Theハーレム(ただし女の子は両手と化している)
久々の……更新!
―――ガチャ……
俺は静かに家の玄関を開けた。
―――ドドドドド!!!!
「お兄ちゃんお帰り!」
「お兄ちゃん朝帰り!」
「兄ちゃんお土産!!」
獲物の匂いを嗅ぎ付けたハイエナの如く3人の妹達が我先にと足下に置いた手荷物を漁っていく。
「た、ただいま……マジ疲れた」
―――ダダダダダ!!
「兄ちゃんお土産ありがと!」
「お兄ちゃんありがとう!」
嵐の如くお目当てのお土産を手にした妹達が部屋へと去って行く……。
「…………」
「ん? どうしたメグミ?」
一番上の中学生の妹が俺の方をマジマジと見ている。
「……女の子の匂いがする」
―――!!
―――!?
―――…………
後ろ手に隠した二人から緊張が伝わるのを感じる。
「さてはお兄ちゃん……!」
「な、なんだ!?」
「どっちかと良い感じになったんでしょ……?」
「……マセガキめ」
「ねぇ、お兄ちゃんはレナさんとトモエさん、どっちが好きなの?」
「べ、別にどっちでも関係無いだろ……」
「ふぅん……『どっちでも』って事はどっちかは好きなのね。なら安心した」
妹はタタタとスリッパを鳴らしながら廊下を去って行く。
「お土産、ありがとね♪」
メグミはクッキーの缶を鳴らしながら一度だけ振り向いた。
「…………とりあえず部屋行くか」
俺は玄関を開け、表に置いておいた二人の荷物を持って自分の部屋へと逃げる様に駆け込んだ。
―――カチン
そして部屋の鍵を閉め、ようやく訪れた開放感に脱力した…………。
「さて、これからどうする?」
俺の問い掛けに二人は顔を見合わせた。
「親に電話して友達の家に泊まってる事にするよ」
「私は正直に話そうかな……」
トモエの発言に俺は心底驚いた。真面目なトモエの両親には連日に及ぶ泊まりがけは通用しない。確かに素直に話した方が良さげかもしれないが…………。
「そうね、トモエがそうするなら私もそうしようかな?」
「お、おい! レナ!?」
腕を組みプイッとそっぽを向いたレナ。何を起こっているのか知らないがこれから始まる二人の親への説得を考えると……俺は頭が痛くなりそうだった…………。
―――ドドドドド!!
「ふぁ!?」
「マズい! 奴等がまた来たぞ!!」
―――ドン!!
―――ドン!!
「兄ちゃんお土産おかわり!」
「お兄ちゃんもっと頂戴!!」
―――ガチャ!
オンボロ我が家の鍵を物理魔法で強引にこじ開ける妹達。なだれ込むように俺の部屋に二人の妹達が押し寄せてきた!!
―――サッ
俺は咄嗟に手を後ろに隠す。
「……兄ちゃん何か隠した」
「お兄ちゃん何か隠したね」
同時に左右から回り込む妹達。こういう時のチームワークの良さは何なんだ……。流石の俺も悪魔の妹達から逃れられず、ついには二人が妹達の目に見付かってしまった!
「可愛いお人形!」
「お兄ちゃん……変態」
「何してるの? お土産ならもう貰ったでしょ?」
一番上のメグミが後から俺の部屋へ……。そして引っ張られるレナとトモエを見て…………ニヤニヤと笑った。
「え、あらぁ……お兄ちゃん上手いことやりやがったのね。あ! 挨拶が遅れました、久し振りでございます。ふつつかな兄がお世話になっております」
深々とお辞儀をしたメグミ。何故本物だって分かったのか……妹とは恐ろしい生き物だ。
「ほら二人とも行くわよ。お兄ちゃんは忙しいのよ?」
妹二人を連れて部屋を出て行くメグミ。
「あ、お母さんとお父さんには黙っておくね♪」
スリッパを鳴らしながら一度だけ振り向いたメグミの顔は実に悪魔的であった……。