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11話 竜王ルヴァイス


「リザイア家が連絡をよこしたと?」


 竜王国の宮殿の一室。竜王ルヴァイス・デル・ランバードの執務室。

 黒髪の端正な顔立ちの20代くらいの男性が執務室での作業をやめペンを片手に顔をあげた。


「はい。魔獣を倒せばリザイア家の血筋を嫁に引き渡すことを条件をつけこちらに魔獣退治を依頼してきました」


 書類を片手に20代くらいの銀髪の短い髪の男性が報告する。


「……成程。王家と竜神官のいざこざを聞きつけて、【聖気】が使える聖女を餌に我らに魔獣退治をさせようというわけか」


 ルヴァイスが苦笑いを浮かべる。

 確かにルヴァイスの父である先王の時代から、竜神官と王族との仲は急速に悪化した。

 いままで中立をたもっていた竜神官達が【聖気】を理由に過度に政治に介入してくるようになったからだ。

 先代の王と現王ルヴァイスは魔獣を倒した際に、魔獣から呪いをうけている。

 そのため、呪いの痛みと進行を遅らせるために竜神官達の処方する【聖気】を込めた薬【聖薬】を飲まなければいけない。

 それをいいことに竜神官達が過度な要求を王族にしてくるようになったのだ。

 もちろん竜王としては歓迎できる状態ではない。

 そのいざこざでおこった亀裂をリザイア家は利用しようとしているのだろう。


「そのようですね。どういたしましょう?」


 部下であり優秀な宮廷魔術師でもあるテオの問いにルヴァイスは考えこんだ。

 リザイア家の聖女を嫁に迎え入れるなどという話になれば、竜神官達が黙っているはずもない。

 だが最近王政に直接口をだしてくるようになった、竜神官達に苛立ちが募っていたのも事実である。

 それでも魔獣退治はリスクが高すぎる。

 そもそも20年前竜人の国が魔獣に襲われた時、人間は所詮竜人の国の出来事と高みの見物を決め、すべてを竜人達におしつけたのだ。

 そのため、ルヴァイスの父だった前代の王は呪われ、結局その呪いのせいで命を落とし、ともに戦ったルヴァイスまでいまだに魔獣にかけられた呪いに苦しんでいる。

 20年前手をかさなかった人間達の国がどうなろうが竜人であるルヴァイス達の知ったことではない。


「……断るのは簡単だが……」


 ルヴァイスがペンを置いた途端。


「キュイー!」


 ルヴァイスの後ろで寝ていたはずの、小型の竜聖獣キュイが鳴きながらルヴァイスの肩にとまった。

 そして髪の毛をつかむとぐいぐいと引っ張りだす。


「ふむ。行けと」


 ルヴァイスが問うと、キュイは嬉しそうに「キュイ♪」と頷いた。

 キュイは聖獣としてはまだ生まれたばかりで力がないが、予見能力があると言われている。竜人の守り神。


「聖獣のキュイ様が言うなら間違いありませんね。竜神官達も行くなといえないでしょう」


 ルヴァイスの部下のテオが言う。


「そうだな。断るにせよ一度話を聞いてみるのも悪くない。やつら(竜神官)の苦虫を噛みつぶしたような顔が見れるというのならこれもまた一興だな」


 と、皮肉めいた笑みを浮かべるのだった。


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