熱中、無関心
近くで爆発音が聞こえ、それに伴う爆風と衝撃が辺りを襲った。飲食店のガスが爆発したのかもしれないし、隣国から発射されたミサイルが着弾したのかもしれないが、そんな事はどうでもよく、道行く人々は皆一様にしてスマートフォンから視線をそらさずに歩いている。
俺も同様である。どうせ放っておいても、どこかの誰かがどうにかするはずだ。そんな事よりも今大事なのは、自分の手の中にあるスマートフォンであり、画面に映し出される結果なのだ。
突然、身体に衝撃が走った。
俺は車にはねられたのかもしれない。俺がスマートフォンの画面に夢中になり、赤信号を見落としていたのかもしれないし、スマートフォンの画面に夢中になったドライバーが俺をはねたのかもしれない。
身体の激痛に薄れゆく意識の中、俺が最後に見た光景は、人々が相も変わらずスマートフォンに目を向けている様子だった。
きっと、俺は助からないのだろうが、そんな事よりも今大事なのは、自分の手の中にあるスマートフォンであり、画面に映し出される結果なのだ。
スマートフォンに支配された形の人類を憂いた神は、人類を滅ぼそうと思案した事もあったはずだが、そんな事よりも今大事なのは、自分の手の中にあるスマートフォンであり…。