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彼女の死  作者: 遠藤良二
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すでにいなくなった彼女への問い

 僕はイライラしてきたので浮気相手の電話番号を着信拒否に設定した。


だが、すぐに着信拒否を解除した。


もしかして、まだ、自分が気付いていないだけで僕は浮気相手に未練があるとでもいうのか。


いやいや、そんなはずはない!とこれもすぐに否定した。


一体、僕はどうしてしまったのだろう。


楓の死といい、浮気相手が僕の友達と付き合うとか、立て続けに不幸が続いている。


さっき、スマホの時計を見てから再度、時間を確認した。


19:06と今度は刻まれていた。


僕はベッドから降りてシャワーを浴びることにした。


そして、浴びながら思ったことがある。


楓の部屋は来週にもご両親が片付けに来るという。


今日は金曜日。


彼女のアパートの合鍵は僕がまだ持っている。


明日、仕事が終わったらもう一度部屋の中を見てみよう。


もしかしたら、遺書か何かあるかもしれない。


僕は彼女が自殺した原因を必ず見つけたかった。


たとえ、発見が警察の方が早くても。


ちなみに、警察のほうでもまだ死因の手掛かりは捕まえていないはずだ。


だって、なにも連絡がないから。


練炭自殺が本当だとしても、彼女の衣服や部屋の中についている指紋の量は楓本人に次いで、きっと僕だろう。


熱めのシャワーを止めて脱衣所に出た。


バスタオルで髪や身体を拭き下着とジャージとトレーナーを見にまとった。


そのままソファに座りテレビもつけずにまた、楓のことを考えた。


今は12月上旬。


クリスマスや正月をどう過ごそうか、という話もしていた矢先だった。


指紋の量でもしかしたら、参考人みたいな形で警察に呼ばれるのかなぁ、と思うとやり切れなくなる。


未来を失って既にこの世にいない彼女に問いたい。


楓、一体、君は何で自殺なんかしたんだ……。

悩みか何かあるなら話してくれれば良かったのに…。

こんな僕でももしかしたら何かの役に立てたかもしれないのに…。


そして、こうも思った。


君は逃げたのか?

この何も知らされていない僕から…。

もし、そうだとしたら、この悲しみは倍に膨れ上がるよ…。


僕はまた浮気のことを思い出した。


ねえ、楓。

僕は君を一度だけ裏切ったのは認める。

でも、そのあと仲直りしたじゃないか…。


僕は楓を失ってからずっと自分を心の中で責め続けていた。


そして、


いなくなるのは本当は君じゃなく、僕のほうだったのかも……。


そんなことを考えながら僕は静かにソファからベッドに移って横になった。


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