元浮気相手と僕の友達との関係
僕は明日から仕事だというのに、楓が自ら命を絶った理由をひたすら考えていた。
それも自分の部屋の隅で暗闇の中独りで。
後ろを振り向いたら、あの明るくて可愛い笑顔が見られるのではないか、そう思い何度もベッドの上にいた僕はそうしてみた。
すっかり、暗闇に目が慣れてしまったため、部屋の中でも見える。
だが、だれもいない……。
その度に、悲しい気持ちが湧き上がってくる……。
僕は正直、まだ完全に楓の死を受け入れられずにいるのかもしれない。
だって、あまりにも突然だったから…。
彼女が亡くなった理由について周りには、わからないと、言ってある。
でも律子にも責められたが、本当は僕の浮気が原因だったのでは……?
でも、そのことについてはすでに解決していたはずだ。
仲直りもしたし。
では、一体、なぜ…?
何か、悩みでもあったのか。
それも、僕にでさえ言えない悩みが。
…わからない……
スマホの時計を見ると、時刻は18:36と刻まれていた。
食欲は全くない。
なので、煙草に火をつけた。
ライターの「シュボッ!」という音と同じくらいに電話が鳴った。
こんな時にだれだ?律子か?と思いながら画面を見ると、登録されていない番号からだった。
でも、見覚えがある。
あ、きっとあいつのだ!
浮気相手だったあの女。
きっぱりと別れを告げて別れたはずなのに一体、何の用があるのだ。
とりあえず出てみた。
「もしもし?」
怪訝そうな声を出して僕は出た。
「もしもし、慎吾か?」
声の主は男だった。
僕は少しだけ驚いた。だが、
「その声は、窪田か?」
「そうだよ。びっくりだろ?この番号で出るなんて堀下、お前まだこいつに未練でもあるのか?」
相手は僕の友達の窪田道弘だった。
僕は少し動揺した。
「そ、そんなんじゃないよ。ていうか、窪田こそどうしてあの女と一緒にいるんだよ?」
「堀下が紹介してくれたじゃないか。だから知っているんだ。それとも、酔ってて俺に紹介したこともわすれたのか?」
あ、そういえば!と僕は彼が話したのをきっかけに思い出した。
窪田は年は一つ上の22歳だが、小さい頃からの幼なじみなのだ。
こいつにだけは紹介しなければ良かった…。
仲も良いのでいざこざは避けたい。
すると、窪田はこう言った。
「こいつ、俺に気があるみたいだから付き合っていいか?」
「か、勝手にしろよ。もう別れた女だ。好きにしろ!」
「ほんとに良いんだな?あとで後悔しても知らんぞ?」
「はぁ?後悔!?んなわけねーだろ!!」
僕は怒鳴るような口調でそう言った。
「ようし。わかった!今の言葉忘れんなよ!!俺らは今、ラブホにいるんだ。せいぜいこの女を味わってやるさ!」
僕はこれ以上聞きたくなかったので電話を切った。
くだらん話しには関わりたくない。
あの馬鹿女め、僕の友達を…。
そう言いながら煙草の火をもみ消した。