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ドリーという日本人

これはフィクションです。

というか夢です。



この田舎に1人の青年が引っ越してきた。

都会からやってきたんだってさ。IT系の会社をこんな田舎で立ち上げようとしているイケメンだ。そんなどうでもいい情報を手に入れたドリーは今日もパチ屋に向かった。


ドリーはニックネーム。

日本人だ。

ハーフとかでもない。

田舎の雑貨屋の1人息子。ボンクラ息子だ。仕事もせず、家の店の手伝いもせず、今日もスロットコーナーの端の方でコインをジャラジャラさせる。


退屈な毎日。

面白くない毎日。

スロットで負ける毎日。

良いことは最近なく、ついていない毎日。


財布の中身がすっからかんのドリー。

今日も惨敗して雑貨屋の家に帰宅する。

家の前に誰かいる。

あれは、ドリーの意中の女性と例のイケメンが家の前で談笑している。

なんでも、イケメン野郎が田舎クサイ商品を物色していた所に彼女が声をかけたみたいだ。

理由は珍しいお客さんだったから。イケメンだったから。

面白くない情報を手に入れてしまった。


彼女がドリーに気付いて挨拶してくる。知り合いだから。仲良いから。

それにつられて、イケメンも挨拶してくる。物珍しそうに観察してくる。

ドリーは居心地悪く面白くないので、テキトーに挨拶して店の奥に退散した。


最近、金髪に髪を染めた彼女。イメチェンしたらしく、そのハーフ顔によく似合っている。

よくお店にくる地元の常連客みたいなもの。

ドリーが母親以外の女性と話す唯一の人物。

だから、尚更今日という日は最悪だ。

あんなイケメンと楽しそうに談笑している所を見てしまった。

今までにない笑顔だった。


夜。

モヤモヤする中、寝床に着こうとしたドリー。

自室の窓がコツンと音を立てる。

あ、、、、と思った。

慌ててドリーは起き上がり窓を開けた。

雑貨屋の2階の窓より下を覗けば、彼女が1人ポツンと立っていた。

石で「来たよ」という合図だ。

たまにこういうやり取りをするからドリーも彼女のことを好きになってしまった。

なんだろう、このシチュエーション。ロミオとジュリエットではありえまいし。

ただこんな夜更けに会いにきてくれた。それだけで純粋に嬉しかった。

今日は何話そうか、、、、なんて、考えていると彼女はこう言った。

「あんた、このままでいいの?」

何が?と聞けなかった。

自分自身でその意味を知っていたから。

ドリーは何も言い返せれなくなった。

彼女も暗い顔をして、だんまりを決め込んだ。

ドリーからの返事を待っているとも取れる。


結局、ドリーは「ごめん」としか返事できなかった。

彼女は「そう。わかった」と言って帰ってしまった。


翌日、ドリーはまたパチ屋に直行した。

そして、今日は何だかツイているらしい。運がドリーの味方をしてくれた。

ここんとこ運に見離されていたドリーにビックウェーブの予感。

大当たりが連発して、久しぶりに勝った。

野口さん1人が、諭吉さんを6人になって帰ってきた瞬間だった。

財布の中身が暖かい。

ドリーは景品でお菓子をいくつか交換した。

それを持って家に帰宅する。

彼女が店にいたら、何か好きなものをあげようと考えた。


帰宅すると家の前で談笑する例の2人。ドリーの意中の彼女と、あのイケメンがいた。

ドリーの存在に気づいた彼女は挨拶してくる。そして、こう告げた。

「あ、私たち付き合うことになったから」

ドリーは耳を疑った。

しかし、納得もした。

理由はドリーが1番知っている。


目の前が真っ暗になった。

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