コント 魔王と勇者
場所:魔王城
ボケ:魔王 ツッコミ:勇者
勇者「ついに、ついに魔王城までたどり着いたぞ。長かった俺の戦いもようやく今日で終わる」
勇者は剣を構えると、魔王のいる玉座の間の扉を思いっきり蹴破った。
勇者「魔王、覚悟しろ、お前の圧政もここまでだ」
魔王「ちょっと、子供が寝てる途中でしょうが!」
その中にいたのは、眠っている赤ちゃんを抱える、ぼさぼさ髪によれよれのジャージを着た女悪魔の姿だった。
勇者「あ、すいません」
反射的に扉を閉めかける勇者
勇者「て、ちょっと待てえ!」
魔王「ちょっと!子供が起きちゃうでしょ!」
勇者「あ、すいません・・・・・じゃなくて」
魔王「何よ」
勇者「状況!状況分かってる」
魔王「わかってるわよ、あんた勇者でしょ、私を殺しに来たんでしょ」
勇者「お、おお、ちゃんとわかってくれてるみたいだが、なんだろう、殺しにきたやつつに殺しに来たんでしょって言われると、なんか複雑な気分になる」
魔王「さっきおっぱいあげて寝かしつけたばかりだから、眠りが浅いのよ。もう少し待ってちょうだい」
勇者「お、おう、まあ急ぎの用でもないことはないが、それくらいなら・・・・・というか魔王なら赤ちゃん専属のシッターとかいないのか」
魔王「んなもんいないわよ、最近じゃみんなお金にならないストレスもたまるシッターよりも楽にお金が稼げるYouTuberにご執心なんだから。おかげで保育所に預けることすらできないわよ」
勇者「うわあ、俺たちの国と一緒、てか俺たちの国よりひどいんじゃね」
魔王「まあ、ずっと家族経営のワンマン経営だったからね、人と関わらずに稼げるんだったらみんなそっちの方がいいんでしょ」
勇者「それは、まあ、ご愁傷様です・・・・・・・・・・じゃなくて、俺はお前を倒しに来たんだ、いい加減俺の相手をしてもらうぞ」
魔王「もう、わかったわよ。じゃあベビーちゃんを寝かせて戦闘の準備してくるから待ってて」
勇者「早くしろよ」
魔王は赤ちゃんを連れて玉座の間を出て行った
勇者「なんで、俺が敵の準備を待たなくちゃいけねえんだよ・・・・・・・・てか、なんか布の擦れる音が聞こえるんだけど」
魔王「準備できたわよ」
そう言ってはいってきた魔王が着ていたのは、さっきのよれよれのジャージではなく、スケスケのお色気衣装であった
勇者「な、なんて格好してるんだ、いまから戦闘するんだぞ」
魔王「そうよ、だから、戦闘服着てきたでしょ」
勇者「何の戦闘だ!俺たちは今から命がけの戦いをするんだぞ」
魔王「女は戦場でもベッドでも命がけよ」
勇者「そういう意味じゃねえ」
魔王「なによ、バツイチ子持ちの女には興味ないってこと、あなただってたくましい剣を今も会私の前に掲げているじゃない」
勇者「何言ってんだお前はああ」
勇者は叫びながら手に持った剣を床に投げ捨てた
魔王「何よ、命が惜しければ俺のものになって、俺のものに誠心誠意ご奉仕しろってことじゃないの」
勇者「ちがうわ、俺はお前と戦いに来たんだ、ベッドの上じゃなくてせ・ん・じょ・う・で」
魔王「無理よ、私そんな強い悪魔じゃないんだから」
勇者「はあ~、だってお前魔王だろ、一番強いんじゃないのか」
魔王「違うわよ、強かったのは私の別れた旦那、あの人が外に女つくって出て行ったから、代わりに私が魔王やってるの」
勇者「なんじゃそりゃ」
魔王「もう、何なのよあの人は、お前とお前のお腹にいる子供のためにこの世界の王になっていい世界にしてやる、だから俺と結婚してくれ、って言ったくせに」
勇者「それで王になったいいが、いい世界にする前に外に女をつくって出て言ったよ」
魔王「そうよ」
勇者「うん、あの、その・・・・なんかすいません・・・・・・今日はもう帰ります」
そう言うと勇者は地面に投げつけた剣を拾い玉座の間から出ようと魔王に背中を向けた
魔王「まったく、あの辰五郎は、本当、今頃何してるんだか」
勇者「ん、たつごろう、今、辰五郎って言いました」
魔王の声に勇者は勢いよく振り返った
魔王「ええ、言ったわよ。」
勇者「たつごろう、って悪魔の中ではそういう名前を自分の赤ちゃんに付けるのが流行ってるんですか」
魔王「そんなわけないじゃない、そんなみょうちくりんな名前。」
勇者「そ、そうですよね」
魔王「そうよ、それに辰五郎は人間よ、私の元旦那で、あの子の父親」
勇者「そ、そうですか」
そういうと、勇者は黙って膝をおり、頭と手を地面に付けた。俗にいう土・下・座・をした
勇者「うちのバカが本当に申し訳ございませんでしたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」