表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また明日も、この場所で  作者: 秋本そら
日常――県立濱風高等学校
6/18

帰り道

 あっという間に時間は過ぎていき、授業が終わった。

「またねー、むかいちゃん! 明日、忘れないでよーっ」

「もちろんだよ、たんたん! 部活、頑張ってね」

 部活動加入率が九割五分を超える濱風高校。もちろん、一年三組の皆もほとんどの子が部活をやっている。

 ただし、私は少数派。残りの五分のうちの一人。つまり、帰宅部だ。

 というわけで、クラスの皆とはすぐ別れることになる。

 一人で学校を出てバス停に向かい、数分スマホをいじりながら待つ。そのうちやってきたバスに乗り込み、揺られること約十分で、学校最寄駅に着く。駅ビル二階にある改札に着いたら、定期をタッチ。そのまま上り線ホームに繋がる階段を駆け上がれば、目的地に到着だ。

「次の電車は……七分後か。あー、喉渇いた」

 盛大な独り言を呟きながら、近くの自販機でオレンジジュースを買う。

「――ぷはっ。なんか全身に染み渡る感じがするなぁ」

 一気に半分ほど飲み干してから、夜見月駅の出口に近い乗車口に立ち、またしてもスマホをいじり始めた。

 ……楽しくないわけじゃ、ないんだけど。

 ふと、スマホを操作していた親指の動きが止まる。

 ……楽しくないわけじゃないんだけど、やっぱり一人って……独りって寂しいよな。

 そんなことを、考えてしまう。

 友達に囲まれる学校。えみちゃんと言葉を交わす朝の駅。一人じゃないときの方が、絶対に楽しい。

 ――夜見月駅で、偶然えみちゃんに会えたりしないかな。

 そんなことを考えながら、やってきた電車にぼんやりと乗り込む。

 淡い期待を抱きながら、電車に揺られること約十分。

『次は、夜見月駅、夜見月駅。お出口は、左側です』

 開いた扉から外に出て、人混みの中にあの子がいないか探してみる。

 ……今日も、いない。

 一つため息をついて、階段を降りると、東口の改札から駅構外へ。

「……帰ろう」

 家に着いたら、何をしよう。そんなことを考えながら、家路を辿った。

 春から続けてきたことを、今日もまた、繰り返すだけ。

 平穏なのはありがたいけれど、少しつまらないような、そんな気もする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オレンジジュースの飲みっぷりがいいですね! とっても美味しそうで、飲みたくなります♪ [気になる点] むかいちゃんが帰宅部なのは、何か理由があるのかしら? 今後のストーリーで理由が分かるの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