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物語は雲の上  作者: しょた
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序章

物語は雲の上。

今日もおれは空を飛ぶ。

あの世とこの世を結ぶ案内人。あの世で死んだ人間をこっちに連れてくる役割。至ってシンプル。人間界の言葉で言えば、三途の川に連れくる仕事。向こうからすればこの世からあの世に連れてかれると言うが、こっちに住んでいる者からすれば、こっちがこの世だ。なんか言っててわかんなくなるからこれ以上はいいや。

おれはポケットに突っ込んだ今日の仕事内容が書かれた紙を取り出した。そして同時に違うゴミも出てきた。

「きったないなー」

背後から声がした。おれは振り返ると同期のシンジがいた。

「あ、あぁ。忙しかったからさ〜」

「全然理由になってないし」

笑いながらシンジは答えた。おれはポケットから取り出したくしゃくしゃになった紙をシンジに見せた。

「今日はまた厄介そうだな」シンジが笑いながら返す。

「そうなんよ。今日は自殺者だよ〜」

「めんどくさいのに当たったな。オレのは今回楽だぜ」

シンジは「ほら」と今日の仕事を見せてくれた。享年94歳・老衰とある。

「交換しない?」

「やーだね」

そう言うとシンジは急降下して雲の海へ向かった。

「おいー!ちょい待てよーーー」

「バイバーイ」

シンジはあっという間に雲の中に消えて行った。

「薄情者め…。。あーあ…めんっどくさ…」

おれは改めて紙を見直した。

「中田 木葉 19歳…こんな歳で自殺かよ」

小さなため息をひとつして、雲へと落ちて行った。


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