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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

食人列島 (完全版)

作者: ジョゼフ・ワトキンス

前回にも投稿させていただきましたが誤字、脱字などが多かったので、改めて訂正したうえでの再投稿となります。よろしくお願いします。

北太平洋上空を飛行する一機の小型飛行機。

中に乗っていたのはイギリスの探検隊であった。


世界中で話題となっている世界各地の絶景を探検するために自前の小型機で探検に行っていた。


探検隊のメンバー(以降はファーストネームのみ表示)は、


細身体型のハワード・ノリントン(23歳)

大柄体型のジェフリー・フレミング(23歳)

大食漢のゲイリー・ガーフィールド(25歳)

心配性のジェームズ・バーンズ(22歳)

お調子者のアラン・ダウニング(24歳)

操縦士のルパート・ラドクリフ(26歳)


6名で全員男性である。


彼らは話題となっているハワイの絶景の探検を終え、今度は中国のとある山岳地帯の絶景の探検のために中国へ向かっている最中であった。


ルパートは小型機を操縦し、他のメンバーは機内で寛いでいた。


アラン:「そういえば、丁度この近くに人喰い民族の国があるらしいぜ?どんな国なんだろうなぁ?(笑)」


ジェームズ:「やめてくれよ…! そんなところへ行きたくねぇよ…!」


アランの冗談に怖がるジェームズに思わず笑う一同。


ジェフリーが窓から外を見て天気が悪化していることに気づく。


ジェフリー:「おいおい…。さっきまであんなに晴れていたのに急に曇り始めたぞ…。どうしたんだろう…?」


曇ったと思いきや、今度は雨が激しく降りだした。


ゲイリー:「急に雨が降ってきたぞ…。もしかしたら何か不吉なことでもあるのかよ…。」


これ以上天気が悪くならないようにとメンバーが祈っていた。


しかし天気はよくなるどころか逆に荒れはじめる…!


嵐が発生し機体が大きく揺れはじめる…!


ルパート:「皆…! しっかりと掴まるんだ…!」


小型機は激しい嵐に耐えきれず制御不能になる…!


一同:「うわあああっ!」


ヒューーーーッ、 バァーーーーーーーン!!!




数時間後…。


ハワードが目を覚ます。


ハワード:「ここは、 どこだ…?」

どうやら小型機はとある浜辺に墜落したようだ。


ジェフリー:「おーい! 大丈夫か…!?」

ルパート:「皆! 聞こえるかー!!」


仲間の声が聞こえた。全員無事である。


ハワード:「もし人がいれば…。」


メンバーは出来る限り使えそうな荷物を持ってすぐ近くの森林に向けて歩く。


ゲイリー:「待って! あれは…?」

しばらく森林の中を歩いているとゲイリーがあるものを発見する。


メンバーが発見した物に近づくと酷く汚れて破けている一枚の布であった。ハワードが布の正体に気づく。


ハワード:「スペインの国旗だ…。だがなぜここに…?」

ジェームズ:「あれ…? これは…?」


ジェームズが見つけたのは、日記と思われる書物であった。

書物の中身を開け文字を見て気づいた。


ジェームズ:「あれ…? これ英語じゃないぞ…? 何語なんだろう…?」


文字はほとんどが殴り書きであった。


ルパート:「ジェームズ、貸してみてくれ。」


ルパートは世界各地の多くの言語を翻訳できる能力を活かし、文章の一部を翻訳した。


日記に書かれていた文字はスペイン語であった。


ルパート:「どういうことなんだこれは…?」


以下がルパートが翻訳した日記の文章の一部である。


「もうおしまいだ。仲間が全員奴らに食われてしまった。あいつらは人肉を主食とする恐ろしい奴らだ。見つけたら見失うまで追ってくる。しかも奴らの文化や風習も驚くほど身の毛がよだった。まるで同じ地球上とは思えない。俺はこんなところで死んでしまうのだろうか? 神様、どうかこの俺を助けて下さい…。」


ルパートは不可思議な文章に思わず頭を傾げる。


アラン:「おい! あそこにも何かがあるぞ…!」


アランが見つけたものに近寄ってみた。メンバーはその正体に思わず目を疑った。


それは所々にたくさん散らばっている無数の"人骨"であった…。


"奴ら"に襲われた被害者たちの骨なのだろうか…?


