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彼女の死  作者: 遠藤良二
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律子さんとの関係はいかに!?

 律子さんに口付けされてから僕は意識して距離を置くようになった。


律子さんからのメールはたまにだがあった。


それを僕はあえて無視した。





あれから三ヶ月くらい経ち、僕は町でばったり彼女に出会った。


僕は黙っていると律子さんの方から、


「こんにちは」


と言いながら、笑みを浮かべている。


季節も春になったからであろう、律子さんの服装は軽装で、上は黄色いグラデーションのかかったロングTシャツに、下は、ブルージーンズだ。


僕も、


「こんにちは」

と言いながら以前から考えていたことを、どこかで話そうと思っていた。


「久しぶりじゃない。元気だった?」

と、律子さんは言った。


「う、うん。元気だよ」


「なんだ、元気なんだ。残念」


そう言われ、は?と僕は思い聞き返した。


「残念ってどういうこと?」


「まあ、気にしない気にしない」


ハハッ!!と笑いながらそう言っている。


嫌味な感じがすると思っていると、


「喫茶店にでも行かない?」


と律子さんは言ったので、僕は、


「うん、いいよ」


と承諾した。


「ここから一番近い所にしよう?」


僕がそう言うと、


「私もその方がいい。天気もあやしいし」


それから十分程歩き知らない所だが、喫茶店を見つけた。


外観は、茶色い二階建てで、ドアが二枚ある。


表から見る限りでは、窓は全部で四ヶ所あって二階部分はカーテンがひかれており、一階はレースのカーテンがひかれていた。


僕はドアを開け、律子さんより先に入った。


なぜかと言うと、レディーファーストにして誤解されたくないから。


後から、律子さんがついて来た。


中は、さほど広くはなくカウンター席に椅子が六席並んでいて、ボックス席が二席どちらともガランとして、客は誰もいなかった。


どちらに座るか訊くこともせず、僕はカウンター席の一番左端に座った。


その隣に律子さんは表情一つ変えずに座った。


あごひげを生やした店主であろう男が目の前に立って笑みを浮かべながらこちらを見ている。


「僕はホットコーヒー。律子さんは?」


「私はアイスコーヒーでいいよ」


「かしこまりました」


と店主は言った。


それからすぐに、律子さんは話し始めた。


「だいぶ前に私は自分の気持ちを慎吾君に話したわよね?その返事が訊きたいんだけど」


「その話しなら僕もしたいと思ってた。はっきり言うよ?」


目の前にいる女性は、コクンと頷いてからこちらを凝視していた。


「僕は律子さんの事は恋愛の対象としてみてないよ。友達ならわかるけど」


「ハハ…。そっかぁ…。やっぱり振られたか……。結構、自信あったんだけどなぁ、楓よりいい女だって」


「ふ…、ふざけたこと言わないでくれ!」


僕は頭にきてそう言い返した。


「楓を悪く言う奴は、いくら律子さんでも許さない!」


僕は千円札をカウンターに叩きつけるように置き、


「頭に来た!帰る!!」


そう言って席を立とうとした時、律子さんの一言で僕は立つのを止めた。


「ごめんなさい!怒る気持ちはよくわかるよ。だから、友達でいいから私と繋がっていてくれない?」


「本当にそう思ってる?」


「うん、マジでそう思ってるから、だから今、私が言ったことは取り消して!?」


僕はしばらく黙り、そして---


「わかったよ、友達ってことでいいなら僕もそれには同感だよ」


「たまには、食事したり、カラオケ行ったり、飲みに行ったりしてくれる?形だけの友達じゃなくてさ」


「うん、いいよ、わかった」


「ありがとう!!」


僕らはこうして仲直りをした。

でも、きっと律子さんは僕の事を好きなんだろう。

その要求にはこたえられないが。





楓にも伝えなきゃ。


万事OKだよ!と、空を見上げ心の中で呟いた。

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