表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のシャベル  作者: KY
88/203

3-26 目標地点

 包帯教師から報酬の情報を貰う。


 色々と説明を受けたが要点を言うならば周囲の地理が分かるかもしれないということだった。


 今まで発見されたムラや、学園の位置の配置が元々の地図と見比べるとどこか規則性のようなものがあるらしい。勿論これでお仕舞いならば余りに割に合わなかった。ただ、もしかすればヒューマンの中心都市である『ハロイド』の場所が分かるかもしれないという話を聞き多少興味を持つ。


 『ハロイド』は首都といえる場所であり、代表者とされる王や最も多くのヒューマンが暮らしていた場所であるという。ヒューマンの暮らす区域の中では本来比較的僻地に位置するのだが、周辺が大穀倉地帯となっているために自然とヒトが集まり首都に選ばれたらしい。モンスター襲来の話が広がってすぐに防壁が作られたとも聞き、人口密集地と穀倉地帯が相まって多くの食料や物資が保管されている可能性が非常に高いらしい。時が凍る直前での状況は分からないがもしかすれば生存者も多く見込めるのではないかとの事。


 生存者はともかく、物資と『首都』自体には興味を持てる。今まで見てきた建物は、木や石でできた無骨な造りであるし街並みとも言える光景はまだ見たことが無い。異国情緒あふれる街並みを見学してみたいものだ。


 だが、直ぐに場所を教えるよう言ったのだがまだ非常に大まかな方向しか分からないという。データ不足が原因らしい。もう少し周辺に手がかりがあればより正確な方向が分かるだろうとの事。もっともその首都が完全に風化して消え去っている可能性もあるらしいが、そのときは仕方がない。理性的な意見であり、拒否する際にもしっかりとした理由があれば理不尽に怒る事も無い。我侭で居たくはあるがヒステリックにはなりたくは無いものだ。




 フィアのレーダーを頼りに周辺のムラやマチの探索を行う。建物の基礎だけが残っており全てが風化したマチ、モンスターのみが生き残っておりそのまま立ち去ったムラもあった。だが、数箇所のムラやマチ、またはその廃墟の探索を行った結果として30人ほどのヒューマンの生存者を見つけることが出来た。状況説明や誘導はあらかじめ適当な生徒や以前助けたムラビトの有志を連れて来ていたのでそれに任せ、食料庫も使えるものを2箇所ばかし発見したので後で運搬係を向かわせることとする。生存者が少ないのは周辺一帯の殆どのムラ、マチが襲われていたためのようだ。だが、そのおかげで食料庫を見つけることが出来れば今いるヒトビトが飢えなくても済む。逆にムラやマチが無傷であり余りに多くのヒトが生き残っている場合の食料消費は激しいものとなる。その先に待つモノは想像に難くない。


 ある程度のデータが集まったと判断し生存者の探索を止める。元より埋もれているヒトビトを全員助けられるとは思ってもいない。ただ目に付いた時や有益そうな場合のみ助けるのみだ。フィアもそう一々確認しながら進むのは神経を使い大変であるし、ある程度近づかないと正確な情報は把握できないらしい。


 学園に戻ると大きな袋を担いで学園に入っていく集団が見えた。地上から来た食料運搬係及び有志のヒトビトらだ。エルフたちの反乱による騒動はすでに収まっているようだ。学園内で指揮に当たるナイトに話を聞くとこれから食材を使い料理をするらしい。クイーンの許可も得ているようだ、力仕事に従事する者を労ったり助けられたばかりのヒトビトの心を癒す目的らしい。御相伴に与るとしよう、むしろ食料を発見したのは自分なのだ。食べる権利くらいあるだろう。 


  


 勿論許可は出た、少し楽しみにしながら出来上がりを待つ。異世界料理、それはどのようなものか。未知との遭遇に心が躍る、ここしばらく料理といえる料理は食べていなかった。食事は近頃は作業になりつつあった、勿論食べられることに関して感謝の念は忘れない。だが食事を楽しむというのは本当に久しぶりだ。このセカイに落ちる前も生活は困窮しており味を感じる余裕も無かったのだ。

 

 出来た料理は、パンのようなものと根菜類をメインとしたスープだ。予想していたよりも遥かに普通のモノであったが、暖かく食欲を誘うものであったことは間違いない。パンは醗酵させていないもので固いが砂糖か何かが入っているのかほんのりと甘い。スープの味は良い意味で独特だ。しょっぱさもあるが、こちらもどこか甘みが強いものとなっている。ただし香辛料がしっかり効いており辛味があって飽きさせない味になっている。美味い、実に美味い。


 匂いに誘われて包帯教師もやって来たので入手した地理情報を教えて地図に書き込み、『ハロイド』の位置を推測していく。食事をしながら話し合いを続け、最終的に『ハロイド』がありそうな方向と距離を決定することが出来た。



 その場所は、間抜け領域を超え大滝の向こうの下方に位置すると推測された。腹ごしらえも済んだし覚悟なんぞ常に用意している。運搬係と一緒に食事をとっているナイトに先ほど見つけた食料庫とこれから首都へ向かう旨を告げると学園の外へと踏み出し出発する。



 目標、ヒューマンの首都、『ハロイド』。 

少し前話がメタかったのであっさり目に修正します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