ルミラ=アルカディアとしての自立
評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
それから俺は、あれよあれよと町の人々に連れられた。
そして、十分ほど歩いたところだろうか。
「ず……随分と大きな聖堂ですね……」
「えぇ。この立派な聖堂は"大英雄レギナ"様の寄付により建てられたものです。中には食堂もあるんですよ」
そう誇らしげにコルネリウスさんは語ってくれた。
町の中心部に位置する大聖堂へと促された俺とサタンは、恐る恐る中に入ると――
「――ッ!?」
「おぉっ、なかなかなもんだな我が主よ!」
隣接した食堂まで案内された俺は、目の前の光景に驚いてしまった。
「す……すごい……!」
ずらりと見渡す限りに並ぶ、豪華な食事。
町の人達がせっせと準備を手伝い、がやがやと賑わっていた。
ざっと百人ほどだろうか……?
町の人達は俺を見ると、「おぉ!」と驚いた後、拍手喝采で俺を迎えてくれたのだ。
「ルミラ様がいらしたと聴いて、既に町の住人総出で宴会の準備をさせておりました。喜んでいただけますか?」
「もっ……勿論ですよ! しかし、俺なんかがこんな歓迎を受けていいものか……」
俺は更に居心地が悪くなってしまい、そう不安げに口にしたが――
「我が主よ、いいに決まっておろう? ささっ、主賓は当然ど真ん中だなっ!」
隣のサタンはまったく遠慮せず、俺の腕を引いて主賓席へ連れて行く。
いやしかし……それもそうか……。
サタンはこの町の人達に、"大英雄レギナ"と共に、十分に尽くしてきたのだから――
しかし俺は――
「ようこそルミラ様!」
「エヴァリーデの来訪、恐れ入りますルミラ様!」
そこまで俺が考えていると、精一杯の笑顔で町の人達が次々と話しかけてくれた。
俺はぎこちない笑顔で、「いえいえ……」とあいまいな返事をして、その場をなんとか切り抜けていたのだが――
「では準備も完了したようですし、ルミラ様から一言お言葉を頂戴したいと思います」
「えぇっ!?」
気づけば宴会の準備も終わり、町の人達も皆着席していた。
そして町長のコルネリウスさんから紹介を受けた俺は、突然の依頼に対してあたふたとしていたのだが――
「だとよ我が主っ! 心配せずとも、大丈夫だぞ!」
この後のサタンの発言で、自分が伝えるべきことを正直に話そうと決心したのだ。
――ここには、主の味方しかおらんからな!
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そうだ……ここには俺の味方しかいないんだ……。
確かにこの町の人達は、よそ者の俺でも心の底から大歓迎してくれている……。
――だが。
それもこれも、俺が"大英雄レギナ"の生まれ変わりだからだ。
そう思った俺は、心の中で「よし!」と腹をくくったのだ。
「エヴァリーデの住民の皆さん。はじめまして、ルミラ=アルカディアと申します」
顔を上げて、俺は一気に言い切った。
我ながらなかなかに凛として、言葉にできたと思う。
「今日はこんな俺を温かく歓迎してくださり、そしてここまで大きな宴会を開いていただき、本当に感謝しています」
さぁ、ここからだ。
「――ですが」
今の俺の気持ちを、素直に吐き出すんだ。
そうでなければ、"ルミラ=アルカディア"は始まらないのだ――
「俺は皆さんに祝福されるような、立派な存在ではないんです」
次回で第一章終了です!
第二章からルミラの快進撃、宮廷魔術師試験が始まります!
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