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桃栗三年、小説家何年?  作者: 日向井 恒星
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1頁目 -お叱り-

この物語では ー適度に重く、適度に軽くー をモットーに日常を描いていきたいと思います。

どうか温かい目で最後までご覧ください。

「文字ばっかりじゃ飽きるな。絵でもかこうかな」

進士はそう言うとペンを置いて背もたれにもたれ掛かった。

「絵美、僕小説家は諦めて漫画家になるよ」

絵美は1つため息をつくと

「何馬鹿なこと言ってるの。猫の一つも描けないくせに」

と呆れたように言う。

「ええ!? 猫くらい描けるよ!」

進士はそう言うと、近くに置いてあったチラシの裏におもむろに猫を描きだした。

「ほら!」

「え……それ猫なの……?」

「どう見たって猫だよ!ほら、この可愛い耳にくりくりの目!」

進士は絵を指差しながら猫っぽさを熱弁する。

「あんた、猫に失礼よ……」

「ええ、そんなに!?」

進士は信じられないという風に、目をパチパチさせる。


絵美はまた一つため息をつくと、真剣な顔になった。

「そんなことより、進士、あなたいつになったらデビューできるの……?」

「ええっと……それは……」



説明しよう!!

進士は小説家を目指す23歳のフリーターなのである!

大学1年のときから小説を書いては様々なコンクールに応募し、出版社に、持ち込みをしているが未だデビューできていない!

つまり、夢を叶えるため2年間フリーター状態なのだ!


絵美は進士と同い年のいわゆるOL!


そしてこの二人は大学生の頃からの恋人同士なのである!同棲をしており、進士はアルバイトの収入しかないので絵美に任せきりのカツカツの生活を送っているのだ!



「えっと...こ、この作品できっとデビューできるから!」

「そのセリフは毎日聞いてる」

「すいません...」

進士が小さな声で言うとしばらく沈黙が続いた。


「わかった。」

進士が突然立ち上がり、腹をくくったように言った。

「僕、諦めるよ」

「へ?」

「小説家の夢、きっぱり諦める」

「え!? いや、諦めろってわけじゃなくて...」

絵美が慌てて手を振る。

「でも、これ以上絵美に迷惑かけれない。諦めて就職先を探すよ」

すると絵美がうつむいたまま

「それは許さない...」

と、ぼそりとつぶやいた。

「それは許さない!」

今度は強く、しっかりとした口調だった

「なんで?」

「私はたとえつらい状況でも、絶対にあきらめない進士が好きでいっしょにいるの!確かに大学出て二年たって、まだバイトしかしてない彼氏と一緒に同棲してるなんて正直自分は正気じゃないと思ってる。でも、それでも、あなたの夢を一緒にかなえてあげたくて、応援してあげたくて...」

「絵美...」


絵美は涙ぐんでいた。

進士は絵美のこんな思いを聞いたのは初めてで動揺していた。それと同時に絵美への申し訳なさが込み上げてきた。


「絵美、ごめん。今まで迷惑かけて。諦めるなんて言って。」

絵美は少しだけ顔を上げた

「絵美がそう言ってくれるならその期待に、応援に応えられるように頑張ってみるよ。」


少し沈黙が流れた後、絵美が口を開いた。

「うん。でも、このままじゃ絶対デビューなんてできない」

進士は少し考えた後、諦めたように

「というと...?」

と、恐る恐る聞いた。

すると絵美は

「あんた、本気でやってないでしょう?」

と、低くにらめつけるように言った。

「え...」

「あなたのいつもの様子見てると、本気でデビュー目指してるようには見えない。私が仕事から帰ってきた時も大抵さぼってるし。だから、これからも同じようなことなら私も腹くくってこの家から出てくわ。エリートと結婚して親孝行しなきゃなんないから。」

「う、うん。」

「だから、あなた、これからゲームもアニメも全部禁止。いい? そうでもしないと一生デビューなんてできないわ。」

「わ、わかりました...」

「わかればよろしい」


進士の額には汗がにじんでいた。

「あ、あのなんか変わった...?」

「え、私は何も変わってないわよ?」

「そ、そうだよねえ...あはは...」



進士がこんなに怖くて威圧感のある絵美をみたのはこれが最初で最後だったらしい。








第1話どうでしたでしょうか。

良ければ第二話も近日公開予定ですのでご覧ください。


進士は小説家になれるのか、二人のこれからは!?

こうご期待!


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