ルミラ=アルカディア伝説の幕明け
評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
――ザワザワッ!
「ル……ルミラ君ッ!?」
静かだった宴会会場が、突然にざわめき始める。
俺が発した一言は、町の人達にとってあまりに衝撃的だったのだろう。
アンネリーゼを含めて、誰一人として驚いていない人などいなかった。
「皆さん、落ち着いてください。理由をお話します」
そうだ、ルミラ=アルカディア。
お前はそれでも、可能な限り落ち着いて、伝えなければならないんだ。
「実のところ、俺は今日、ロスタリフィーエ帝国のメルノイス魔術学院を卒業して、【凶禍の呪術師】のスキル認定を受けたばかりです。そして俺は現在、俺の実家――アルカディア家を追放された身分です」
今までの、"ルミラ=アルカディア"と決別するために――
「アルカディア家は代々教会に司教を輩出する、名門司教家です。だからこそ、【呪術師】系統のスキル認定を受けた俺は許されなかった。そのため、父に勘当され、周囲の人々にも見放されて、行くあてもなくふらふらとこの国に辿り着きました」
"大英雄レギナ"の生まれ変わりではなく、一人の男として再度立ち上がるために――
「皆さんが歓迎してくれている理由は、俺が"大英雄レギナ"の生まれ変わりであるからだと思います。俺自身も、隣の神魔サタンが召喚されてくれたことを含め、畏れ多くも"大英雄レギナ"の生まれ変わりだということを認めています」
そして、何よりも――
「しかし実際のところ、俺にはなんの力もない。先刻の吸血鬼を腐食死させてくれたのも隣のサタンです。俺は吸血鬼に対して初級魔術を打ち続けて、当然に効果があるはずもなく、情けないことにくびり殺される寸前だっただけです」
どんな人物に認められるより、他でもない俺自身が――
「ですから、残念ですが皆さんの歓迎会に俺は参加できません。何もしていない俺が歓迎されるべき理由はないからです」
"ルミラ=アルカディア"を認めてやるためにもだ。
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「――――ッ!」
そこまで俺が言いきる頃には――
歓迎会会場は大勢の、ずびずびと情けない涙声で響き渡っていた。
もしかしたら、俺自身も泣いているのかもしれない。
この町の人達の温かさに触れて、感極まっているのかもしれない。
――だが、俺はもう迷うことはない。
ずっと感じていた違和感、居心地の悪さ。
それは俺自身が無力であるにもかかわらず――
賞賛されるべきでないにもかからわず――
就くべきではない座についてしまっている現状のせいだと、今は理解しているからだ。
「しかし【凶禍の呪術師】として、自分の力で皆さんのお役に立つことができたときには、喜んで歓迎を受けようと思います。――それまで待っていてくれますか?」
意外なことに、そこまですらすらと俺は言葉に詰まることなく言い切ることができた。
同時に、なんとも曇天から差し込み始めた日の光のように、ぱあっと俺の心が晴れてゆくのを感じた。
「それならば……我もここで歓迎を受けるわけにはいかんな」
「サタン……?」
突然立ち上がったサタンは、今まで見せたことのないニヒルな笑顔を見せた。
それから真剣な表情で、すっと俺を見つめてから口を開いたのだ。
「我が主、ルミラ=アルカディアよ。やはりお前は、まごうことなき我が生涯の主よ」
そして――
「ここから始まるのだ。主の、"ルミラ=アルカディア"の本当の第一歩はな――」
舞台は三年後、帝都で開催される宮廷魔術師試験まで進むことになる――
次回はおそらく本日9/4の夜にアップ出来るかと思います!
第二章からルミラの快進撃、宮廷魔術師試験が始まります!
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