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大英雄レギナと神魔サタンの約束

評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

「――ッ!」

「なっ……何ィ!?」



 サタンのとんでもない発言に、アンネリーゼと周辺の兵士達が驚く。

 それは至極当然のことだったろう。

 まさか、アルカディア家をあっさりと追放された情けない俺が――


「おっ……俺が"大英雄レギナ"の……ッ!?」


 俺はいまだ信じられず、声を上げてサタンに確認する。

 するとサタンは、またもやにぃっとした可愛らしい笑みを浮かべてから、ゆっくりと口を開いた。


「我が(あるじ)よ。今の話を聴いて、いくつも共感してしまったのではないか? さらに、これほど共感してしまうのは、もはや同一人物といっても過言ではないとも、思ったのではないか?」


 ――確かに、サタンの指摘はまったくの図星だった。

 いやしかし……しかしそれだけでは……!


「それに、我に抱きつかれてどきどきしておるのではないかぁ~?」


 そっ……!


「そりゃ、こんな可愛い女の子に腕を組まれたら誰だってそうなるだろ……ッ!」


「はぁ~っ、照れた顔もやっぱり可愛いなぁっ!」


「自分の可愛さを、少しは自覚してくれ……ッ! あとボディタッチが多いのも、思春期の男には辛いんだよ!」


 そうだ、それだけは関係ないはずなのだ。

 からかわれたって、認めることにはならない……。


 しかし――俺が本当に"大英雄レギナ"の生まれ変わりだとしたら……

 何故、縁もゆかりもない他国の俺が選ばれているんだ……?



 ――そして。



 思えば、そこまで俺が思考を巡らせていたその瞬間からだったのだ。


「ふふっ、そうであろう、そうであろうっ? 実はそれも狙っておったからな~? そうそう、それでなっ! レギナは生前、我に固く約束してくれたことがあるのだっ!」


「約束……?」


 俺の運命が、更に大きく変わってしまうことになるのは――



「今度は男に生まれ変わって、我を(めと)って幸せにするとなっ!」



xxx



「――ッ!?」

「な……なんですって……!?」



 なっ……今何て……ッ!?

 レギナは……女性のはずだろ……?

 お……女が好きな人だったのだろうか……?


 サタンのとんでも発言に対して――

 俺も、アンネリーゼも、そして周囲の兵士達までも大混乱していた。 

 

「ふふっ、意外だったか?」


 ――しかしサタンは少しも配慮することなく、そんな俺達のことを楽しそうに見つめながら、更に言葉を続けた。


「レギナは肝の据わった……うーん、男よりも男らしい女? あぁ、そうだ! 今風に言えば()()()()()というやつだったな! そして当時、レギナには特定の恋人などおらんかったし、これぞという男もいままでいなかったそうだ。それに可愛い我がそばにいるから、別に欲することもないとも言っておったなぁ~」


「そ、そんな……大英雄なのに、子孫を残そうとしなかったのか……?」


 俺は恐る恐るサタンに問いかけるが――


「それほどまでに、我の美貌(びぼう)は罪作りだということだ」


 そうしたり顔で言いきるサタン。

 いや……めちゃくちゃ可愛いのは認めるけどさ!

 大英雄レギナ……それでもどうして……?


「さて、どうだ(あるじ)よ? こやつらを町まで送り届けたら、金だけ貰って、どこか二人だけの愛の巣でも選ばんか? どうせ、この時代の皇帝に会ったところで、わずらわしいことばかりだぞ? それよりも、我と愛し合っていた方がよっぽど楽しいと思うがなぁ~?」


「あ……愛し合うって……ッ!?」


 お……女の子がそんなはしたないことを言うなッ!


 驚きの連続で、とても頭がついて行かない俺に対して、サタンは容赦なくどんどんと自身の提案を口にする。

 そりゃ……まったくの無一文で行くあてもない俺を救ってくれたのはこの子だし、恩を感じてはいるが……

 いやいや! でも、そんなんでいいのか俺は……ッ!?



 俺はそこまで悩んでいたのだが――



「ちょっ、そんなの駄目だからねッ!!!」


「うわっ! びっくりするだろう!?」


 突然のアンネリーゼの大声に驚かされてしまい、思考が中断されてしまった。


「ほお? 何故だ?」


「そっ……それは……! そうよ! 【凶禍の呪術師】を見つけたのにそのまま帰らせるなんてオスヴァルト家の恥よッ! お父様とお母様に叱られちゃうわッ!」


「はぁーん? ベルスタルージュ帝国はレギナと我のおかげで、あれから侵略を受けることはなかっただろう? それなのに、大恩ある我のささやかな頼みも聴けんというのか~? あーあー! 恩知らずな連中だ! レギナも天国で泣いておるだろうなぁ~!」


「そっ……それはそれ! これはこれよ!!」


 そして今度はまったく、俺を会話の蚊帳の外にして大声を喚き散らす美少女達。

 それをぽかんと見ている俺と兵士達。


 何この間抜けな構図は……?

 いやでも、本当に何なの……?

 この子達……人を驚かせるだけ驚かしといて自由すぎじゃない……?


「それに……ろくな魔術も使えないのに、助けに出てくれたのも嬉しかったし……」


 かと思いきや、突然小声で何かをつぶやくアンネリーゼ。


「なんて言ったんだ……?」


「なっ、なんでもないから! ほら、私達が拠点にしていた町が見えたわよ! ここまで来れば大丈夫だから、ほら!」


 なっ……何故怒っているんだ?

 俺……何かしてしまったのだろうか……?


 そうして、顔をトマトのように真っ赤にしながら怒っているアンネリーゼに、俺は連れられてゆくのだった。



 結局、驚きの連続でいまだ頭の整理がついていないが……。

 まぁそれは、町でゆっくりしてから考えるとしよう……。

 それに……【凶禍の呪術師】の具体的な能力についても、まだ教えてもらってないしな……。



 そこまで考えた俺は、これまでより少しだけ足早に、町へと向かったのだ。




 そこであまりに想定外の、熱烈な歓迎を受けることなど知るはずもなく――

次回は明日8/30にアップします!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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