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彼女の死  作者: 遠藤良二
2/14

元浮気相手と僕の友達との関係

 僕は明日から仕事だというのに、楓が自ら命を絶った理由をひたすら考えていた。


それも自分の部屋の隅で暗闇の中独りで。


後ろを振り向いたら、あの明るくて可愛い笑顔が見られるのではないか、そう思い何度もベッドの上にいた僕はそうしてみた。


すっかり、暗闇に目が慣れてしまったため、部屋の中でも見える。


だが、だれもいない……。


その度に、悲しい気持ちが湧き上がってくる……。


僕は正直、まだ完全に楓の死を受け入れられずにいるのかもしれない。


だって、あまりにも突然だったから…。


彼女が亡くなった理由について周りには、わからないと、言ってある。


でも律子にも責められたが、本当は僕の浮気が原因だったのでは……?


でも、そのことについてはすでに解決していたはずだ。


仲直りもしたし。


では、一体、なぜ…?


何か、悩みでもあったのか。


それも、僕にでさえ言えない悩みが。


…わからない……




スマホの時計を見ると、時刻は18:36と刻まれていた。


食欲は全くない。


なので、煙草に火をつけた。


ライターの「シュボッ!」という音と同じくらいに電話が鳴った。


こんな時にだれだ?律子か?と思いながら画面を見ると、登録されていない番号からだった。


でも、見覚えがある。


あ、きっとあいつのだ!


浮気相手だったあの女。


きっぱりと別れを告げて別れたはずなのに一体、何の用があるのだ。


とりあえず出てみた。


「もしもし?」

怪訝そうな声を出して僕は出た。


「もしもし、慎吾か?」


声の主は男だった。


僕は少しだけ驚いた。だが、


「その声は、窪田か?」


「そうだよ。びっくりだろ?この番号で出るなんて堀下、お前まだこいつに未練でもあるのか?」


相手は僕の友達の窪田道弘だった。


僕は少し動揺した。


「そ、そんなんじゃないよ。ていうか、窪田こそどうしてあの女と一緒にいるんだよ?」


「堀下が紹介してくれたじゃないか。だから知っているんだ。それとも、酔ってて俺に紹介したこともわすれたのか?」


あ、そういえば!と僕は彼が話したのをきっかけに思い出した。


窪田は年は一つ上の22歳だが、小さい頃からの幼なじみなのだ。


こいつにだけは紹介しなければ良かった…。


仲も良いのでいざこざは避けたい。


すると、窪田はこう言った。


「こいつ、俺に気があるみたいだから付き合っていいか?」


「か、勝手にしろよ。もう別れた女だ。好きにしろ!」


「ほんとに良いんだな?あとで後悔しても知らんぞ?」


「はぁ?後悔!?んなわけねーだろ!!」


僕は怒鳴るような口調でそう言った。


「ようし。わかった!今の言葉忘れんなよ!!俺らは今、ラブホにいるんだ。せいぜいこの女を味わってやるさ!」


僕はこれ以上聞きたくなかったので電話を切った。


くだらん話しには関わりたくない。


あの馬鹿女め、僕の友達を…。


そう言いながら煙草の火をもみ消した。


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