宮廷魔術師採用試験③
【評価】を……、【評価】を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
ベルスタルージュ帝国 闘技場
それから一般受験組は全員、担当の試験官に促されて闘技場へと移動した。
「おぉっ! やっと来たぜ!」
「この日を楽しみにしてたんだ! いい試合を見せてくれよ!」
一般受験組が入場すると、観客席からわぁっと、天地に響くほどの大きな歓声があがった。
広い広い円形闘技場をぐるりと囲む形で、彼らは試験を今か今かと待ち望んでいるのだ。
観客席には、単純にハイレベルな試合を観戦したい者、他にも受験者の身内達、はたまた受験者の魔術学院から遠路はるばる送られてきた応援団など、出自は様々だが本当に大勢の人が駆けつけて、声援を送り続けたのだ。
「見ろよアイツ。あれがヴィルヴァニア王国公爵家の嫡男、メドルフ=ミュンゲンだぜ」
「あぁ、合格確実と言われている【大聖魔術師】のスキル持ちでしょ? ヴィルヴァニア王国の宮廷魔術師だけど、王国の国力を見せるために、わざわざこのベルスタルージュ帝国の宮廷魔術師採用試験を受けにきたみたいよ?」
「本来ならば、明らかに一般受験組に混ざるような実力じゃないよな……」
しかしそんな中、衆目を集めたのはやはりメドルフだった。
ヴィルヴァニア王国の宮廷魔術師である彼の名は、隣国のベルスタルージュ帝国にも広まっていたのだ。
だからこそ、受験者の身内や応援団は内心で、「アイツとだけは対峙するな!」だの、「さっさと他の受験者から、5つペンダントを破壊してしまえ!」だのと強く願っていたのだ。
それに対して――
「それにひきかえ……あのいかにもな黒のローブの奴はなんだ?」
「弱点のない【聖魔術師】系統のスキル持ちで溢れていることくらいわかるだろうに……よりによって相性最悪の【呪術師】か【闇魔術師】系統のスキル持ちだろ? 試験を舐めてるのか、それともただの馬鹿なのか」
「どうせ記念受験だろ? しらけるよな、こっちは面白い試合を見に来てんのによ。ま、恥かいてさっさと退場するのがオチだろうがな」
黒のローブを深くかぶったルミラに対する、観客の視線は酷く対照的だった。
挙句の果てには、「時間の無駄だ!」、「記念受験なら帰れ!」だのと野次まで上がる始末だったが――
「久しいな、この感覚は――」
そんな非難の象徴であるルミラはさして気にすることもなく、ぽそりとそう呟いたのだ。
もしも――、もしもだ。
彼が普通のメンタルの持ち主ならば、委縮しきってしまったのだろう。
本当に記念受験のつもりだったのだとすれば、酷く後悔していたのだろう。
あるいはここでさっさと棄権して、尻尾を巻いて逃げかえっていたのだろう。
――だが。
この後、ルミラを馬鹿にしていた観客席の彼らは本当の強者を知ることになる。
次回は本日9/5の午後中にアップします!
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