞬固まったあと。


「ああ、なるほど。女性経験のないルヴァイス様に資料なしでの女性の扱いは少々荷が重いですからね」


 と、言われ


「……喧嘩を売っているのか」


 ルヴァイスが半眼で反論するのだった。

 

 


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