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凶禍の呪術師、本来のスキル能力を知る

評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

「だっ……"第一階級位"……"神魔サタン"……それに、"禍神(まがかみ)"……?」



 なっ……何を言っているんだこの女の子は……神魔だって……?

 

 そんなはずは……

 いや、でも……それなら、この圧倒的な魔力と、背中の黒翼をどう説明すればいいんだ……?

 もしかして……もしかして本当にこの女の子は……?

 

 そこまで俺が思考を巡らせていると――


「ふふっ! 混乱している顔もやはり可愛いなぁ、我が(あるじ)はっ!」


 女の子はぐいっと、無邪気な笑顔で俺に顔を近づけてきた。

 てか近い! なんかいい匂いしてるし! しかも近くで見てもやっぱり滅茶苦茶可愛いし!


 そんな風に俺はどぎまぎしていたのだが――


「ちょっと、先にいいかな?」


 もう一人の美少女、お姫様から突然声をかけられて、はっとしたのだ。

 どうやらゲルフと呼んでいた護衛騎士団長に応急処置を施して、兵士に任せてこちらに来たようだった。

 

「お姫様……?」


 何か――何かこれ以上俺に用があるのだろうか?

 俺が【凶禍の呪術師】と聴いて、すぐにでも逃げ出したいはずなのに――



 ――しかし、俺の予想は良い意味で裏切られた。



「まずは私達を助けてくれてありがとう。それで……初対面の貴方にこんなことを頼むのはずうずうしいかもなんだけどさ……私達を町まで護衛してくれない?」


 感謝の言葉……それを言うためにわざわざ危険を顧みず来てくれたのか……?

 それに――


「俺に護衛を……?」


「えぇ。応急処置は終わったけれど、ゲルフを早く医者に見せたいの。そしてこの辺りは魔物が多くて護衛しながらではしんどいのよ。勿論、助けてくれた分も含めて報酬ははずむわよ? 【凶禍の呪術師】に護衛してもらって、相場通りの報酬なんて罰あたりなことは絶対しないから安心して?」


 ……あぁ、そういうことか。

 

 お姫様の言葉を聴いて、俺は理解してしまった。

 お姫様は俺が神魔の女の子を召喚してしまうほどの実力者だと思っているのだと。

 たとえ彼女が神魔だとしても、俺が自らの意思で召喚したわけではないのに……。


 そして、お姫様はきっと知らないのだろう。

 【凶禍の呪術師】が周囲の人間を不幸にしてしまう呪われたスキルであるということを。

 だからこそ、俺に護衛などを頼むのだ。



 ――だとすれば、俺は申し出を断るしかない。



 いくら無一文とはいえだ。

 金目当てにこの子について行って、【凶禍の呪術師】のスキルで不幸にしてしまうわけにはいかない。

 おまけに――ろくにスキルの恩恵も得られていない俺が付き添っても、護衛能力は皆無なのだから。


 少し寂しいが……素直に、全てを話すしかない。 


「お姫様……。どうやら俺を買いかぶっているようだがはっきり言おう。俺は何もしていないし、凄かったのはこの女の子だ。俺を護衛につけても仕方ない。それに俺は【凶禍の呪術師】だ。ご存知だろうが、"周囲の人間に凶事を招き、禍となす呪われたスキル"だ。俺に近づかない方がいい」



 ――だが。

 俺を待っていたのは、あまりに予想外の反応だったのだ。




「………………………………は?」

「………………………………は?」



xxx



 えっ、何……?

 なんでお姫様も、黒翼の女の子も、そんなあっけにとられた顔してるの?

 いや正直、どっちもめちゃくちゃ可愛いけどさ……?

 そ……そんな変なことを、俺は言ったのだろうか……?

 


「ど……どうした?」


 

 俺は恐る恐るそう口にしたが――



 今度は俺が、これ以上ないほどに、あっけにとられることとなる。



「いや…………、【凶禍の呪術師】は、"()()()()()()()()()()凶事を招き、禍となしてしまう最上級クラスのスキル"なんだけど……?」



xxx



「………………………………は?」


「おぉ、呆けた顔までも可愛いなぁっ、我が(あるじ)は!」


 俺がそう同じリアクションで聴き返した途端――

 黒翼の女の子だけ、さっきまでの笑顔に戻った。

 てか顔近づけるの、ちょっとは自重して!

 色々と勘違いしちゃうから!


「貴方……もしかしてこの国の人間じゃないの? このベルスタルージュ帝国に古くから存在する言い伝え、"大英雄レギナ"の伝説を、もしかして知らないわけじゃないわよね……?」


 な……なるほど、ここは大国ベルスタルージュ帝国だったのか……


 しかし、"大英雄レギナ"とは誰だ……?

 それに、俺と何の関係があるんだ……?


「すまないが俺はその人物について知らない……。俺はロスタリフィーエ帝国の人間だからな。もっとも、"元"だけどな……。そして実は、スキル認定を受けたのは今日なんだ」


 俺は正直にそう伝えた。

 すると――お姫様は何が嬉しかったのだろうか。

 何故か突然に、ぱぁっと明るい笑顔を見せて、俺の手を取ってしまったのだ。

 

「そう……そうなのね! それならさ! 助けてくれたお礼に色々と教えるからさ、とりあえず私達についてきて! お父様も、お母様も……いいえ、この大国ベルスタルージュの全国民までもが貴方を大歓迎するはずだから!」


「我が(あるじ)よ、我も(あるじ)に【凶禍の呪術師】のスキルについて詳しい説明がしたいなっ! 金はこやつらが出してくれるというし、ついて行ってみてはどうだ? 心配せずとも何かされそうなら、我がついておるしなっ!」


 なっ……なんで俺が縁もゆかりもない、ベルスタルージュの人間に大歓迎されるんだ……?

 それに黒翼の女の子……結局君はなんなんだよ……!?



 俺は次々と湧き上がる疑問に対して、頭がとてもではないが追い付いてくれなかったが――




 ――この後、本当にお姫様の言う通りの展開になるなど、知る由もなかったのだ。

次回は明日8/27にアップします!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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