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10話 グラシア視点(2)


「魔獣討伐部隊が全滅したですって!?」


 神殿の豪華な謁見室で、グラシアが悲鳴に近い声をあげた。

 謁見の間にある豪華な椅子に座ったグラシアとデイジア。

 そこに複数の神官が頭を下げ報告していた。

 魔獣討伐隊が派遣されて2か月たち、状況はよくないと報告はたびたびあった。

 そして討伐隊全滅の知らせがはいる。


「はい……。神殿と帝国及び諸外国の兵士すべてが全滅と知らせを受けています。

 今はまだ帝国の西郡に魔獣はとどまっておりますが……。

 魔獣の進行方向によっては、帝国領を抜け聖王国に来る可能性もあります。ここ(聖都)から避難することも考えなくてはなりません」


 報告書を読み上げながら神官が言う。

 魔獣は100年か200年に一度現れる大災害のはず。

 20年前、竜人たちの支配する竜王国に現れ、当時の竜王に倒されたばかりのはずなのに、何故また出現したのか。


(私の代でそんなものが現れるなんてなんて運が悪い)


 グラシアは舌打ちした。


「どうにかならないのですか!?」


「こうなった以上、強大な竜の血を引くと言われる、竜人達のいる竜王国ランバード王国に頼るしかありません。

 竜王国の王族は魔獣を倒せます」


 老人の神官が頭をあげる。


「しかし竜王国は、リザイア家の聖女とは別に竜神官リュドルフ達が作物に【聖気】を与えています。

 我らリザイア聖王国の願いを聞くとは思えません」


 報告した別の老神官が、意見をする。


「しかし倒せるとしたら20年前魔獣を倒した、魔獣殺しの異名をもつルヴァイス・デル・ランバード他いないでしょう。

 かれら竜人の王族は魔獣を倒せる秘儀を持っていると聞き及びます」


 今度は別の中年神官が冷や汗を流しながら言う。


「だが人間のいう事を聞くわけがありませんが」


「いえ、可能性はあるかもしれません。

 20年前、竜王国に魔獣が現れ竜王が退治したさい、竜王は魔獣から呪いをうけたのです。

 その呪いは【聖気】を込めた薬草で治療し、病状を緩和するしかなく、【聖気】が使える竜神官達はそれをいい事に竜王に無理難題を押し付けるようになったとか。

 そこから竜神官達と竜王達との間に溝ができたと聞いております。

【聖気】を使えるリザイア家の血筋を差し出せばもしかしたら……」


 眼鏡をかけた若い神官が答える。


「竜王と竜神官リュドルフ達の不仲を利用するというわけですか」


 老神官が手を組んで考え込む。


「それはいい考えですね。

 魔獣を倒せる竜人ランバード家と縁を持つことは悪いことではありません」

 

 老神官のセリフにグラシアは満足げにうなずいた。


 ランバード家にリザイア家の血を入れれば、竜神官の力が弱まり、リザイア家の力が竜人の国にも及ぶようになるかもしれない。

 そしてリザイア家にも神聖なる竜人の血が入ればより一層敬われるようになる。


(歴史に名の残る偉業だわ。

 これを成し遂げれば母と妹のカチュアの功績を超えられる。

 見てなさいカチュア。必ずデイジアちゃんをランバード家の嫁に。

 私の名を歴史に刻んでみせる)


「早速、竜王国に使者を送りなさい!!事態は緊急を要します!!」


「はっ」


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