表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/33

宮廷魔術師採用試験④

【評価】を……、【評価】を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

 そして一般受験組全員がそれぞれの定位置に着き、開始の合図を待った。

 それから全員が首から"精霊加護のペンダント"を下げているのを、現地の試験官達が確認して回り――

 


「始め!」


 ついに、戦いの火蓋は切って落とされたのだ。


「ハハハッ、悪いな! まずは分不相応な君を、一発で退場させてやる! "神聖なる剛槍(セイクリッドランス)"!」


「おぉ! いきなりメドルフが大技を繰り出したぞ!」


 まさに開始の合図後、すぐのことだった。

 メドルフは真っ先に詠唱を施し、天空に大きな剛槍を出現させたのだ。

 あまりの大技に、他の一般受験生は驚いて身動きが取れなくなり、観客も全員目を奪われていた。


 そして遠く離れたルミラに向かって、思い切り投げつけた。

 しかもその速度はぎゅんぎゅんと上がり続けて、ルミラを襲う――


「――来たれ、"煉獄の凶刃(パーガトリーブレイド)"」


 ――しかし。


 絶体絶命であるはずのルミラは、ほんの少しも動揺する素振りを見せなかった。

 その代わりに、静かに"武装創造(アームドクリエイト)"と呼ばれる詠唱を施して、漆黒に染まった剣を手にするのみだ。


(詠唱が遅すぎるッ! それに【呪術師】系統の"武装創造(アームドクリエイト)"などで防げるものか! 武装ごと砕け散れ!)



 ――だからこそ。

 この瞬間、メドルフだけではなく誰もが終わりだと思ったはずだ。



 もはや"神聖なる剛槍(セイクリッドランス)"を防ぐ方法などないと。

 避けるにしても、どうにも反応できる速度ではないと。

 【呪術師】系統の"武装創造(アームドクリエイト)"などで、防げる代物ではないと。



 ――だが。



 完全におしまいだと、誰もが思った、本当に一瞬のことだった。



 その場にいた誰一人として、何が起こったかなど理解できなかったのだ――




「――――――――――ッ!?!?!?」






 ――先ほどまで遠く離れていたはずのルミラが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()になど。






「隙だらけだぞ、【大聖魔術師】サマよ」



xxx



 ――ズバッ!



「がッ、があああああああああああああ!!!」



 誰もが何が起こったのか理解できずに、言葉を発せず驚いている中――

 ルミラの"煉獄の凶刃(パーガトリーブレイド)"で斬り付けられたメドルフの悲鳴だけが、会場にあがった。

 しかもメドルフの身体は青白い炎に包まれて火達磨状態になり、当の本人はあまりの苦しみにのたうち回っているのだ。


 そしてついには――



 メドルフの首に下げられた"精霊加護のペンダント"は――無常にもぴしっと音をたてて、砕け散ってしまったのだ。



「まずは【大聖魔術師(カモ)】一つ――」



xxx



「なっ……!? 馬鹿な、【大聖魔術師】のメドルフがやられた……ッ!? それも奴は、どうやって間合いを詰めた……ッ!?」



 周囲の受験生は、いまだ先ほどの光景について説明がつけられなかった。

 彼らが唯一できたことと言えば、情けないことに何が起こっているのか分からず、ただただルミラとメドルフを見比べて佇むのみだったのだ。


「どうした? 早く俺の"精霊加護のペンダント"を破壊したらどうだ?」


「――――――――ッ!?」


 だからこそ、ルミラの軽い挑発にすら、彼らは心底恐怖した。


 何故だ、そんなことあるはずがない、奴の"武装創造(アームドクリエイト)"の性質から考えるに、【呪術師】系統のスキル持ちのはずだ。


 しかしそうであるならば、【大聖魔術師】であるメドルフの身を包む"魔術障壁"すら、突破できるはずはないのにと、彼らは必死に思考を巡らせるが――


「まっ……まぐれだ! まぐれに決まっている! あろうことか【呪術師】風情が、粋がるな!!」


 ついには説明がつかず、思考停止に陥ってしまったのだ。


「まずはお前から退場させてやる! 目障りな【呪術師】が!」


 そして、集団で襲いかかれば奴を黙らせることができると、最も短絡的な行動にでるのだが――



 彼らはルミラとの()()()()()()()()にこそ、真っ先に気付くべきだったのだ。



xxx



「たっ……大変です、大変なんです! エーメリッヒ様!」



 一人の試験官が、これ以上ないほどに慌てて採用試験総監督のエーメリッヒの下に駆け寄った。

 その顔には、まるで化け物でも見たかのような驚愕の表情を浮かべてだ。 


「騒々しいぞ。一般受験組の選抜で何かあったのか?」


 それでも、歴戦の古豪であるエーメリッヒは少しも取り乱すことはなかった。

 自分はベルスタルージュ帝国にとって、大事な宮廷魔術師採用試験の総監督に任じられた身だ。

 立派に役目を果たしてこそ、大恩ある皇帝陛下に顔向けできるものだと、彼は立派な考えを持っていたからだ。


「そっ……それが……!」



 ――しかし。



 そんな彼も、部下の試験官からのあまりの衝撃的な発言を、静かに聴き流すことはできなかったのだ。




「一般受験組は、一人を残して全員脱落です……ッ! たった一人の……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、失格させました……ッ!」


次回は明日9/6までにはアップします!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