魔物討伐遠征③
評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
「おはよう、ルミラ君」
翌日の朝――
ルミラが目覚めると、アンネリーゼは既に身支度を始めていて、上機嫌でさらさらと髪をとかしている最中だった。
対するルミラは寝ぼけ眼を擦りながら、「おはよう」と短く返すが――
そのすぐ後に、自身が感じた違和感を口にする。
「ちょっと聴きたいんだがいいか」
「何」
「なんか口の周りがべとべとするんだが」
――ぴたり。
アンネリーゼの手が止まった瞬間だった。
「気のせいでしょ」
極めてさらりと、アンネリーゼはそう言って、髪をとかす作業に戻るのだが――
「流石に騙されないぞ」
ルミラの追及は止むことはないと考えて、「バレちゃったか」と一言。
それから、あっさりと開き直り始めるのだ。
「昨日は、騙されてたみたいだけどね」
立場が逆転していれば、こんなに軽くは済まない事態だった。
もっとも、それはそれでいいかとすらアンネリーゼは考えていたのだが――
「するよりされるほうがどうこうって言ってなかったか」
「わかってないなぁ」
そんなアンネリーゼは、一つ短く溜息をついた後、ルミラに振り返って一言。
「これは別腹に決まってるでしょ」
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レイゼルフォード 大広場 噴水前
「ちょっとあんた」
「なんだ」
集合場所にまたもや早く訪れた、新人の二人。
ルミラはいつもの調子だったが、リーゼロッテは違った。
いつもより髪の手入れが丁寧だったし、いつもと違った香水をつけていたし、なによりも大きな可愛らしい花飾りを頭に着けていた。
それに化粧も、輪をかけて気合いが入っているようにルミラは思えたのだ。
(魔物討伐に行くんだがな……)
女の子ってのはいつもこうなんだろうなと、ルミラは学んだ気になったが――
「昨日、どの部屋に泊ってたのよ。どこにもいなかったんだけど」
実際のところ、まったく学べていなかったのだ。
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「何か用があったのか」
「当たり前でしょ」
はてと、ルミラは首を傾げる。
何か約束でもしたのだろうか、それとも新人で何か役割があったのだろうかとルミラは思考し始める。
「せっかく、中までお気に入りにしてきたのに」
まったくもって訳が分からない。
なんのお気に入りなのだろうか。
ルミラは再度首をひねって考えるが、まるで見当もつかなかった。
「悪かったな」
だからこそ、とりあえず謝罪するという安易な解決策に至った。
しかしその思考はリーゼロッテには筒抜けで、苛立ちをおさえられなくなる。
だが、やがて諦めたようにふっと息をついて口を開いた。
「で、なにしてたの」
「皇女殿下の護衛だ」
リーゼロッテの目が見開かれる。
「まさか、ずっと外で見張りをやってたの?」
「まぁ、そんなところだ」
正直に話すのはまずいと、ルミラはぼかしたのだ。
「大変じゃない」
心底心配して、ルミラを見上げるリーゼロッテ。
だが――
このすぐ後に、私の心配を返せと叫びたくなるのだ。
「何これ」
「どうした」
「この首の、赤い跡」
「虫にでも刺されたか」
不思議そうに、ルミラの首元を指すリーゼロッテ。
対して身に覚えのないルミラは、素直にそう考えたが――
「いや、これって」
こういった事柄に興味津々の、年頃の女の子であるリーゼロッテが、見過ごすはずはなかったのだ。
じーっと跡を観察して、やがてそれが虫さされではないことを確認すると、ルミラに非難の視線を向ける。
「嘘をついたわね」
(まさか……)
これには流石のルミラも、これがどういうものなのか気付いてしまったのだ。
「待て。本当に知らなかったし、不可抗力なんだ」
「強く長くしないと、こうはならないけど」
リーゼロッテは再度、じとりと非難の視線を向けた。
それからはっと何かに気づき、言葉を続ける。
「まさか、同室?」
「護衛のためだ」
「一緒に寝たんだ」
「護衛のためだ」
「もしかして」
そこまで追及していたリーゼロッテは、突然に軽蔑の視線を向けてルミラに確認する。
「それは本当にない。あと女の子がそんなこと考えるな」
再度何を意味するか気付いたルミラは、そうリーゼロッテに一言。
対するリーゼロッテは、それは流石になかったかと安堵した後、さらに言葉を続ける。
「あのさ。私の気持ち、わかる?」
「わかるわけないだろ」
これは本当にルミラの本心だった。
彼にそんなもの、期待するだけ無駄かとリーゼロッテは一旦諦めるが――
「目を閉じて、ちゃんと考えてみてよ」
それならばせめてと、まずはルミラに準備をさせたのだ。
素直に従うルミラに対し、リーゼロッテは一歩、二歩と近づいた後、つま先をあげて首に腕をまわして――
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「なぁ」
「何よ」
「頼むから自分を大切にしてくれ」
長い交わりの後、最初に口を開いたのはルミラだった。
やはりどうして女の子ってのはこうなんだ、しかもどうしてこうも負けず嫌いなんだとルミラは心の中で嘆いた。
「してるからこうなの。普通のは皇女殿下に取られちゃってるだろうし」
リーゼロッテの予想通りは的中していた。
そして当然に、リーゼロッテのいましがたの行為は、アンネリーゼが施した物のさらに上をいく行為でもあった。
「で、感想は?」
私は凄い方まで捧げたんだ、流石に意識くらいはしてもらわないと困る――
そう期待に胸を膨らませて、ルミラの返答を待つリーゼロッテだったが――
どうしようもなく無頓着な男のせいで、予想外に酷く頭を抱えてしまう結果となるのだ。
「八人目ともなると、罪悪感しかないな」
【お詫び】
作成していた分がスマホブラウザの更新で誤って消えてしまいました、、
今日9/18の投稿は難しいです、申し訳ない、、
次回から、戦闘パートに入り始めます!
人化した竜がルミラ達の前に現れて行手を阻みます!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
【作者の励み】【モチベーションアップ】になりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!