ハワードは念のためにと発見した物を写真に納めた。


気がつくと日が暮れていた。

メンバーは仕方なくここでテントを張り、一晩を過ごすことに。




翌朝、無事に朝を迎え再び荷物をまとめ森林を歩き始める。


しばらく歩いていると、1人の人物が森の奥で立っているのが見えた。


相手はアジア系の男性であった。


その人物もメンバーの存在に気づいている様子でしばらくこちら見ていた。


ジェフリー:「人だ!」

ジェームズ:「良かった!」

ルパート:「助けてください!俺たちは遭難したんです!」


メンバーは彼に自分達が遭難したことを説明し、助けを求めた。


ところが…。




男性:「おーい! ここに妙な奴らがいるぞー! 捕まえろー!!」


メンバー:「…!?」


男性が叫んだ方向から刀や弓矢などの武器を持った仲間と思われる集団がメンバーに向かって走ってきた…!


叫んだ男性も刀を取り出し襲いかかる…!

咄嗟に駆け足で森の奥へ逃げるメンバー!


走っている最中にも矢が数本飛んできたが一心不乱に駆ける!


しばらく走ると奥深い山奥に着いた。メンバーも全員無事で何とか彼らを振り切ったようだ。


アラン:「はあ! 助かった…!」

ゲイリー:「あいつら、 急に襲い掛かってきやがって…!」

ハワード:「一体、 なぜ…!?」


偶然なことにすぐ近くに洞窟があり、メンバーはそこへ入っていった。


ここでハワードがあることを思い出す。


ハワード:「待てよ…? そういえば昨日、俺たちが見つけた物って…。」


「酷く破損したスペイン国旗」と「殴り書きされたスペイン語の日記」そして「散らばっていた無数の人骨」を思い出し、撮った写真を確認する。


メンバーは洞窟の中で身を潜めながら先程の出来事とスペイン人の遺留品について考え始める。


ハワード:「まさか…彼らがスペイン人を…?」


ジェフリー:「あいつらが殺したとでも…?」


ジェームズ:「さっきのあの人たち、 まるで猛獣のような目をしているように見えたんだが…。」


ルパート:「まずは彼らに見つからないようにすることだ。」




しばらくすると、メンバーのほとんどが空腹感を感じた。


ゲイリー:「お腹が空いてきた…。そういえば俺たち、昨日から何も食ってねぇ…。」


アラン:「じゃあ、 まずは食糧確保だ…!」


メンバーは食材を探すために恐る恐ると洞窟から出た。


食材を出来る限り多く取ろうと辺りを警戒しながら探す。


何とかたくさん木の実や野草、キノコなどを集め、洞窟へ戻ろうとした時、


ジェフリー:「ん…?あれは何だ…?」


ジェフリーが何かを発見し、彼が指を指す方向にルパートが双眼鏡で覗いて確認する。


ルパート:「あれは、町だ…。どうやらここはどこかの国のようだ…。」


ジェフリーが発見したのは町であった。町を歩く人々は皆、アジア系の人種であった。


数十秒後、彼は青ざめた表情で双眼鏡を下ろした。


ルパート:「皆、落ち着いて聞いてくれ…。どうやら我々は、恐ろしい所に来てしまったようだ…。ここは"日本"だ…。あの食人の風習が残っていることで知られている国に遭難してしまったことになる…。」




