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あの空の向こうへ

作者: 朔

初投稿です。

つまらなかったらすみません(汗)

頑張って書きました。

よろしくお願いします。

ばーか。お前はいつも一人で抱え込み過ぎなんだよ。

だから疲れてぶっ倒れるんじゃねーか。もっと周りを頼ってもいいんじゃねーの?

何処かから、懐かしいアイツの声が聞こえた気がした。



気づいたら白い天井。眩しすぎる電灯が、目にしみた。

「ここは  何処?」

ふと視線を横に向けると、アイツがいた。

「おそよう。」

いつもみたいにふてぶてしい顔。あぁ。やっぱりアイツか。と思った途端に、現実に引き戻されたような気分になる。

驚いて起き上がろうとするけれど、体が全然動かない。

「なんで? なんでいるのよ。 せっかく、やっと忘れられたと思ってたのに。」

アイツは月の光を受けて、静かに輝いている。

私が泣きそうな顔をしたからだろうか。アイツは不満そうな顔をして、口をひらいた。

「なんだよ。せっかく心配してきてやったのに。お前のせいで俺、怒られんだぞ。勝手なことするなーって。怖いんだからな。まったく。いつまで俺はおまえの心配してなきゃいけないのかねー。」

昔と変わらないふざけたような言い方。でも、その中に優しさが隠れていることを私は知っている。そう。知ってるんだよ。アンタが優しいこと。だからずっと忘れられないんだよ。ずっと隣で見てたんだから。幼馴染なんだから。

「なによ。アンタこそ、いつまでここに居る気なの?さっさと逝きなさいよ。アンタのいくべき場所に。私をいつまでも縛り付けたままにしないで。もう大丈夫なんだから。」

「なんだよその言い草は。まぁいいや。これが最後の会話だから、俺、今まで言えなかった素直な気持ち、お前に言ってみることにするよ。」

「ぷっ。何その宣言。どうしたの急に。」

「俺、ずっとお前が好きだった。まぁ、もう言ったって意味ねーんだけどな。でも、これはホントの気持ちだから。」

そんなの。私だって。ずっと。

でも、もう言ったって意味がないっていうその言葉が、私の心に深く深く沈んでいく。

素直に、なれない。 最後なのに。これで。もうコイツとは、話せないのに。

「あははははは。ほんとよ。いまさら言ったって、意味ないのに。  なんで。 言うのよ。 ほんとにもう。あんたっていつもそうよね。せっかく私が忘れよう、忘れなきゃって努力してるのに。 なんで。」

それからは、もう涙が止まらなかった。コイツの前でこんなに泣いたのはいつぶりだろうなんて、少し冷静な自分が考えていた。

アイツは何も言わず、私を抱きしめてくれた。 

泣いて泣いて、気づいたら朝だった。あいつはもういなかった。

きっと、最後の最後の、アイツなりの別れの挨拶だったんだろう。今まで隠してきた気持ちを言って、勝手にサヨナラしたんだろう。アイツらしいと思ってしまう自分は、きっとずっとアイツを忘れることは、できないらしい。と思った。

過労で倒れた私は、それから1週間後に退院した。

私は、退院してすぐに、あいつのもとに来ていた。

あいつの好きだった花を飾って、手を合わせる。

「ありがとう。会いに来てくれて。」

「それから、私もずっと好きだったよ。さようなら。」

私の横を静かに風が駆け抜けていった。

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