おはなし
「はぁ?」
なんとも言えないような声を発しているのは一人の若い男。
「だからよ?当たったんだってば!」
そんなことを言っているもう一人の男の手には
チケットのようなものが握られている。
「だから? それがどうしたんだよ」
全く興味なさげにラーメンを食べ続ける。
「おまえなぁ。もうちょい興味持ってもいいだろ。
□□ちゃんのプレミアチケットだぞ?」
こちらも変わらないテンションで話を続けている。
「別に興味ないし、ていうか汁飛んでも知らねーぞ」
と言いズズっとラーメンをすする。
「うぉい! 言っといてすぐ食べんなよ!」
男は慌ててカバンの中に大事そうにチケットをしまった。
「つかそんな大事ならなんで持ってきたんだよ」
大事そうにしまう動作を見ながら若い男は言った。
「いやさぁよ?」
しっかりチケットをカバンに入れて男は続ける。
「今回何県に何枚当たったとか出るんだけどさ
この県で2枚だぜ? そのうちの一人が俺、
自慢したくなるだろって」
男は興奮した声で話す。
「ふーん」
と若い男の返事はそっけない。
「お?そんなこと言ってほんとはちょっと
興味出てきたんだろ?」
「そーだな」
若い男の返事は相変わらずだったが
チケット男のほうは笑っていた。