メンバーの誰もが信じたくなかった。


自分達が今いるこの場所は現在もなお人間の肉を食らう食人の文化が根強く残り"人喰い国家"として世界中で恐れられている「日本」であるということを…。


彼曰く、町の真ん中に日本の国旗である「日章旗」が掲げられているのが双眼鏡を通して見えたのだと。


彼らは集めた食材を持って一度洞窟へ戻った。


アラン:「もしかしてスペイン人は、あの日本人に食われたとでも…?」


ルパート:「ああ、明らかにそうであろう…。さっき彼らが我々を襲おうとしたのも恐らくそのためだったのかも知れん…。」


ジェームズ:「ところで町があったって言ってたけど、どんな感じだったの…?」


ルパート:「古くて小さな建物ばかりで、人々が着ている服はほとんどが民族衣装(和服)で、馬や人力車に乗って移動をしている者もいた。


日本は我が国イギリスをはじめとする欧米諸国とは違い、あまり技術が発達しておらず、ずっと昔のまま変わっていないと噂で聞いていたが、どうやら本当だったようだな…。


まるで遥か遠い昔の時代にタイムスリップしたかのような感覚だった…。(一言で言えばまるで江戸時代のような感じである。)」


ここでハワードがあることを思い出し、メンバーに話す。


ハワード:「皆、この前ロシア人の探検家の"ソコロフスキー"が教えてくれたことなんだが聞いてくれ。


実は日本人のルーツはニューギニア島の人肉を主食とする人喰い人種にあたるそうだ。


日本人の祖先である縄文人がそれを引き継いだとされていて、現在でもまるで猛獣のように凶暴で争いを好む民族性で狩りが得意としている。


おまけに日本人は自分達以外の民族を食糧としか見ていないため、彼らにとって外国人は絶好の獲物だと言っていた。時には日本人同士の共食いも起こるそうだよ。


あと日本人は性欲が非常に旺盛で彼らの乱交や強姦は日常茶飯事で、これは本当かどうかは分からないが親族同士で性交を行う"近親相姦"の習慣も未だに根強く残っているらしい。


過去に彼らによる事件が数多く報告されているのも事実だ。俺も時々テレビニュースや新聞で見たこともある。だから決して油断は出来ない…。


ソコロフスキーは最後にこう言っていたよ。人喰い国家日本は島国かつ開発途上国であることが唯一の幸いだと…。」


ジェフリー:「知れば知るほど気味が悪いな…。」


ゲイリー:「怖すぎる…。」


ルパート:「やはり奴らは我々を食う目的で襲ってきたんだな…。」


メンバーはハワードの話が終わった後に今日集めた食材を口にする。


そして日本から脱出する方法は明日から考えることにして、この日は洞窟の中で過ごすことにした。


翌朝、メンバーは起きた後全員の無事を確認し、「ずっとここにいてはいつか見つかってしまう」と言うことで洞窟を出る準備をしかける…。




ジェームズ:「あれ…?大変だ!俺たちの荷物が…!!」


メンバーの荷物が荒らされており、そこら中に散乱していた…!


ゲイリー:「おやつがない!」


アラン:「俺のラジオもねえぞ…!」


ルパート:「誰がこんなことを…!?」


ジェフリー:「クソッ!あいつら!よくも盗んでいきやがったな!!!」


ハワード:「皆、落ち着くんだ…!確かに荷物は荒らされ、盗まれてしまった。腹が立つのは俺も同じだ。しかし感情的になっても何も解決しない!食料はまた探せば見つかるだろう!今は何としてでも無事に生き延びることが最優先だ!」


