凶禍の呪術師、最高位神魔召喚に成功してしまう
評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
再度、場に女性の声が響き渡った。
だが――
今度はそれだけではなかったのだ。
「――ッ!?」
何の前触れもなく――
目の前に突然、暗めで紫色の大きな渦が出現したのだ。
「ど……どうなっているの……!?」
誰もがその超常現象に驚愕している中――
そこからずるりと、紫の渦とは相対的な白い肌の右脚から。
それから見事な黒翼が露わになって、ばっと広がり――
ついには、背中から翼を生やした、色白で美しい女の子が対面して現れたのだ。
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しかし――
「あ……あぁ……ッ!? な……なんて……なんて桁違いの魔力なの……ッ!?」
「もしや彼が……彼が召喚したというのかッ!? 先ほどまで、初級魔術しか扱っていなかった彼がッ!?」
姿形だけは人なれど、目の前の女の子が身に纏う圧倒的な魔力を、全員が肌で感じてしまう。
そのため俺を含めて、彼女とのあまりの格の違いに怯えきってしまっていた。
そうだ、思えば当然のことだったのだ。
正体不明の敵か味方かもわからない人物が、超常現象とともに現れたのだから――
「君は……俺の味方なのか……?」
俺はそうであってくれと強く願いながら、そう女の子に問いかける。
すると――女の子はにこりと屈託のない可愛い笑顔を俺にみせて、口を開いてゆくのだ。
「当たり前だ。我はどんなことがあろうが、これからはいつでも主の味方よ。【凶禍の呪術師】である主の、忠実な"禍神"としてな」
主……?
主とは、やはり俺のことなのか……?
いや俺以外に、ここに該当しそうな人物はいないのだが……。
それに……何故俺が【凶禍の呪術師】のスキル認定を受けたことを知っているんだ……?
そうして俺は、次々と浮かぶ疑問を解消しようとするが――
「きょ……ッ!? 【凶禍の呪術師】ですって!?!?」
「きょ……ッ!? 【凶禍の呪術師】だとッ!?!?」
目の前の吸血鬼、お姫様、兵士達の大声にびくっと身体を震わせてしまったのだ。
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なっ……!?
なんだっていうんだ一斉に大声をあげて……!?
一体……何がそこまで驚くことなのだろうか……?
あぁ……もしかして、こういうことか……?
【凶禍の呪術師】である俺のそばにいることで、恐ろしい禍が降りかかると、きっと嫌がられているんだろうな……。
しかし……不死の王、吸血鬼まで恐れるほどのスキルなのか……?
そこまで思考を巡らせて、落ち込んでしまう俺だったが――
「ひっ……だ、頼むッ! ぼ、ぼぐはぎみが……ッ、いえ、貴方様がね……ッ!? まざか畏れ多ぐも、【凶禍の呪術師】のスキル持ちでいらっじゃるなんで知らなかっだんです! だ……だからどうが、ねっ!? すぐに僕の呪いを解いてぐだじゃい、ねっ!? は、はやくじでもらわないど、ごのまま呪殺ざれぢゃうがら、あああああああああッ!?」
俺のスキルを知った吸血鬼が先ほどとは打って変わって、濁音交じりの言葉であまりに面白く狼狽しているので、どうしてもそちらに気がいってしまう。
一体本当に……本当に、どうしたというのだろうか……?
確かに俺は、死ぬ寸前に命と引き換えでもいいから吸血鬼を呪い殺させてくれとも願ったが――
「だそうだぞ、我が主? 一体、先ほどまでの態度はどうしたんだろうなぁ?」
今度は心底愉快そうにくつくつと笑いながら、渦から現れた女の子が口にした。
俺は彼女を含めた周囲の反応に理解が及ばず、ぽかんとしていたのだが――
「――しかしこの矮小な蝙蝠は、そこにいる人間を皆殺しにして、さらにはそこの皇女を眷属、奴隷にまですると息巻いておったぞ? それに主はくびり殺されかけたのだ。殺す覚悟の者がまさか、殺される覚悟はなかったなどと、わけのわからぬ戯言を吐く訳があるまい?」
「ぞ……ッ、ぞんなッ!? 嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だッ!! 死にだぐないッ、死にだぐないんです! お願いじまず、お願いじまず!!」
とにもかくにも――
女の子は俺の味方をしてくれて、協力してくれるということだけは理解できたのだ。
――だとするならば、俺の願いはただ一つだ。
「――吸血鬼は許せない。殺してくれ、お願いだ」
俺の願いを聴いた女の子は、にぃっと、またしても可愛く笑みを浮かべたのだ。
「承ったぞ、我が愛しき主よ」
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「あ……あぐ……ぁ……ぞんなぁ……いやだぁ……だじゅ……だじゅげ……ぐぅ……ぇ…………」
俺の言葉を女の子が聴いた途端に――
先ほどよりも比べ物にならないほどの速度で吸血鬼の腐食化がすすんだ。
そしてついに、全く言葉を発することもなくなって吸血鬼は倒れたのだった。
「す……凄すぎるわ……。まさかあの吸血鬼を……あろうことか完全に呪い殺すだなんて……」
お姫様が恐る恐るといった口調で、そう言葉にするが――
「さて、自己紹介がまだだったな我が主よ」
そんなことは全く気した様子もなく、目の前の女の子は愛想たっぷりで口にするのだった――
「――我は最高位である"第一階級位"の神魔"サタン"なり。【凶禍の呪術師】である主の忠実な僕であり、"禍神"でもある。今後ともよろしく頼むぞ、我が主よ」
次回は明日8/26にアップします!
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