3-12 騒ぐコドモ達
巨人サイドから見た学園です。サクサク進みます。
最短ルートを掘り学園とかいう場所へと掘り続ける。この進路だと空間の上から進入することとなりそうだ。だが学園というだけあって背の高い建物だ。境界を掘りぬけると数秒間の浮遊感を楽しみ屋根の上に着地した。
「どこだ?」
「ウムム・・・この真下あたりにいるヨ!」
尻尾レーダーをグルグルしながら真剣なのかふざけてるのか分からない顔で屋根を指差す。おそらく石材でできているであろう屋根にシャベルを突き入れる。
―――笑えてくる!この学園を包む土よりも脆い屋根とは。ガンガン削って掘って行く、こんなに簡単に石が掘れるのであれば石工職人にでもなれそうだ。
屋根を突き破るとできた穴から下を見下ろす。床までは結構な高さがあるようだが灯りがついているようで中の様子は見える。
成る程、学園か。小学校の低学年相当か、身長は1mくらいの小さな子供がモンスターに襲われているようだ。逃げ惑う者、隠れようとする者、感心なことに武器を持って戦っている者もいる。まだ小さいのによくやる。逃げ場も無いのに走り回っている奴等はどこへ行こうというのか?まあ勝手にすれば良い。
とりあえず眼下に居る感心な女児を助けてみることにする、折れた槍でもまだ戦うか。左様、戦わなければ死ぬだけだ。
飛び降りつつシャベルを叩きつけ野犬を殺す、脆い。いくら上からとはいえ勘の悪い駄犬だ。手ごたえよりも足にかかった衝撃のほうが大きい、もっとも衝撃は体のクッションを使いある程度殺している。
『巨人』そう助けた女児が言った、まあ体のサイズの差は大きいがそこまでなのか?ただ基本的に背の大きい人間はそういう渾名は付けらるものか。しかし金髪のカールヘアーに碧眼か、分かってはいたがますます日本ではない様だ。
とりあえず感心な児童達から助けてやることにする。まずは目の前の女児だ、耳が尖っていて長い。エルフ、まさにそのままか。しかし銀髪というのも珍しいがここでは一般的だったのか?とりあえず、普通に走り、脇に構えて薙ぐ。次だ。殺せば殺すほど食料と資材は増える。皮のなめしくらいはこのガキ共にやってもらっても良いかもしれない。正直野犬の皮はもうそんなに使わないのだ、加工する手間も考えれば余計に不要。我ながら随分と贅沢になったものだ。ただ肉は喰らう、殺したものの礼儀でもあるし多少腹が減っても気にしなくはなっているが味は悪くとも腹に栄養を入れるのは悪くない。
獲物に夢中になって気もそぞろな野犬なんて物の数ではない、地上に居た野犬のほうがもっと手ごわかった感がある。上から横からシャベルで潰していく。
ドアを壊して牙付きが登場、地上よりかはサイズが大きいが身はだらしなく見える。観察しているとわざわざ大口を開けて喚き出すので有難く骨ナイフを投げ入れさせてもらう。馬鹿め。念のため止めを投擲。見事に命中、随分と腕が上がったものだ。魔法は案外融通が利かないためスリングや投げナイフの方が感覚的に使えて良いことも多い。それにいくら子供とはいえこっちが魔法を使えるのをすぐにばらすのも無用心か。とりあえず近くに居るモンスターは狩り尽くしたので次へ行こうか。
「妖精様っ!?」
前は話半分に聞いていたが妖精というのは本当に偉いもんだったらしい。ただ頭の上で楽しているコイツをみれば尊敬する気は一切起こらんが。
何だかんだ言って、圧倒的な暴力は心が躍る。本能というものか。いずれは逆に殺される日も来るだろうが考えても仕方が無い。自分が理不尽な目にあうのは許せないが他者に理不尽を強いることには心が痛まない、皆そういうものだろうと思う。上機嫌で体を動かしていると最初に助けた女児に邪魔される。あっちを助けてくれと言ってくる。命令されるのは大嫌いだ、そう思えば目の前のコイツ以上に自分の本質は子供か。
「ルオナ先生達を、助けてください!お願いします、いい先生なんです!!」
先生?そんな奴どこにいるのか?襲われているちっこいのは白衣を着ているが・・・渾名か、それならば納得がいく。3人組のうちの一人のあだ名もハカセだったじゃあないか。ただいい先生というフレーズに違和感は残るが、言い間違えか何かだろう。飛び級や、やたらと低身長な大人という可能性も微妙なレベルで存在している。
黒いゴリラ、少し前にも出会ったモンスターだ。もっともあっちは白かったが。黒い奴の方が少し小柄に見えるし宝玉も赤のみなので魔法を使ってくることも無さそうだ。まあ、とりあえず行って見る事にするが警戒は必要なのでフィアにどくように指示する。
「ハーイおじ様!がんばってネ!!」
邪魔者はどいた。これで全速力がだせるというものだ。近づく黒い力自慢、ただその行動はあまり好みではない。殺すならとっとと殺して食べればいいのだ。別に楽しんでいたぶるのもいいが、それは敵が周囲に居ないときにやるもんだ。油断しすぎだ。
シャベルを投げる、狙いはそんなに正確ではない。壁に突き刺さる、やはり壁も脆いのか。流石にモンスターも気がついたようだ。さらに加速し接近。
力自慢がジャンプして叩き潰そうとしてくる。「キッキャアーッ!!!」煩いな、そんな大降りで当たるものか。空中でバランスも悪い格好で攻撃してくるとはなめられたものだ。若干の体格差はあってもこっちは腰を落として力をこめた一撃。カウンター気味に当たった。そんな驚いた顔をするな、すぐに潰してやろう。
頭の毛を持って何度も地面に叩きつける。床がお嫌いのようで抵抗しようとしてきたため今度は壁にぶつけてやる。やさしくて御免ね。最後にはしっかり止めを刺す。これが大事だ。ブッシュナイフの切れ味は本日も良好だった。
風邪で倒れてました。のどは痛いわ頭痛はひどいわ腹は下して吐き気もするわ・・・何もできずベッドの上で金土日と潰れました。皆さんも冷えてきたので体調には気をつけてください。