メンバーはハワードの言葉を聞いて落ち着きを取り戻し洞窟を出て、再び歩き始める。




しばらく森林の中を歩いているとハワードの足が止まった。


ゲイリー:「どうした…?」


森の奥から誰かが手招きをしているのが見えるという。


ジェフリー:「どうするんだ…?行くのか…?」


ハワード:「ああ。良いことを思いついた。行ってみよう。」


メンバーは手招きをしている人物の方へ向かうことに。


手招きをした人物:「こんにちは。来てくれてありがとう。」


相手は日本人の女で「キクコ」と名乗り、花柄の着物を着ている。彼女はなぜか、やって来た彼らを満面の笑みで出迎えた。


メンバーは早速キクコの家の中へ招かれるまま入る。


キクコはこの家でたった1人だけで住んでいて、普段は人が滅多に来ない場所ということもあり、珍しく家の近くに人が通りかかったので手招きをしたのだという。


どうやら料理をご馳走するとのことで台所の方へ向う。




ジェームズ:「どういうつもりなんだよ…! 嫌な予感しかしなくて仕方がない…!」


ルパート:「そうだぞ…! なぜこんなところへ…!?」


ハワード:「脱出方法を訊くためさ。訊き終わったら適当な理由を言ってすぐに出るつもりだ。」


キクコが料理を持って戻ってきた。魚、野菜、豆腐などを入れた鍋であった。


キクコ:「どうぞ、召し上がってくださいね。」


ここでハワードが問いただす。


ハワード:「キクコさん、お尋ねしたいこがあるのですが我々は今どの辺りにいるのでしょうか?」


キクコ:「ここですか?ここは九州の薩摩というところです。日本で一番南の地域です。」


ハワード:「薩摩ですね…?もう1つお尋ねしたいのですが、この近くに船がある港はご存知ではないでしょうか。ここから最も近い所をお願いします。」


キクコ:「う~ん、そうだねぇ。この付近だと船のある港は近くの町の港しかないねぇ。でもどうしてだい…?」


ハワード:「なるほど…。そうなんですね。実は私どもはこの後海の方へ行かないと行けないんです(咄嗟に考えた嘘)。」


キクコ:「そうかい…。でも何も急ぐことなないでしょう。このお鍋をゆっくりと召し上がってからでも行ってくださいな。」


メンバー:「ありがとうございます…。」


キクコは次の仕度をすると言って再び席を外す。


ゲイリー:「どんな鍋なんだろう…?取るだけ取ってみよう…。」


メンバーは食べるつもりはないが鍋の中の食材を取り出し、皿に移す。そして皿の中を覗いた…。




メンバー:「…!?」


皿の中を覗いて言葉を失った。


中に入っていたのは魚や野菜、豆腐だけではなかったのだ…。


なんと人間の手足や耳、眼球などが入っていたのだ…!!


この直後ハワードは後ろに気配を感じ振り向くと長い包丁を手にしたキクコが立っておりいきなり襲い掛かってきた!!


ハワードは瞬時に避けた!


キクコ:「ウヒヒヒヒッ…。すまないけどあんたたちは私の今夜の晩御飯となってもらうよ…!!!」


キクコは包丁を持っているが1人だけ。こちらは武器はないが6人もいる。


メンバーは一斉に飛び掛かり、キクコを取り押さえた。


ジェフリー:「縛れるものを探してくるぜ…!」


ジェフリーは縛れるのに使えそうな縄を探す。


縄は台所にあった。


縄を手に取った瞬間、台所の奥に何かがあることに気づく。




ジェフリー:「…!?」


その正体に鳥肌がたった。


それは真っ赤な血に染まった1枚の着物と1体の日本人形であった…。


ハワード:「ジェフリー!縄はあったか!」


縄を急いで持って戻る。


そして何とかキクコを動けないように縛る。


ハワード:「おい。お前が作った鍋の中身を見たぞ。最初から俺たちを襲うつもりだったんだろう?あの人肉はどうやって手に入れた?」


キクコ:「鍋の肉は…弟と弟との間に出来た子供の肉よ…。弟と子供を殺して調理したのよ…。あなたたちも仲間に加えてあげようと思っていたんだけどねぇ…! キャハハハハハッ!!」


ハワード:「実の弟との間に子供を儲けては二人を殺して調理したという訳か。悪いがあんな恐ろしい料理は食えないよ。」


キクコ:「日本ではそれが普通なんだけどねぇ!! アハハハハハッ!!」


ハワード:「そうかい。俺たちはもうここを出る。じゃあな食人鬼。」


メンバーはすぐにキクコの家から出ていった。


ジェームズ:「もう何なんだよ…! 気持ち悪いな…!」


アラン:「全くだ…! そもそもゲイリーが鍋の中身を見てみようとか言い出すからまた危険な目に合ったんだろうが!!」


ゲイリー:「何だと! 俺のせいだと言うのか…!!!」


アランとゲイリーが喧嘩を始める…!


ハワード:「お前ら静かにしやがれ!!」


彼の一喝でメンバーは静まる。


ハワード:「そうやって仲間同士で争っているうちにまた奴らが来たらどうするんだ? 尚更危険な目に合うことになるぞ! 仲間割れは命取りだ! 脱出するまでは仲間同士の喧嘩は禁止だ! いいか!」


アラン、ゲイリー:「はい…。」


再び森の中を歩くメンバー。


ルパート:「ジェフリー?どうしたんだ?気分悪いのか?」


ジェフリー:「いや…。実はあの女を縛る縄を見つけたときなんだが…。なぜか縄の近くに血だらけの服と人形が置いてあったんだ…。尚更気味が悪いなと思って…。」


ジェームズ:「どうしてそんな物が…?」


ハワード:「あの女、弟との間に子供を儲けたあとに2人を殺して調理したと言っていたな…。とするとその服と人形は、恐らくそいつに殺された2人のものかも知れんな…。それにしてもよくそんな残酷なことができるものだ…。」




ガチッ…!


アラン:「わああああああっ!!! 痛い痛い痛い!!!」


メンバーが悲鳴が聞こえた方向へ振り向くとアランの足には動物の罠として使われているベアートラップ(トラバサミ)が挟まっていた!


その直後に後ろから大勢の人間が走って来る足音が聞こえてき

た…!


