明かされた真実
評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
「そうだ! 確かに言われてみれば、この子は言い伝え通りの姿だ……!」
「ではやはり、"大英雄レギナ"様の……!?」
その瞬間だった。
周囲の兵士が一斉に声を上げた。
"大英雄レギナ"――兵卒である彼らにとっても、ベルスタルージュ帝国の皇女であるアンネリーゼがそうであったように、あまりに偉大な存在なのだろう。
彼らの声色から、俺は一人残らず、興奮している様が見て取れたのだ。
「ふふっ! ではせっかくだから、ここからは我が話そうか!」
周囲の反応に気を良くしたのだろう。
黒翼の女の子、サタンは嬉々としてそう口にした。
てかその嬉しそうな顔……相変わらず可愛くて、本当にどぎまぎして気がやられるな……。
「ところで我が主よ? 魔王もさることながら、先ほどの吸血鬼のような悪しき闇の住人達にとって、最も恐るべき攻撃とはなんだと思う?」
そんな俺の心情など配慮することもなく、サタンは俺の顔を覗き込みながらそう言った。
そのため余計に俺はどきどきしてしまったが、なんとか外面だけは平静を保ちつつ、頭を働かせた。
「唐突な質問だな……。うーん……【神聖魔術師】系統のスキル持ちの、天から無数に降り注ぐ"神聖なる光"とかか? 逃げ場なんてないだろうし、おまけに闇の住人である奴らには効果抜群だ」
ちなみに【神聖魔術師】とは、【聖魔術師】系統の最上位に位置するスキルだ。
勿論、【聖魔術師】のスキルも、決して悪くはないスキルではある。
しかし、【神聖魔術師】のスキルにはどうしても見劣りしてしまうのだ。
まぁ……持っていたとしたら、間違いなくその国の教会で、"大司教"や"法王"クラスの職には就いているだろうがな……。
しかし、とにもかくにも、我ながら妥当な模範解答だ。
少なくとも、当たらずとも遠からずといったところだろう……。
そうして俺は自身の解答に満足していた――
「ぶっぶーっ!」
――のだが。
精一杯真面目な顔で応えた俺に、サタンは対照的なしたり顔でそう答えたのだ。
なんかすげぇ馬鹿にされてるみたいだからやめろそれ!
いや、めちゃくちゃ可愛いけどね!
違う、そうじゃなかった。
それはひとまず置いといてだ……。
しかし……しかしそれじゃ、一体……?
「じゃ……じゃあなんだよッ!? 奴らの弱点である【神聖魔術師】系統のスキルには違いないんだろッ!?」
若干、からかわれたように感じた俺は、かぁっと恥ずかしくなりながら声を荒げるが――
「いーや、全然?」
サタンに小首を傾げるような仕草で、あっけなく対応されたのだ。
「――ッ!」
いや、落ち着け俺……。
しかし本当に……本当に、全然違うと言われるほどに間違っているのだろうか……?
俺は仮にも、メルノイス魔術学院を首席で卒業するほど、魔術の知識には自信があるのに……。
やはり、俺をからかって遊んでいるのだろうか……?
そこまで色々と考えた俺だったが――
得意げな顔でサタンが口にした解答は、俺が予想だにもしない内容だったのだ。
「答えは――奴らにとって、まったく同属性の【闇魔術師】系統や【呪術師】系統のスキルだなっ!」
xxx
ばっ……!?
「馬鹿なことを!? 同属性の魔術は効果が半減、もしくは全く効かないのが常識だろう!?」
俺は即座に反論するが――
「だがっ!」
サタンはおかまいなしに目を瞑りながら、さらに予想外の理論を展開するのだ。
「だが、もしもだ! もしも――それが効いてしまったとすればどうなる? たとえば魔族が【呪術師】から呪いを受けてしまい、身体が著しく腐食して――次々と訳も分からず、ばたばたと倒れてしまったならば?」
「だから、そんなことッ! ありえるはず――ッ!?」
勿論、すぐに反論した俺だったが――
そこまで口にした俺は気付いて、固まってしまったのだ。
そんなこと、普通はありえるはずがない、ありえるはずがないのだ――。
――だが。
俺はこの目で既に、吸血鬼が腐食死するのを目の当たりにしてしまっている――ッ!
「そうだ、そうであるぞ我が主よっ! 主はつい先ほど、目の当たりにしてしまった! 確かに、そんなことありえるはずがない――それが真っ当な思考回路の持ち主!」
まるで俺の心を読んだように、サタンは次々と説明してゆく。
「――だが、だからこそ、ありえてしまった場合の心理的恐怖は想像を絶する! とてもではないが、計り知れるものではない!」
確かに……確かに、その通りだ……。
闇の住人である奴らが、あろうことか闇に蝕まれることになるのだから……ッ!
「【神聖魔術師】系統のスキルで打ち滅ぼされることなど比べ物にならないほどの、それこそ何倍も、いや、何兆倍も奴らには効果がある! 何故だ、そんな訳がないと、ただただあたふたすることしかできず、当然に原因も分からず! そして、目の前に繰り広げられる腐食者ばかりの地獄絵図! まったくもって、到底理解など及ぶはずもない大惨事! それこそが、奴らにとってこれ以上ないほどの恐怖と絶望を与える!」
そこまで説明を終えたサタンは、一呼吸置いた。
それから先ほどとは打って変わって真剣な表情で、ゆっくりとした口調で再度口を開いてゆく。
「――だからこそ、レギナは救国の大英雄となったのだ。悪しき者の畏怖の対象として、最強無敵の【凶禍の呪術師】としてな」
そしてこの後――
「――そして、我が主よ。薄々感づいているかもしれんが――」
サタンの口から出た言葉を、俺はにわかに信じることができなかったのだ。
「主は――ルミラ=アルカディアは、"大英雄レギナ"の生まれ変わりなのだよ」
続きは本日8/29中にアップします!
よろしければ、是非是非お待ちください!!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!