6/50
「Boy with me "学園"」
少年は一際、執着心が強く
何かとつけて、己の欲を満たそうとした
ある日、ついに彼は「学園へ行きたい。」と言い出した
採択者は討論の末、少年の元へ私を派遣することを決議した
彼の行きたがっていた"学園"は
"学園"ではあっても、学園ではなかった
少年はそのことを、理解していなかった
私の瞳には
かつて大学に行きたがり
そこに大学なんてものを、"大学"へ行こうとし
またある日は遊園に行きたがり
もはや遊園は消えてしまったのに、"遊園"へ行こうとしていた
かつての私の姿が少年と重なって映ってしまっていた
しかし、私は少年を止めることは出来ない
採択者たちが止めることを許さないからだ
いずれ、少年は私とともに"学園"へ向かうこととなるだろう
そこに学園という名の楽園なんて存在しないことも知らずに
くわえて少年は知ることとなるだろう
ないものはないということを