メンバーはその足音の主が誰なのかすぐに分かった。


そう…。恐らくこの罠を仕掛けたであろう日本人の狩人集団であった…!


彼らも刀剣や弓矢、鎌などの武器を装備しており物凄い速さでこちらに向かって走ってくる!


アランを助けようと近くに落ちている石ころや木片を彼らに投げつけるがそれだけでは充分に抵抗出来ず、アランは連れ去られてしまう!


メンバーはやむを得ずアランの救出を諦め、全力で奥へ走って逃げた…。


遠くからアランの様子を見守る…。


アラン:「やめろ…! 離せ !わあああっ…!」


アランは狩人集団に無惨に殺害された…。これ以上は見ていられないと更に遠いところへ走るメンバー。


ジェフリー:「そんな… バカな…!!」

ゲイリー:「アラン…! 済まねぇ…! 許してくれ…!」


とうとう恐れていたことが起こった…。探検隊のメンバーに犠牲者が出てしまった…。


メンバーは悲しみに暮れるのと同時に彼らの恐ろしさを改めて思い知らされた。


気がつくと空は暗くなっており、偶然見つけた洞窟の中へ入る。


ジェフリー:「さっきあの女が言ってた町の港、そこしか出入り口はないって訳か…。」


ジェームズ:「でもどうやってあそこへ行くの?町は奴らが多くて尚更危険だよ!」


ルパート:「しかしいつまでもこんなところを彷徨(さまよ)っていても仕方がないだろう! 何としてでもこんな国から脱出しなければ…!」


この日はここで一夜を過ごした。




翌朝、5人となったメンバーは全員の無事を確認した。その直後、ゲイリーが1人で洞窟を出て行く。


ハワード:「おいゲイリー! どこへ行く?」


ゲイリー:「またお腹が減って、食べ物を探しに行こうと思って…。」


ルパート:「1人だけでは危険だ。俺達もついて行くよ。」


再び食材を探しに森を歩く。




ゲイリー:「あれ…?何だろう…?」


森の奥から何かがこちらに向かって来るのが見えた。


目を凝らして見ると、それは着物を着た複数人のあどけない日本人の子供達であった。


メンバー:(なぜこんな森の中に子供が…?)


子供達はゲイリーの方へ走って来る…。そしてたどり着いた瞬間…!




ガブリッ! ゴリッ!


ゲイリー:「うゎああああああああああああああ!!!!!」


子供達はゲイリーの体に噛みつき、襲い始めた!


子供達の目は血走っており、一心不乱にゲイリーの体に食い付く…!


しかも噛みつく顎の力が思っていた以上に強く体の各部分が次々と噛みちぎられていく…!


ゲイリー:「やめろ…! 離せ…! 痛い…!」


メンバーは彼を助けるために急いで駆けつけ必死に彼から子供達を離そうとする!


「おーい! ここだ! 急げー!」


しばらくすると今度は武装した狩人たちが物凄い勢いで走ってくる…!


ジェフリー:「ジェームズ! ゲイリーを頼んだ!」


ハワード、ジェフリー、ルパートはやって来る狩人たちに抵抗するためにゲイリーの救出はジェームズに任せ、そこら辺に落ちている石ころや木片などを投げつける!


ハワード:(そうだ…!こうすれば…!)


拾った長い木の枝に持っていたライターで火を付け構える…!


ボォオオオオオオ…!


それを見た狩人たちの動きが止まる…!


ハワード:「もしこれ以上近づくと、この森ごと燃やすぞ…。燃やされたくなかったら今すぐ立ち去れ…。」


ハワードの行動に驚いた狩人たちは逃げていった。


一方、ジェームズはゲイリーを助けるために子供達を追い払い続けていたが今度はジェームズに襲いかかる…!


ジェームズ:「わあ!来るな…!助けてー!」


気づいたルパートがジェームズに駆け寄り、子供達たちを追い払った!


そして子供達も遠くへ走り去っていった。


ゲイリーの体は傷だらけでボロボロになっていた…。


ゲイリー:「痛い…! 苦しい…! 死にたくない…!」


ルパート:「大丈夫かっ!? しっかりしろ!!」




グサリッ!


ゲイリー:「わあああああっ!!」


彼の背中に一本の矢が刺さり、貫通した…!


