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伝説のシャベル  作者: KY
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3-3 コンタクト

連休が多いということは土日出勤も多いということ・・・むしろ忙しい。仕事だから仕方ないですねorz


再び気を失った妖精を摘むと我が家へと帰ってきた。


何となくだが疲れを感じ腰を下ろして一息つく。座りながらナイフや装備の点検を行う。戦闘時、急に紐が切れたりして胸当てが落ちたり篭手が取れると危険だ。ナイフも刃こぼれがあると相手の毛皮に引っかかり上手く刺さらないこともある。刃を寝かし石で軽く擦るようにして磨いていく。肉を絶つ切れ味なんてとても無理だが刺す時に使いやすくはなる。


『ぬー・・・』


小さく声をあげ妖精が体を揺らす、起きたか?


『!?xxx!!』

「む・・・」


明り取り用の窓へ羽を動かし飛んで行こうとしたが、途中で止まるとゆっくりとこちらへ近づいてきた。先ほどの状況を思い出したのだろう。警戒はしているが先ほどのように問答無用で逃げるような雰囲気ではない。


『・・・xxxxxxxx?』


何かを聞いてくるが意味は全く分からない。首を振ってジェスチャーを返す。


『xxxxxx!xx?』

「ッ!・・・」

日本語で「分からない」と言おうとしたが、言葉が詰まった。喋れなかったのだ、意味のある言葉を口から出すのは何年振りだろうか。軽く口を動かして解すと今度はゆっくりと「分からん」と言う。


こちらとしては言葉が通じないことは予想の範囲内であったが妖精は随分と混乱しているようだ。狭いコミュニティで生きてきたのか言葉が違うということに慣れないのだろうか。


しかし、まあ中世の日本でも外国の言葉なんて知らずに生きて死んでいく人間のほうが多かっただろうから仕方の無いことか。


『xxxx?xxxx・・・』


ひどく困惑している妖精だがこちらとしては今のところ害するつもりは無い。白玉の実の殻を取ると妖精の見ている前で半分程果肉を指で千切り口に入れる。そして残りを手に乗せて差し出した。


少し悩んでいた妖精であったが実を両手で掴むと口に入れた。少し驚いたような顔をすると中々の勢いで実に噛り付き平らげてしまった。緊張が解けたような顔でこちらを見てくる。



今度は帰りがけに摘んだ黄花を差し出してみる。すると案外器用に茎をいじるとあっという間に髪飾りにしてしまった。くるりとその場で1回転すると初めて笑顔を向けてきた。


フィギュアのような妖精の微笑みは良いものであった。だがそれよりも花を飾るという行動に社会性や文化というものがこの妖精の土壌にあると思った。そもそも、こちらの意図としては食用として渡したつもりだったのだ。



次に干し肉を与えてみることとする。これもまた半分を食べてもう半分を差し出してみた。だが妖精は笑顔から困惑した顔になり干し肉を指差している。


一瞬何の行動か分からなかったが、確かにこれが何の食材なのか人目では分からないだろうと納得する。どす黒いモンスターの肉をはじめて見た時は自分だって驚いたものだ。そこで干し肉を指差すと、そのまま手をスライドさせて洞窟に保管してあるモンスターの毛皮へと向けた。



しばらく呆然と干し肉と毛皮を見比べていた妖精だが意味が分かると飛びのきとんでもない勢いで両手と首を振っている。どうやら肉は好みではないらしい。



仕方ないので妖精が食べなかった干し肉のかけらを口に放り込むと咀嚼し飲み込む。相変わらず牙付きの肉は美味くない、辺境はモンスターが弱いがたまには牛角さんのような大型で美味い肉を食いたくなる。




妖精の顔を見れば、何か信じられないものを見たような顔でこちらを凝視している。好き嫌いはよくない、空腹をこじらせれば何だって美味く食べれる。それに資源は有限なのだ。


スキットルの蓋を開け水を煽る。磨り潰した黄花を混ぜておりほんのりと甘みと風味があり美味い。キャップを裏返し水を入れてやり妖精のほうへ差し出す。かなり引いていた妖精だったがこちらは受け取り水を飲んだ。



とりあえず、こちらに害意が無いのは伝わっただろう。次のステップへ進むこととしよう。



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