ゲイリーは息絶えた…。


メンバー:「ゲイリー!!!」


矢を放ったのは、メンバーに動けないように縛られていたはずのキクコであった。


キクコは不気味な笑みを浮かべながら彼らを眺めている。


メンバーは無言のままこの場を走り去る。


空は暗く夜になっていた。


気がつくとジェフリーが刀や弓矢、鎌、斧などの武器を持っていた。


ルパート:「ジェフリー、それどうしたんだ?」


ジェフリー:「狩人たちが逃げていったときに落としていったのを拾った。次はこれで抵抗してやろうと思ってな。」


ハワード:「さすがだジェフリー! 早速だがその武器を全員に分けてくれないか。」


ジェフリー:「おう。それぞれ使いたいものを取っていってくれ。」


彼らはそれぞれ武器(ハワードは弓矢、ジェフリーは斧、ジェームズは刀、ルパートは鎌)を貰い、いつでも対抗できるようにと肌身離さず持った。


近くには偶然にも湖があった。


今夜はここで過ごすことに決め、湖のそばで焚き火をおこし野草や果実、そして湖の魚を捕った。


メンバーは焚き火を囲んで食事をする。


ジェームズ:「はあ…。俺はゲイリーを助けられなかった…。申し訳ない…。」


ジェフリー:「確かにゲイリーは死んでしまった。だがお前はそれでも懸命に守ろうとしたじゃないか。今回は誰が悪いなんてのはないよ。」


ルパート:「俺のこの方位磁石によるとあの方向が南のようだな…。この方向にキクコが言っていた港があるという訳だ…。」


ハワード:「なるほど…。俺達はすぐに港へ向かうつもりだったが色々と散々な目に合ったせいで逆に山奥に入ってしまっているということだな…。だがいつまでも山の中を彷徨(うろつ)いていてはこの国から出られない…。しかも6人いたのに今は4人…。死んでしまった2人のために何としてでも生きて脱出しよう。では俺は久しぶりにこの魚を頂くとしよう。」




ヒューッ、グサッ!


ハワード:「!?」


彼が食べようとした魚に1本の矢が凄い勢いで突き刺さった…!


矢が飛んできた方向を見るとそこにはまたもや武装をした日本人の狩人集団がいた…!


ハワード:「奴らだ!!! 武器を構えて抵抗するんだ!!!!!」


狩人集団は全力疾走で襲いかかる!

メンバーはいつでも抵抗できるように武器を構える!


打ち合いとなり必死に抵抗する!


ジェフリーは武器だけでは抵抗しきれないと考え、焚き火から燃えている木を次々と投げつける…!


ところがしばらくすると数匹の大型犬がメンバーに目掛けて走ってきた…!




ガブリッ! ガリッ!


ジェームズ:「うあああああああっ!!!」


犬たちはジェームズに噛みつき襲い始める!


どうやら狩人たちの猟犬のようだ!


犬たちの顎の力が予想以上に強くジェームズの体が次々と噛みちぎられていく…!


ジェームズ:「ううっ! 離せ…! 嫌だ…!! やめろ…!!!」


ハワード:「ジェフリー! ルパート! 奴らを頼んだ!」


ハワードはジェームズを助けるために猟犬に向けて矢を放つ!


放ったうちの何本かは数匹に命中し、犬たちは逃げていく!


ジェフリー:(そうだ…!こうしてやる…!)


ジェフリーは数本の燃えた焚き火の木を草むらに投げつけ、草むらを燃やす!


ボワアアアアアア!!!


辺りは一瞬にして火の海となる!狩人たちは激しく燃える火の前に、どうにも出来ないと判断したのか退散していく!


ハワード:「ジェームズ! 大丈夫か!?」


ジェームズの体は酷く傷つき、右腕と左脚を失っていた…!それだけでなく彼はひどく衰弱していた…。


ジェフリーとルパートも急いでジェームズのもとへ駆けつける。


ジェームズ:「うぅ…。皆…。すまない…。俺はもう…助からない…。」


ジェームズはそのまま息を引き取る…。


彼の遺体は近くの湖のそこへ沈められた。




3人となったメンバーは決断する。


ルパート:「奴らはまた必ず来る。もはや今の我々に寝ている暇なんてない。今からでもあの港へ向かって脱出するぞ…!」


ジェフリー:「そうだな…。いつまでもこんな山の中にはいられねえ…!また襲われるのはごめんだからな!」


ハワード:「ああ。俺も賛成だ。そうなれば今からでも急いで行こう…!」


彼らは今夜は一睡も眠らずに港がある南の方向へ急いで向かうことにした…!


一切立ち止まったり振り返ったりせずに進み続ける…。


ひたすら歩き続ける…。


歩き始めてから数時間…。


ジェフリー:「ついたぞ…。」


とうとう港がある町に到着した。空はすっかり明るくなり朝となっていた。


ハワード:「皆、 心の準備はいいか…?」


3人は彼らに見つからないようにと建物の中を縫うように隠れながら進んでいく…。


彼らは何とか見つかることなく順調に港へ向かっていく。あともう少しである。


ハワード:「クソッ! なぜこんなに…!」


3人は港の近くにある建物の裏に身を潜めているが、その建物の前は大勢の日本人がいた…。


ジェフリー:「どうやって行くんだよ…?」


ハワード:「今考えている…。待ってくれ…。」


しばらく隙を伺っている時であった…!



ギィイイイイ…。


いきなり近くにある建物の扉が開きそこから1人の男が出てきた…!


扉の男:「おい…!そこで何をしている…!?」


メンバー:「!!!」


見つかった!




ハワード:「走れ!!!」


3人は一斉に港に向かって走る!他の町の者も彼らの存在に気づき、一斉に追いかけ始める!


町の日本人たち:「待てー!!」、「食ってやるぞー!!!」、「逃がすなー!!!」


ルパート:「ここは俺に任せろ! 2人だけで脱出しろ! 俺のことなんか気にせずに行けっ!!」


ハワード、ジェフリー:「!?」


ルパート:「さあ来やがれ!俺が相手だ!!!」


ルパートが2人を先に行かせ、日本人たちに1人で立ち向かった!


だが大人数の日本人たちには敵わず襲われてしまう…!


集団がルパートを襲っている隙に全力疾走で港へ向かう!


そして港に着き、止まっていた関船に乗り込む!


ジェフリー:「ああ…! ルパート…! 申し訳ない…!」


ハワード:「俺達だけでも生き延びるんだ! これで中国へ向かおう!」


彼らが関船を出そうとした瞬間であった…!




???:「キェエエエエエエエエエエッ!!!」


バァーーーン!!!


ハワード:「お前は…!?」


2人に襲い掛かってきたのはキクコだった…!


彼女は船の中で待ち伏せをしていたようで、不気味に笑い、目は血走っており、大きな薙刀を握りしめていた…!


キクコ:「ウヘヘヘヘヘヘヘッ! 帰してやるものか…! 貴様らはこの私が食ってやる…!!!」


ハワード:「相手は武器を持っているが2人でなら何とか出来るぞ!」


ジェフリー:「ああ! 早いところ片付けてしまおうぜ!」


2人は一斉にキクコに飛び掛かり、何とか薙刀を取り上げる!




キクコ:「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」


彼女は錯乱状態となり奇声を上げながらジェフリーの腕に噛みつこうとする…!


ハワードが咄嗟に彼女を殴りジェフリーを間一髪で助ける…!


ジェフリー:「弟さんによろしく!!!」


ブスリッ!!


ジェフリーは取り上げた薙刀を彼女の胸に思い切り突き刺す!


キクコ:「アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


胸に薙刀が刺さったキクコは血を吐きながら海へ落下した…!


海の底へ沈んでいくキクコ…。




ハワード:「今のうちに行くぞ…!」


急いで関船を出して脱出…!


幸いなことに彼らが追ってくることはなかった…。


2人はやっと脱出出来たことに安堵し互いに喜びあう。


ジェフリー:「なあ。ハワード…。 俺達が中国へ着いたらどうする…?」


ハワード:「事情を説明して救出してもらおう…。それからゆっくりと体を休めようじゃないか…。」


ジェフリー:「ルパート…。自分の命を捨ててまで立ち向かってくれたおかげで俺たちは今こうやって生きている…。」


ハワード:「ああ。俺たちは死んでしまった仲間の分まで生きなければならない…。」


数日後、2人は中国に到着した後に事情を説明し、遭難者として現地の中国人たちに保護されることとなった。




文明が進歩したこの現在の世界で未だに食人の風習が根強く残る恐怖の人喰い国家「日本」。


そこは彼らの予想を遥かに越えるほど恐ろしいところであり、現地の日本人は現在も多くの人肉を食い、また新たなる獲物を待っているであろう…。


〈終〉

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